Saucy Dog『RUSH BALL 2020』ライブレポート ーー今年最初で最後の夏フェスで見せた、特別な当たり前とさらなるポテンシャル
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Saucy Dog
『RUSH BALL 2020』Saucy Dog
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ステージの中央で拳を突き合わせた3人が「雀ノ欠伸」をかき鳴らせば、風がそよぐかのようにオーディエンスの手も揺れる。男女3人のコーラスが楽曲を彩れば、クラップが自ずと巻き起こるその光景は、フェスで見るいつもの景色。ガイドラインにきっちり従いながら実現した、そんな特別な当たり前をさらりとやってのけたのは、今や『RUSH BALL』の常連とも言えるまでになったSaucy Dogだ。躍動感溢れる「真昼の月」では、会場後方のシートエリアからも手が上がり、爽やかなメロディが真夏の泉大津フェニックスを駆け抜けていく。
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「目の前にお客さんがいてくれて、一生懸命身体を動かして「聴こえてるよ」と示してくれてるのが本当に嬉しくて。私たちにとっては今年最初で最後の夏フェスになるので、今日の気持ちとか、ライブができる嬉しさを、全部ここに吐き出して帰りたいなと。体調にだけは気を付けて、だけど思いっ切り楽しんでいただけたらと思ってます!」(Dr.Cho/せとゆいか)
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そして、「じゃあ今日初披露の新曲を。緊張するわ……」(Vo.Gt/石原慎也、以下同)と語った「シーグラス」は、今の季節にピッタリの甘酸っぱくて切ないサマーチューン。新たな代表曲になり得るポテンシャルを秘めたこの曲は、泉大津フェニックスの広大な青空とも相まって胸にじんわり沁み渡る。そのまま「ゴーストバスター」のきらめくギターとタイトなビートに揺れながら、いよいよ最後の曲へ。
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「思い残すことのないように、夏が終わったなとちゃんと思えるように、最後までみんなの心を掴んで、えぐり取って帰りたいと思います。俺たちが初めて書いた失恋じゃないラブソングなんですけど、この曲が一生みんなの心の中に、あの子の人生の一部に入ることを願ってます」
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野外ライブで演奏するのは初めてという「結」の、ささやかな幸福に心が満たされていく。オーディエンスのみならず、Saucy Dogにとっても今年の夏の思い出を飾る1日となったであろうこの日。「来年の夏もまたここで再会しましょう」と告げ、ステージを後にしたSaucy Dogだった。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=河上良
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