大地真央と花總まりがコメディ作品で初共演! 舞台『おかしな二人』取材会「喜劇の裏にある人間ドラマを大事にしたい」
-
ポスト -
シェア - 送る
(左から)花總まり、大地真央
2020年10月8日(木)から東京・日比谷シアタークリエにて、舞台『おかしな二人』が上演される。本作の取材会が9月2日(水)都内にて行われ、オリーブ役の大地真央とフローレンス役の花總まりが、潤色・演出の原田諒と共に出席した。
本作は、ブロードウェイ随一の喜劇作家ニール・サイモンの代表的コメディ『おかしな二人』(1965)が原点。その後映画化・ドラマ化され、大ヒットし、1985年に『おかしな二人・女性版』が誕生。ブロードウェイの初演は、8か月を超えるロングランを記録している。ひょんなことから“無精者”のオリーブと“病的なまでに几帳面”なフローレンスという正反対の性格の二人が同居生活をすることになり、当然のごとく衝突を繰り返す。そんなおかしな二人がそれぞれの幸せを見出すまでの姿を描いた、抱腹絶倒のコメディ作品だ。
原田諒
原田に本作の魅力について聴いたところ「既婚・未婚・離婚歴に囚われず、一人の個人としての個性を、一抹の悲しさを伴いつつ、それでもたくましく生きる姿が描かれている点が魅力では」と述べ、演出プランとしては「今の時代、2020年のテンポに合った芝居として描こうと思っています。作品の設定は1980年代なんですが、それを10年くらい巻き戻して、70年代のポップでサイケな部分なども入れてアレンジしつつ、今ご覧になる方々に合うような喜劇として演出していきたい」と語った。
大地真央
今回大地と花總は初共演。コメディ作品に出演歴が多い大地は「どんな作品にもコメディ要素を入れたいと思っていて、どんな悲劇でもクスッと笑える部分を大事にしてきたんです。今回ニール・サイモンの喜劇ということですが、その裏にある人間ドラマを大事にしたいと思い、そうする事で結果的に喜劇に映るようになれば」と笑顔で想いを述べ、自身が演じるオリーブという女性について「どのように生きて、どのように感じているかを大事にしていきたい。そしてたまたまとっても変な二人が出会ったという面白さを演じたいです」と穏やかな口調で語った。
花總まり
一方、花總は「私自身、コメディ作品に出演した記憶があまりないんです。最近は歴史上の重い作品で最後はだいたい死ぬという役(笑)、毎日神経をすり減らして演じる役が多いんですが」と笑いを誘いつつ「(今回の作品で)逆に自分を爆発させたい」と気合いを入れていた。が、「台本を読んだら余りの台詞の多さに口が回らないかも! そこから訓練しないと」と苦笑。「大先輩の大地さんとご一緒出来る事、それだけでも幸せですし、傍でこんなに勉強できる機会はそうないかと。コメディは難しいというイメージがありますが、気負わずにひたすら大地さんについていこうと思っています」と大地に目線を送ると大地も笑顔で応えていた。
宝塚を代表する二人が出演するということで、ストレートプレイであるが、どこかに二人のパフォーマンスを見せる場面は?という質問が寄せられると「……ありますか?」と大地が原田に素で質問し会場が笑いに包まれる。原田は笑いながら「少しあります。劇中二人でデュエットします!」とコメント。「ただあくまでもストレートプレイですから。お二人はミュージカルの第一線で活躍されてきましたが、ミュージカルの根底にはストレートプレイ、演劇としての芝居のリアルさがあると思うんです。その芝居という根本的なところをこの舞台で見せたいです」と語った。が、「カーテンコールで何か少し考えています。それは観てのお楽しみということで」と期待を持たせていた。
これまで会う機会はほとんどなく、昨日の本読み時にようやくお互いを見たと語る大地と花總。大地は花總について「結構、弾けたら(思い切り)弾けるんだろうな(笑)」と評し、逆に花總から見た大地は「(今はまだ大地の)目を5秒以上見つめられない段階。それが少しずつ長くなってきているので立ち稽古に入ってからが楽しみです」と笑顔。
そんな二人のやり取りを見ながら原田は「大地さんの魅力は言葉の瑞々しさ。本音でストレートな言葉を口にするところ。そんな大地真央という女優の魅力を引き立たせるように台本を潤色しています。そして花總さんは僕が宝塚に入った時はバリバリのトップ娘役さん。マリー・アントワネットからエリザベートまで幅広く演じてこられましたが、普段は凄く可愛らしい人なんですが、一度舞台に立たれるとその役に入り込む。お二人とも共通する事ですが、緻密に役を作り込むという努力の人だと思います」とリスペクトしていた。
最後に大地から「私たちの仕事は夢を売る事。ひと時の夢を見ていただいて、明日から現実に戻るけれど頑張ろうという活力源になればと思っています」と語ると、花總も「生の舞台はいいな、と思っていただき、日常の不安を忘れてスッキリしてもらえたら」と舞台を楽しみに待っている観客にメッセージを送っていた。
(左から)花總まり、大地真央、原田諒
取材・文=こむらさき
公演情報
潤色・演出:原田諒
出演:大地真央、花總まり、
シルビア・グラブ、宮地雅子、平田敦子、山崎静代、渡辺大輔、芋洗坂係長
2020年10月8日(木)~25日(日) 日比谷シアタークリエ
2020年11月5日(木)~11日(日) 梅田芸術劇場シアタードラマシティ
オリーブたちがカードゲームに興じる中、皆の話題は、つい最近夫から離婚を切り出されたフローレンス・アンガー(花總まり)のこと。傷心の彼女が自殺でもしかねないなどと好き勝手に話していると、玄関ベルが鳴りフローレンスが入ってくる。なぜ離婚を突き付けられたのか、思い当たる節もなく未練タラタラのフローレンスに、オリーブは新たな人生を送るべきだと自分との同居を提案する。
けれど、オリーブの部屋に転がり込んできたそのフローレンスは病的なまでにキレイ好き。正反対の性格の二人は共同生活の中で、当然のごとく衝突を繰り返すが……。
おかしな二人がそれぞれの幸せを見出すまでの姿を描いた、抱腹絶倒のウェルメイド・コメディ。