RADWIMPSが初の試み メジャーデビュー15周年記念ライブの“ゲネプロ”で「こういう機会がなければできない新しい挑戦をしたい」
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Photo by Takeshi Yao
RADWIMPSがメジャーデビュー15周年を記念して開催する『15th Anniversary Special Concert』のゲネプロ公演を、本番の会場と同じく横浜アリーナにて11月21日(土)に開催した。
ゲネプロとは本番同様の内容で行われる最終リハーサルのことで、この日はバンドにとって初の試みとして、ボクンチ会員(有料サイト会員)の中から抽選で当選したオーディエンスを入れての実施となった。なお、11月22日(日)、11月23日(月・祝)に開催される本番公演は新型コロナウイルス感染防止のガイドラインに則った数の有観客とABEMA、U-NEXT,Streaming+、PIA LIVE STREAMにて生配信される。
Photo by Takeshi Yao
ゲネプロとはいえ、RADWIMPSにとってじつに昨年8月以来のライブとなった。15周年の今年は3月から開催される予定だった初のドーム公演を含む「こんにちは日本ツアー」、さらには北米、ヨーロッパ、アジアを回る予定だったワールドツアーも新型コロナウイルスの影響によりすべて延期または中止となってしまった。バンドにとっても、スタッフにとっても、そしてファンにとっても念願だったライブの実現。様変わりしてしまった世界と時代の中で、画面の向こう側にいる視聴者に向けた生配信を主体にしながら、会場にいるオーディエンスとの交歓も同時に満たせるライブとは何か? 詳細な記述は避けるが、RADWIMPSチームはそれをこの日を迎えるまで考え抜いた。
Photo by Takeshi Yao
野田洋次郎、桑原彰、武田祐介、サポートドラマーとして迎えた森瑞希と繪野匡史のツインドラムから成る5人のアンサンブルとステージ演出は、観る者を唸らせる趣向が随所に凝らされているだけではなく、RADWIMPSのライブ特有の生々しさに満ちていた。それは、さまざまなジャンルを横断し、超越もしながら現代に生きるロックバンドとして鳴らすべきサウンドを徹底的に追求し、そこに乗せる必要のある歌を探し続けているRADWIMPSだからこそ浮き彫りにできるヒューマニズムだ。やはりRADWIMPSは不特定多数の人々が目撃する配信ライブにおいても、一人ひとりに語りかけるように音楽を放つことをあきらめないということを、ゲネプロ公演を観て強く実感した。唯一、この日のセットリストにあった曲名を挙げるとすれば、今年の5月に配信リリースし、“新型コロナウイルス前の世界”と“新型コロナウイルス後の世界”を真っ向から見つめ、その相違をあぶり出しながら新しい扉を開ける意志を込めた「新世界」を初めてライブで体感した瞬間は、得も言われぬ感動があった。
Photo by Takeshi Yao
野田洋次郎は言った。
「こういう状況だからこそできる新しい挑戦として物語を作り上げるようなライブをしたいと思った」
あるいは、このようにも。
「RADWIMPSのライブはみんなの声があって完成すると、つくづく思った。でも、こういう機会がなければできない新しい挑戦をしたいと思った」
RADWIMPSにとっての新しい挑戦。それがどういうことなのか、ぜひ目撃してほしい。
Photo by Takeshi Yao
配信ライブならではの演出をふんだんに盛り込んだ、バンドの15周年を記念したスペシャル公演。
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文=三宅正一