VR能が東京芸術劇場にて再始動 『攻殻機動隊』プレスプレビュー&トークイベント オフィシャルレポートが到着
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VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
2020年11月28日(土)、29日(日)東京芸術劇場プレイハウスにて公演されるVR能『攻殻機動隊』。11月28日(土)東京芸術劇場において、プレスプレビュー&トークイベントが開催された。
プレスプレビューの冒頭では大ヒット映画『鬼滅の刃』で我妻善逸役を演じるなど、数々の人気アニメキャラクターを務める下野紘が、ナビゲーターとして本作を紹介。VR、能、攻殻機動隊など、それぞれを舞台上の3D映像と共に説明。この交わりは「舞台芸術の未来を提示するもの」であると、熱く語った。
そして上演が始まると、真っ暗な会場に能のお囃子が響き渡り、バトーや白髪人形が登場する中「素子は何処。姿も影もつかめぬ」と主人公・草薙素子を探している様子を、能で表現。8月公演よりバージョンアップした部分として、素子がサーモグラフィーのように浮かび上がる部分、素子が2人、3人と、現物と虚像が入り乱れる部分があった。目に見えている彼女の姿は実現するのか、それとも幻想だったのか…。まさに電脳世界に、より吸い込まれる舞台となった。
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
VR能『攻殻機動隊』プレスプレビューより
トークショーでは、MCに呼び込まれると、スタッフ陣の代表として稲見昌彦(VR技術)、福地健太郎(映像技術)、そして奥秀太郎監督が登場。
大きな拍手で迎えられ奥監督は「本年、コロナという未曽有の事態の中で8月に危機迫る中、本当に心の広い多くの方々の力を得て上映することができました。そういうおかげもあり、また再演という形になって、一回一回が自分たちの表現のチャンスだと思い、自分たちのできる限りのバージョンアップを行いました。」と今回の再演の思いを語った。
また稲見教授は「普段から情報科学にかかわり、務める東京大学も授業がほとんどオンラインになっていく中で、オンラインでできることが見えてきた一方、オンラインでできないことも浮き彫りになってきました。だからこそ舞台とかも大切さが明らかになってきていると思います。情報技術の好天はいつでも・どこでも・誰とでも。でもそれはどんどん角が下がっていくかもしれない。またコロナだからこそ情報技術が進展しないと、いまだけ・ここだけ・あなただけ。そういう場が今回のVR能の攻殻機動隊場所にまさに一致したのではないかと考えています。いまだけ、ここだけ、皆さんとだけ、この場を共有できたというのはうれしく思っています。」と再演の喜びを語った。
そして福地教授はバージョンアップした部分について「こういう形でのVRというものを8月に世田谷パブリックシアターで仕掛けたのちに、もっと舞台の上で起きていることを曖昧にしていこうってところが今回バージョンアップの軸になっていました。羽が落ちてくるところ、素子が姿がサーモグラフィーのように浮かび上がってくるところなどのように、実物に対して映像を重ねたりする演出を増やすことによって、現実と虚像の曖昧さを突き崩していくところが、今回チャレンジになっていたかなと思っています。」と話した。
そしてここで、着替えを終えた坂口貴信、川口晃平、谷本健吾、観世三郎太(観世流能楽師)が登場。
坂口は野村萬斎より「攻殻機動隊と能をつなぐVR、あの世とこの世、彼岸と此岸、虚と実をつなぐ、能楽の未来形である」とコメントをもらい、そして改めて再演する気持ちについて聞かれると「8月に演じて近いうちに再演できたことについて非常にうれしく思っています。また萬斎さんからコメントをいただいたように、現実と虚構という世界を行ったり来たりするという狂言をどう表すかということが、このVRの技術を使っての今回のチャレンジではあったのですが、能楽というのは基本的に亡霊が出てきたり、そこにいるものは実際にいるんだけれども亡霊としている、という自分の頭の中でお客様が想像をしてご覧になるものなのですが、それを技術の中で表現するのかというのが、本業としての取り組みにはなります。こういう実験的なことを重ねていくことで、お互いの専門的な部分も理解して、今までになかった表現方法を皆さんと共に構築していけたらいいなと思っています。」と話した。
観世三郎太は今回VR能に初参加ということで「前回の8月公演を見て、感動と驚きがありました。自分もこういう新しい取り組みに参加したいとなったのですが、お客さんもVRと攻殻機動隊と能楽という、普段交わることのない3つが合わさることに、ワクワクもあったと思うのですが、私も同じ気持ちで舞台に上がらせてもらいました。それに加えてこういう取り組みというのは、普段は見に来てもらえないような友人からも、こういうのがあるんだ!という連絡があったり、実際に今日も来てくれていたり、自分としては非常にうれしいですし、これからも進化できる取り組みだと思うので、これからにも期待してもらいたいです。」と能楽界を牽引する若き能楽師は力強く語った。
最後に奥監督は「またこういう時期の中で、こうして劇場に足を運んでいただきありがとうございました。我々としても、何か一つでも未来としての希望を感じてもらえるような作品にしたいと作っておりますので、これからもぜひ応援していただけますとうれしいです。本日はどうも、ありがとうございました!」と話し、トークショーは幕を閉じた。