松本幸四郎・市川猿之助による新作歌舞伎「図夢歌舞伎『弥次喜多』」、Amazon Prime Videoでレンタル配信開始 　シネマ歌舞伎など関連作品も

2020年12月26日（土）からAmazon Prime Videoにて、「図夢歌舞伎『弥次喜多』」がレンタル配信されることが決定した。400年を超える歌舞伎の歴史で初めて新作歌舞伎をAmazonで初披露する。

図夢歌舞伎とは、コロナ禍に誕生し、歌舞伎の歴史で初めて行われたオンライン歌舞伎公演。第1弾『忠臣蔵』は、松本幸四郎の構成・演出によって製作された。”図夢歌舞伎”の名前は、客席では観ることができない視点から、より近くで歌舞伎に“ズーム”するという、これまでにない“夢”を“図”る歌舞伎ということからきている。

そして本作は、図夢歌舞伎の新たな試みであり、松本幸四郎・市川猿之助の二人がお騒がせコンビ“弥次喜多”を演じる人気シリーズの最新作。主人公・弥次郎兵衛（やじろべえ）と喜多八（きたはち）、通称“弥次喜多”の珍道中を描いた『東海道中膝栗毛（とうかいどうちゅうひざくりげ）』は、江戸時代に執筆され、現在も愛されている大ベストセラー作品で、これまで芝居、漫画、映画など、様々なジャンルで取り上げられてきた。2016年8月、歌舞伎座で誕生した、幸四郎と猿之助による同作を原作とした新たな“弥次喜多”コンビは、歌舞伎座は連日満員の大評判となり、以来、毎年新作を発表してはが即完売する歌舞伎座の夏の風物詩として大賑わいをみせてきた。ところが、2020年は新型コロナウイルス流行のため、歌舞伎座での上演は叶わず……しかし、そんなことでへこたれない“弥次喜多”は、このコロナ禍を逆手にとって歌舞伎座を飛び出し、時空を超えた新たな旅に出ることに。

さらに本作には、猿之助とTVドラマでの“いとこ競演”が話題を呼んだ市川中車（香川照之）が参戦。また“弥次喜多”シリーズに欠かせない、幸四郎の長男・市川染五郎、中車の長男・市川團子も2016年から続いて連続出演する。

「図夢歌舞伎『弥次喜多』」の製作に際して、脚本・演出に加え、今回は初監督をつとめる猿之助が選んだ題材は、前川知大作『狭き門より入れ』。2009年にPARCO劇場でレパートリー作品として上演され、好評を博した舞台だ。演劇賞の常連で、今や日本を代表する劇作家・演出家である前川知大の才能に早くから惚れ込み、当時亀治郎を名乗っていた猿之助が初めて現代劇に出演した記念碑的な作品でもある。

『狭き門より入れ』は、とある街のコンビニエンスストアを舞台に描かれる“SF劇”。ありふれた日常を舞台にしながらも疫病の流行や世界の「更新」を核にして、終末論へと展開していく先駆的でいて普遍的な物語。今回、猿之助は“まさに現代に通ずる作品”としてこの戯曲を原作に選んだ。常に時代の関心事を取り入れ、「時代を映す鏡」として400年以上続いてきた歌舞伎のDNAを受け継ぎ、世界的なコロナ禍の今だからこそ意義のある新作歌舞伎に挑む。

本配信は、自宅のテレビ、スマートフォンやタブレットを使えば外出先からでも……どこでも、誰でも、気軽に楽しめる。これまでの舞台中継ともシネマ歌舞伎とも異なる新作歌舞伎を体験してみてはいかがだろうか。。

松本幸四郎  コメント

全世界に共通する物語の歌舞伎というのは初めてではないでしょうか。ルールも不可能もない、「配信」と「歌舞伎」の無限の可能性を詰め込んだ作品になっています。根拠はありませんが、歌舞伎の配信は今後100年続いていくと信じています！　好きな時に、好きな場所で「弥次喜多」をお楽しみください。

市川猿之助   コメント

10年前は絵空事だった物語が、私たちの日常とシンクロしている今だからこそ、この作品を歌舞伎にして届けようと思いました。この時代を生きるひとり、ひとりに深く響く作品だと思いますので、これまでの「弥次喜多」を知らない方も、新作映画を観るような気持ちでぜひ、ご覧ください！

なお、Amazon Prime Videoでは、「図夢歌舞伎『弥次喜多』」の配信を記念して、幸四郎・猿之助出演のシネマ歌舞伎や「図夢歌舞伎『忠臣蔵』」、『シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」』、「シネマ歌舞伎『女殺油地獄』（おんなごろしあぶらのじごく）」など合計11作品を、12月26日（土）以降順次レンタル配信する。

写真：図夢歌舞伎『弥次喜多』12月26日よりレンタル配信開始　（C）松竹