宮藤官九郎が初参戦!岩井秀人とともに『いきなり本読み!』で中村獅童、平田敦子、富田望生、浅野和之を翻弄する
WARE『いきなり本読み!』
「集まった俳優たちが、それまで読んだこともない台本の読み合わせを客前でする」
岩井秀人(WARE)プロデュースの『いきなり本読み』。出演俳優には演目を事前に知らせず、当日、舞台上で台本を渡し、演出家がその場で配役・演出する様を観客に見せる趣向のイベントだ。企画スタート時の2020年2月からさまざまな形で上演されてきたが、俳優陣の貴重な 初本読みの様子や、稽古場でしか見られない演出家と俳優のやりとり、目の前で作品が立ち上がっていく瞬間を体感できる”新たな演劇の形”が話題を呼び、2020年12月には東京国際フォーラム・ホールCでの上演も敢行。
企画スタートから2年目に突入した今回は、演出ポジションに宮藤官九郎(大人計画)の参戦が決定。これまで岩井秀人作品をはじめ、イキウメ・前川知大の『散歩する侵略者』など、予想もできない戯曲がピックアップされてきた本企画で、今回はどの宮藤作品が使用されるのか。
気になる出演俳優は中村獅童、平田敦子、富田望生、浅野和之の4名で、浅野と平田は2回目、中村、富田は本企画初参戦となる。過去5回、岩井秀人が仕切ってきた”何が起きるか未知数すぎる”舞台に、ドラマ『俺の家の話』(TBS系)も絶好調の宮藤官九郎が登場し、どんな演出で一夜限りの作品を仕上げていくのか。予想もできない分、当日のステージに期待が高まる。
『いきなり本読み』©︎坂本彩美
『いきなり本読み』の醍醐味のひとつが、俳優の素の姿が舞台上にはっきり現れること。なにしろ素読みも下読みもできず、最初は作品のテイストすら掴めないまま、突然渡された台本を読み、自分の役を成立させていくのだから、舞台上の俳優には役を作りこむ時間も余裕もない。焦る姿もニヤリと笑う顔も混乱する様子もすべてそのまま晒される。まさに、まな板の上の鯉である。
『いきなり本読み』©︎坂本彩美
第3回の『いきなり本読み』(本多劇場)には、ユースケ・サンタマリア、松本穂香、橋本さとしの3名が出演。女子小学生・ゴッチンが活躍(?)する『ゴッチン娘』を読み合わせ、本多劇場を笑いと涙の渦に巻き込んだ。ユースケのインプロ力、橋本のキュートさ、そして松本のポテンシャルの高さが特に印象に残る。
『いきなり本読み』©平岩享
また、昨年12月の東京国際フォーラム編には松たか子、神木隆之介、後藤剛範、大倉孝二が参戦。イキウメ・前川知大の『散歩する侵略者』をさまざまな組み合わせで読み、戯曲の解釈の奥深さと、個々の実力の凄まじさを見せつけた。”愛”という概念に関してのダイアローグを、神木×後藤、松×大倉の組み合わせで読んだ場面は、それぞれに切なく美しく面白かった。戯曲って、俳優って奥が深い。
今回の最大の見どころ。もちろん、魅力的な4人の俳優がどんな化学反応を起こすかも重要なポイントだが、これまで岩井秀人1人が担ってきた舞台上の進行と演出を、進行=岩井、演出=宮藤官九郎と2つのパートに分けたことにも着目したい。この2人の間にもいろいろコトが起きそうである。
最後になったが、本企画の仕掛け人・岩井秀人のコメントを紹介する。
【岩井秀人コメント】
「発足からちょうど丸1年の2月に、作家演出家として宮藤官九郎さんをお招きしての、新バージョンの「いきなり本読み!」でございます!もう僕の台本もやり終わっちゃったので、こんな感じで、より一層、広く深く、俳優、台本、演出がそれぞれバラバラのところから、なんとか「役人物」や「物語」が立ち上げていく様子をドキュメンタリー的に面白がってもらえればと思います。来たれい!」
『いきなり本読み』©︎坂本彩美
『いきなり本読み with 宮藤官九郎』は会場無観客。配信のみでの公開となる。舞台上の息遣いを直接感じられないのは少々残念だが、その分、俳優の細かい表情が画面に映し出されるのを期待しつつ、ソーシャルディスタンスも飛沫も上演中の話し声も終電もすべてクリアの自宅内で、新しい演劇の形をビール片手に体感するのも楽しそうだ。
文=上村由紀子(演劇ライター)
公演情報
■日時: 2021年2月13日(土)20:00開演 22:30終演(予定)
■ 会場: 浅草フランス座演芸場東洋館
■出演: 進行‥岩井秀人
■演出‥宮藤官九郎
■出演‥中村獅童、平田敦子、富田望生、浅野和之
■: 会場なし、オンライン生配信¥3000
■販売期間: 2021年2月1日(月)13:00-2月15日(月)21:00
■アーカイブ期間:2021年 2月15日(月)23:59まで
■公式URL: https://ware.mobi/2021/02/01/honyomi-kudokankuro/