松岡禎丞インタビュー:変わるきっかけをくれた、先輩の言葉 劇場版『セーラームーンEternal』《後編》公開中

2021.2.16
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前後編2部作での公開となる劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』。その後編が、2021年2月11日より公開中だ。武内直子による原作漫画の第4期「デッド・ムーン編」を映画化した本作は、夢をテーマに描かれる愛と戦いの物語となっている。

予告編

SPICEでは、ペガサス/エリオスを演じた松岡禎丞にインタビュー! ちびうさとエリオスのドラマやネヘレニアとの戦いなど、見所が満載の後編について語ってもらった。また、松岡が経験した“運命的な出会い”とは――?

初めての出会いは「衝撃」

松岡禎丞

――『美少女戦士​セーラームーン』との出会いを教えてください。

初めて『​セーラームーン』に出会ったのは、幼稚園の頃だったと思います。友だちの家にみんなで遊びに行ったら、そこでアニメを観せてくれて。初めて観たときは衝撃でした。まずなんといってもキャラクターがみんな魅力的。子どもながらに、僕はセーラーヴィーナス(愛野美奈子)が好き! って思いました。友達は、「大きくなったらうさぎちゃん(セーラームーン/月野うさぎ)と結婚する」って言ってました(笑)。セーラー服風のコスチュームに変身して戦うのも、当時はすごく新鮮で驚きでしたね。

――松岡さんはセーラーヴィーナス推しだったんですね。

金髪のロングヘアで戦う姿が、かっこよさも可愛さもあって魅力的なんです。ロングヘアーの女性が好きになったのも、セーラーヴィーナスがきっかけかもしれません(笑)。レイちゃん(セーラーマーズ/火野レイ)も同じくロングヘアーですが、すごくしっかり者なので、ちょっと僕には畏れ多いかな? と思いました。『セーラームーン』は、セーラー5戦士だけでも、それぞれの個性と魅力があるからこそ、子どもが見ても大人が見ても、女性でも男性でも、自分の推しキャラクターが見つかるんですよね。

エリオスは、男ですら憧れてしまうほど魅力的

――劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』の台本を読んだ際の印象をお聞かせください。

『Eternal』で描かれるデッド・ムーン編は、新月の闇の王国の​女王・ネヘレニアが地球と月の征服をもくろみ、スーパーセーラームーンの持つ幻の銀水晶を狙うというお話。後編ではネヘレニアとセーラー戦士たちの戦いが本格的に描かれるので、和気藹々としたシーンもあった前編とはうってかわって、シリアスな印象を受けました。女性視点の戦い方が描かれているのも、『セーラームーン』ならではですよね。心情描写もものすごく丁寧に描かれているので、台本を読みながら「いいお話だな」と感動しました。

――ペガサスの姿と人間の姿で登場するエリオスという存在はとても魅力的で、原作ファンのなかには、子どもの頃憧れていたという読者も多いはず。松岡さんご自身はどんなところに魅力を感じましたか?

優しさが具現化したようなキャラクターですよね。女性はもちろんですが、男ですら憧れてしまうほど魅力的なキャラクターだと思います。なんといっても、“いい人感”がにじみ出てますからね。こんな人がいたらなと誰もが思ってしまうような、理想的な存在です。

松岡禎丞

――エリオスの役作りで大切にしたところを教えてください。

現場での指示はそこまでなくて、自分で用意していたプランや、その場で感じたもので第一声を発してみたら、「その方向性でOKです」と言っていただけました。後編は、エリオスがうさぎたちに(エリオスの過去について)​説明するセリフがあるのですが、そこは特に丁寧に大事に、でもくどくなく柔らかく伝えるのを意識しながら演じています。観てくださる方が、すんなりと頭に入ってくるような言い方ができればと思いながら演じさせていただきました。

今は不安でも、成長するにつれて変わっていくはず

――後編は、ちびうさ(スーパーセーラーちびムーン)とエリオスのドラマも見どころのひとつです。

この2人の関係性は、明確に前に進めてはだめだと思ったんです。ちびうさは、「早く大人になりたい」「選ばれたる“乙女”になりたい」と、自分自身への焦りを抱えています。エリオスもそんなちびうさの想いを感じている部分もあると思いますが、だからといってそこで距離を縮めてしまうのは違うなと思って。今は不安でも、きっとちびうさが成長するにつれて(その気持ちは)​変わっていくはず。エリオスを演じる際は、例え相手がちびうさ以外の誰であったとしても、対等な関係で接するように心がけました。僕の中にあるイケイケな松岡禎丞という人格​は、「もうちょっとぐいぐい行っても大丈夫じゃない?」と押し気味​だったのですが、そうやって演じたところはNGだったので、グッと堪えてます。

――ちびうさとエリオスの会話では、微妙な心の距離感や感情の差までも伝わってきて、とてもドキドキしました。

その世界で生きているキャラクターどうしの会話だからこそ、(ちびうさを演じる)福圓(美里)さんのお芝居を聴きながらも、なるべくナチュラルに演じるよう心掛けました。ある程度(現場でアレンジが効くよう自分の演技の)のりしろを残しつつ、家できっちり準備はしていくのですが、最終的には現場の空気感を反映させることで演技は完成するもの。なので家で準備したエリオスと、最終的なエリオスは結構違うんです。しかもエリオスは今回の劇場版のお話から登場するキャラクターなので、現場に行くまではかなり不安でした。でもエリオスというキャラクターがとても素敵だったので、彼に惚れこんで、集中して演じることができました。

劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』《前編》より (C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会

そのシーンその瞬間の感情を大切に

――前編ではエリオスはまだ謎に包まれた存在でしたが、後編ではついに謎が明らかになりますね。演じる際に何か気をつけた点はありましたか?

前編の収録時に、「ここは後編への引きになるように、意味深に匂わせてみよう」みたいなことは、基本的にはしませんでした。そのプランもなくはなかったのですが、それはあくまでも僕自身の考えであって、実際に物語の中で生きているエリオスたちは、そんなこと考えてしゃべってないですから。未来がどうなるかも、1秒後にどうなるかもわからない彼らが、先を見越して話すのはやっぱり違うんです。なので、あくまでも自然に、そのシーンその瞬間の感情を大切に演じました。

――前編を振り返って、どんなところが印象的でしたか?

まもちゃん(タキシード仮面/地場衛)とうさぎの、“相手を想うからこそのすれ違い”が辛くて切なかったです。ふたりがどうなるのかは、後編の大きな見どころのひとつ。ちびうさとエリオスの関係も、後編をご覧いただくときっとびっくりすると思います。ひとりひとりのキャラクターの人間関係がとても丁寧に描かれている作品なので、前編も後編も見どころはいっぱいあります。

――ネヘレニア役の菜々緒さんや、ジルコニア役の渡辺直美さんのキャスティングについてはいかがでしたか?

どなたが演じるのかなと思っていたら、まさかのお2人だったので驚きました(笑)。これはすごいことになるなと思いました。メインキャストの声優陣も、とても自由にやる方々が集まっているので、さらにお2人が加わることでどんな仕上がりになるのか、完成が楽しみです。ジルコニア役の渡辺さんは、おそらくノリノリで演じてくださったんじゃないかなと思います。(※取材の時点では前編の公開前で、まだ松岡さんは本編をご覧になっていませんでした)

「松岡の芝居は、誰にでもできるぞ」忘れられない先輩の言葉

松岡禎丞

――ちびうさとエリオスの出会いはとても幻想的・運命的ですが、松岡さんご自身も、運命を感じる出会いの経験はありますか?

僕は、自分が必要としているタイミングで、心のどこかで欲している言葉を言ってくださる方と何度も出会えてるんです。あるとき養成所の授業で自己紹介をしたら、講師の方に「お前、演技好きじゃないだろ」って言われたことがあって。もう2年くらい通っていたタイミングだったので、その一言には驚きました。その瞬間はムッとしたんですが、でも冷静になって考えてみると、「確かにそうかもしれない……」と思ったんです。まだ自分の中で、演技そのものよりも声優への憧れの感情の方が強かったのかなって。

そういう経験は、養成所時代だけじゃなくデビューしてからもありました。初主演作品でも、(テスト中に)​とある先輩に「いまの松岡の芝居は、誰にでもできるぞ」って釘を刺されたことがあって。当時はものすごく落ち込みましたが、もしあの一言がなかったら、テストの段階で120%を​出し切って演じようっていう気持ちにならなかったかもしれないと思うんです。なるべくダメ出しを受けないようにってことばかりに囚われて、結局平凡な芝居しかできていなかったなって。全力を出し切っていなかったことに、先輩の言葉で気づかされたんです。

「松岡の芝居は、誰にでもできるぞ」ってことは、言い換えれば「松岡にしかできない芝居をしろよ」と諭してくれたのと同じことだと感じました。ありがたいですよね。そのときいただいた言葉を自分なりに咀嚼して、しっかり考えて演じるようになって、今に至ります。その先輩のことは、今でも師匠だと思っています。変わらなければいけない大事なときに、そのきっかけになる言葉をいただけているので、まさに運命だと思っています。

松岡禎丞

取材・文=実川瑞穂 撮影=福岡諒祠

デッド・ムーンとの戦いが最終局面へ

ちびうさとエリオスの淡い「初恋」、そしてセーラー戦士たちの普通の女の子としての「夢」、そして戦士の「使命」の間で悩みながらも成長していく姿が描かれた《前編》。

《後編》では、ついにデッド・ムーンとの戦いが最終局面へ。スーパーセーラームーンの持つ「幻の銀水晶」も奪われセーラー戦士たちは絶体絶命……。絶望に飲み込まれそうな中、仲間そして愛する人たちの存在、自分たちの使命を胸に再び立ち上がったスーパーセーラームーンは、9戦士たちそしてタキシード仮面の力で、究極の姿・エターナルセーラームーンへとパワーアップ。ネヘレニアとの最終決戦に臨んでいく。

(C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会

劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』前後編は、公開中。

プレゼント情報

松岡禎丞さん直筆サイン色紙

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【応募方法】
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2021年2月23日(火)23:59まで
※当選者には、ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)でご連絡いたします。

【応募条件】
・日本に居住されている方(賞品配送先が日本国内の方)。
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上映情報

劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』《前編》/《後編》
 
■公開日:《前編》2021年1月8日(金) 《後編》2021年2月11日(木・祝)
■キャスト:三石琴乃、金元寿子、佐藤利奈、小清水亜美、伊藤 静、福圓美里、野島健児、皆川純子、大原さやか、前田 愛、藤井ゆきよ、広橋 涼、村田太志、中川翔子、松岡禎丞、渡辺直美、菜々緒
■スタッフ:原作・総監修/武内直子、監督/今 千秋、脚本/筆安一幸、キャラクターデザイン/只野和子、音楽/高梨康治
アニメーション制作:東映アニメーション/スタジオディーン 配給/東映
■主題歌:「月色Chainon(シェノン)」 作詞:白薔薇sumire 作曲:小坂明子 編曲:月蝕會議
ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤 静) 
■映画公式HP:sailormoon-movie.jp
■映画公式Twitter:@sailor_movie
(C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会
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