山根綺、佐藤流司、山口勝平、中井和哉、三石琴乃ら出演 朗読劇『紫苑のもみじ』が開幕【ゲネプロ&囲み取材レポート】

2026.7.18
レポート
舞台

取材会に出席した(左から) 重松千晴、伊藤かな恵、三石琴乃、佐藤流司、山根綺、山口勝平、中井和哉、熊谷健太郎

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声優の山根綺、俳優の佐藤流司らが出演するREADING WORLD×VISIONARY READING朗読劇『紫苑のもみじ』が、東京・日本青年館ホールで始まった。登場人物の心情や物語の情景が浮かぶ映像演出と、ピアノやヴァイオリンなどの生演奏を掛け合わせた作品では、様々な愛の形を通して「自分自身が主役となり、生きることの大切さ」を感じることができる。上演は同所で19日まで。SPICEでは、17日に行われたゲネプロと取材会の様子をレポートする。


物語の冒頭は、会場がある日本青年館ホールの目前にある明治神宮野球場。試合中に起きたある出来事で、山根が演じる主人公・雨宮もみじは少女時代に一躍脚光を浴びる。少女だったもみじは、広告会社に勤務する29歳の女性へと成長。序盤は少女から、大人へと変わっていく山根の声の表現に驚かされた。

〝朗読劇〟とうたっているが、8人の出演者は決まったマイクの前で台本を広げて読むのではなく、2階建ての舞台の各所に設置された8本のマイクを、場面に合わせて動きながら会話を続けていく。驚きや、悲しみ、喜びを豊かに現す様子は、演劇とも朗読とも違う新鮮さがあった。

交際4年目になる医師の彼氏(熊谷健太郎)と結婚を目前に控えるもみじ。幸せ絶頂かと思いきや、彼の浮気が発覚してしまう。競争社会の中で諦めて生きることを学び、自らを〝東京病〟と認める会社の先輩・笹野亜子(伊藤かな恵)に彼の浮気について相談する場面では、「夢は叶えるものではなく、折り合いをつけるもの」とひと言。目標に向かう途中には、停滞する時期もある。そんな苦い経験をしたことがある人には、もやもやとした気持ちを払拭できずにいる主人公の心情が手に取るように分かるのではないだろうか。

どんよりとした会場に喝を入れるように、ショパンの「革命のエチュード」の演奏に合わせて登場したのは、国内外でピアニストとして活躍していたもみじの母・えり(三石琴乃)。少しエキセントリックな母、母の再婚相手・洋一郎(中井和哉)との対話が、決断できないもみじを揺さぶっていく。中でも、もみじに影響を与えるのは、亡き父・真島文吾(山口勝平)の存在。絵が好きで画家になろうと美術大学に進学したもみじは、天才画家として活躍する父のひと言で夢を諦めることに。以降は「無色透明な人生を送りたい」と自分自身をないがしろにして生きてきた。旅立った後も、もみじに語りかける父。その真意はどこにあるのだろう。

幼少期からもみじに片思いをしている幼なじみの原周太(佐藤流司)は、悩んでいるもみじに自分の気持ちを隠し「もみじを応援する」と宣言。思い続けていることを知っている自身の弟・春道(重松千晴)から「SSR(スーパー・スペシャル・レア)な気持ちを大事に持っているのもいいけど、1回くらい発動させたら」と本心をつかれてしまう。

物語は、もみじが過労で倒れたことをきっかけに大きく進展。自分の「好き」を閉じ込めて生きていたもみじは、「もみじのピッチャーマウンドはどこにある!」という周太の熱い言葉によって、再生していく。

自分の人生の主人公は自分自身。そこには責任も存在するが、全てを受け入れ覚悟して生きることが、生き生きと生きることにつながっていくと、晴れやかになったもみじの表情から感じられた。寄り添うのではなく、常に厳しい言葉で鼓舞する父の本心は、もみじと名付けた由来と、遺した絵に込められていることが判明。そこに隠された深い愛に胸を打たれた。

家族だからこそ、遠慮をして本音を言い合えない。良好な関係を壊したくないと、好きな気持ちを伝えられない。誰もが経験した〝あの日のこと〟が重なる物語。登場人物が口にする数々の響く言葉に観客は、自分自身が輝く「ピッチャーマウンド」についても考えていくのではないだろうかと、約1時間50分の作品を観て感じられた。

ゲネプロ後の囲み取材

――今作の見どころについて教えてください。

山根:本作は、2024年に上演された『鴨の音 第五夜―浅黄の桜―』の姉妹作のような作品です。前作は京都の下鴨神社で上演されましたが、今回は日本青年館ホールの周辺にスポットをあてています。前作を見ていただいた方も、今回は初めてご覧になる方も、どなたでもお楽しみいただける内容になっていると思います。色々な愛の形が体現されている作品で、イチオシは家族愛。そしてもみじと周太がどうなるのかっていうところも注目して観ていただけたら嬉しいなと思います。

佐藤:日本青年館ホールだったり、公演会場の周辺(神宮外苑)で行われていく舞台なので、朗読劇でありながら、いつも以上にこの物語を皆さんが身近に感じることができるのではないかなと思います。今回、自分自身も楽しみにしてるところは、皆さんが聞いたことがあるなって思うような声の方がたくさんいらっしゃること。聞いていて没入感だったり、盛り上がりの感情が乗る1つの要因にもなってるので、そういったところも楽しんでもらいたいです。

――登場人物それぞれが、自分の人生を選択しながら、新たな1歩を踏み出していきます。演じるキャラクターに共感できるところなどがあれば教えてください。

山口:僕が演じる文吾は、絵描きの道を極めたいと歩んできた男。そういう意味では自分もお芝居やりたくて19歳で高校を卒業して、東京に出てきたので、重なる部分っていうのはたくさんありますね。僕の息子も娘も同じく声優という道を選んで歩んでおりますので、そういう意味では文吾が思っている親心が、自分自身に響くところもたくさんあります。山根ちゃんが言った通り、色んな愛の形が出てくる作品です。そういうものをお客様に受け取ってもらえたら幸いだなと思っております。

中井:洋一郎は、文吾の作品が大好きな文吾オタクなんです。で、そのオタクならではの愛がこういう方向に行くんだというのが、僕にとってはちょっとその理解の外というか、結構ファンタジーなんです。全部が理解できないところが、洋一郎のフワッとした存在感になっている感じがします。僕は前作の『鴨の音 第五夜―浅黄の桜―』にも出させていただいているんですけど、そのキャラクターとの共通項みたいなものもありまして、(観客に)『あの人ちょっと不思議な人だよね』っていう印象が残ればと思っています。

三石:えりは文吾と死別して、洋一郎と再婚をしている役どころ。(過去を回想し)『懐かしいね』とか、泣き笑いのようなシーンがあるんですけど、楽しいとか幸せとか嬉しいって誰かと共有している時間っていうのは、今しかなくて、それがずっと続くっていうわけではない。その幸せな時間、大事な人といる時間っていうのは永遠ではないので、大事にしないといけないなと思っているところです。

伊藤:私はまだ子供がいないので、(妊娠するという役は)想像なんですけれども、女性の皆さんは出産とか、子育てなど、(人生の)段階が変わっていく中で、悩みがいっぱいあると思うので、見に来てくれたお客さんも共感できるところがたくさんあるんじゃないかなと思います。(劇中では)ステージが変わって、(周囲から)『置いてかれる』みたいな表現をしてますけど、私もまだ経験はしていないですが、考えてしまうところなので、そこは共感できるところかなと思いました。

重松:(佐藤演じる)周太が、とっても明るくて優しいお兄ちゃんとして存在してくれているので、僕が演じる春道もポジティブでとっても思いやりのある優しい子になったんじゃないかなっていう想像しています。(兄弟の関係が)羨ましくもあり、素敵だなって思うところでもあり、自分もそういう人間になれたらいいなという思いを込めて演じさせていただきました。

熊谷:正直に申し上げますと、共感という意味ではとても難しい人物です。彼は不器用とも違うんですけれども、彼は彼なりにそういう育てられ方をして、そういう言い方しか知らなかった。脚本の灯(敦生)先生とお話させていただきながら、こう少しでも彼のことを自分なりに理解して、咀嚼して、形を作って行かれたらいいなと思っております。

――上演を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

佐藤:今回、台本をいただいて、読んでいて思った感想が、すごくノスタルジックで美しい道徳の授業だなということ。日本青年館ホールという素晴らしい劇場で、心が洗われるような作品を上演できることを本当に光栄に思います。観に来てくださった、そして(配信で)ご視聴いただける皆様に、心が安らぐような、心が洗われるような、見て良かった、聞いて良かったと、思えるような劇を目指していきたいです。ぜひ最後まで、短い期間ですが、応援してもらえれば幸いです。

山根:もみじや周太くん、亜子先輩など、登場人物の誰かに、『何か分かるかも』って思っていただける部分が、必ずあるんじゃないかなと思います。誰々の視点ではこういう気持ちなのかっていうのを、たくさん探しながら、感じていただきながら、最後まで楽しんでいただけたらと思います。来ていただいた皆様に、観られて良かったな、また見たいなって思っていただけるように、キャスト一同、そしてスタッフの皆さん一同で、心を合わせて、力を合わせて、精一杯頑張ってまいります。

取材・文・撮影=翡翠

公演情報

READING WORLD×VISIONARY READING
朗読劇『紫苑のもみじ』
 
期間
2026年7⽉17⽇(金)〜7⽉19⽇(⽇) 計5公演
 
脚本
灯敦生
 
演出
岡本昌也(AOI MANAGEMENT)
 
あらすじ
つつましく「応援席」から誰かを支える日々を送ってきた雨宮もみじだったが、結婚目前で彼氏の浮気が発覚してしまう。逃げるように実家へ帰省した彼女を待っていたのは、家族の温かい迎えと、亡き父・文吾の魂だった。しかし不思議なことに、周囲には届くその父の声が、なぜかもみじにだけは聞こえなくて……。家族や幼馴染の周太を巻き込んだ大騒動が幕を開ける。明治神宮外苑の美しい景色を舞台に、迷える大人たちが自分の足で一歩を踏み出す姿を描く、笑って泣ける家族と恋のエンターテインメント。
 
出演
山根綺 佐藤流司
山口勝平 中井和哉 三石琴乃
伊藤かな恵 重松千晴 熊谷健太郎
 
会場
日本青年館ホール
東京都新宿区霞ヶ丘町4-1
東京銀座線「外苑前駅」2b出口(徒歩5分)
 
[料金(税込)]
S席:11,000円(税込)
A席:9,000円(税込)
※未就学児のご入場はお断りいたします。
 
(C)Thanksgiving / AOI Pro. / サンライズプロモーション
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