SIX LOUNGEのさらなる進化を体感、ツアー東京公演がストリーミングムービーとして期間限定配信中
SIX LOUNGE
Streaming Movie SIX LOUNGE TOUR 2021“THREE”
2021.6.6 USEN STUDIO COAST
大分発の3ピースロックバンド、SIX LOUNGEが全国11ヵ所を回る『SIX LOUNGE TOUR 2021“THREE”』。現在開催中の同ツアーより、6月6日(日)に行なわれた東京・USEN STUDIO COAST公演の模様がストリーミングムービーとして期間限定で配信スタートとなった。
4月にリリースした3rdフルアルバム『3』を引っさげ、5月から開催してきたSIX LOUNGEのレコ発ワンマンツアー。残すは8月23日(月)に大阪 BIGCATで実施予定の振替公演のみだが、このご時世で泣く泣く会場に行けなかったファンも多い。そんな中、つい先日の東京でのライブが超特急で編集、アンコールを含めて全曲公開されたのはなんともありがたい限りだ。
アルバム『3』のオープニングを飾る「カナリア」で始まったライブ。コロナ禍での開催とはいえ、メンバーに気負った様子はまるで見受けられず、自分たちが信じるロックンロールをシンプルに堂々と鳴らすさま、それがキャパシティーの大きい会場においてもしっかりと波及していく感じがのっけから途轍もなくかっこいい。そのパフォーマンスは“俺たちはこれからも変わらないよ”と歌っているようにも解釈できる。
ヤマグチユウモリ(Gt&Vo)が「よろしくー!」と叫んだあとは、イワオリク(Ba)とナガマツシンタロウ(Dr)がタイトなビートを刻む衝動的なダンスナンバー「DO DO IN THE BOOM BOOM」へ。《全くどうも 最低なのさ 中指立てて お前と笑う》と歌われるラインが今のやり切れない状況とかなりシンクロしているのもあって、配信での視聴だろうが踊らずにはいられない。「★」までをダイナミックに駆け抜けたあたりで、観る側にも忘れかけていたライブの楽しさが蘇ってくるのではないだろうか。
「あー、1年待ったねえ。待たせた、コースト。楽しんで帰ってください。よっしゃ、たっぷりやるぜー!」と挨拶し、フロアにピースマークがあふれた「いつか照らしてくれるだろう」以降も快調に飛ばすSIX LOUNGE。ユウモリのMCから汲み取れたのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって昨年の『THE BULB』(2019年12月発表の2ndフルアルバム)のリリースツアーの多くが中止に追い込まれてしまった悔しさ、そしてその埋め合わせがようやくできるという嬉しさだった。最新作『3』の楽曲はもちろんのこと、「★」「23歳」「発光」などこれまで生で聴ける機会が少なかった『THE BULB』の収録曲がセットリストに織り交ぜられていたのも、今回のライブの見どころの一つと言えよう。
「ナイトタイマー」「STARSHIP」と痛快なロックンロールを畳みかけ、さらに上がるライブのボルテージ。メンバー全員でコーラスする「トゥ!トゥ!トゥ!」はもはやキラーチューンと化していて、オーディエンスを含めてシンガロングできる日が待ち遠しい。ポジティブに響いた「上海DOLL」に続き、一転してゆったりと奏でられたバラード「僕らのオレンジ」もいいアクセント。その甘いメロディとブルージーなギターフレーズに酔いしれていると、今度はロマンティックに歌い上げる「星とメロディ」が放たれ、彼らの表現力の豊かさに思わず唸ってしまう。
「IN FIGHT」「無口なカモメ」など、その後は再び3ピースの音が立ったゴリゴリのグルーヴで攻める展開に。バシッと決まった2分弱のショートチューン「うるせえ」に加え、破壊力抜群の「ピアシング」をアレンジを変えながら4回もリフレインする得意のラッシュで大爆発! 普通のバンドならここでフィナーレという熱量なのだが、「発光」でもう一度新たなムードを作り上げていくあたりがSIX LOUNGEらしい。センチメンタルなトーンが染みる「無限の」、どうしようもないほど切ない詞世界にロックンロールのサウンドが掛け合わされてエモさが極まる「天使のスーツケース」と、放心状態のハートに泣ける曲を届けてくるこの流れにはまんまと涙腺がやられてしまった。
「やるぞー! もっともっと良くなるぜー!!」とユウモリが叫び、ライブは佳境を迎える。「Under The Cloud」からまた鋭さを増し、快速で突っ走るエネルギッシュなバンドサウンドが眩しい「スピード」、さらにBPMが上がる「トラッシュ」へと繋ぐ終盤の攻勢もお見事。後半になればなるほど歌が輝き出すユウモリ、疲れなど感じさせずにぴょんぴょん飛び跳ねてベースを弾くリク、「世界中が君を愛してるんだぜ (Baby Boogie)」ではドラムを叩きながらメインボーカルを取るシンタロウ。この3ピースはまったく呆れるくらいにタフだ。そして、本編ラストは「彼女をまってた」。スケールの大きいアンサンブルで歌心たっぷりにラブソングを聴かせ、3人はステージを降りた。
アンコールでは、「(今日は)来にくかったでしょう? そんな中、どうもありがとうございます!」と緊急事態宣言下にもかかわらず会場へ足を運んでくれたお客さんに笑顔で感謝を伝え、「俺はね、2年前にこのコーストでワンマンをやらせてもらってから時が止まってるんですよ。気づいてる人はいないかもしれないけど、その止まった時を掴みに来ました」と胸の内を明かしたユウモリ。想いを乗せた「メリールー」をしみじみとメロウに奏で、ゴキゲンな踊れるロックナンバー「最終兵器 GIRL」「SWEET LITTLE SISTER」でオーディエンスを歓喜の渦に巻き込み、ライブは大盛況のうちに幕を閉じた。
全26曲を通して、ライブバンドたる所以をガツンと見せつけたSIX LOUNGE。本公演の視聴は7月11日(日)22:00まで発売中で、配信は同日23:59まで。期間内であれば何回でも観られるので、この機会に彼らのさらなる進化を体感し、フレッシュで熱いパフォーマンスを目に焼き付けてほしい。
取材・文=田山雄士
セットリスト
02.DO DO IN THE BOOM BOOM
03.★
04.いつか照らしてくれるだろう
05.ナイトタイマー
06.STARSHIP
07.トゥ!トゥ!トゥ!
08.上海DOLL
09.僕らのオレンジ
10.星とメロディ
11.IN FIGHT
12.23歳
13.無口なカモメ
14.うるせえ
15.ピアシング
16.発光
17.無限の
18.天使のスーツケース
19.Under The Cloud
20.スピード
21.トラッシュ
22.世界中が君を愛してるんだぜ (Baby Boogie)
23.彼女をまってた
<ENCORE>
24.メリールー
25.最終兵器 GIRL
26.SWEET LITTLE SISTER