2021年夏休み、思い出のつくりかた 『DinoScience 恐竜科学博』でエモーショナルに恐竜を見つめよう
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『Sony presents DinoScience 恐竜科学博 〜ララミディア大陸の恐竜物語〜 2021@YOKOHAMA』 (C)DinoScience 恐竜科学博製作委員会
2021年9月12日(日)まで、パシフィコ横浜にて『Sony presents DinoScience 恐竜科学博 〜ララミディア大陸の恐竜物語〜 2021@YOKOHAMA』(以下、DinoScience 恐竜科学博)が開催中だ。本展はソニーグループ9社が結集し、総力戦でつくり上げる “新しい恐竜展” である。
展示風景
舞台は今は無き失われた大陸「ララミディア」。まるでファンタジーのような名前だが、白亜紀後期に実在していた大陸だ(現在のアラスカからメキシコまで、西側一帯に相当する)。本展は長い恐竜史のなかで、最後の200万年間のみにフォーカスし、“ララミディア大陸の、しかも中部の、海岸沿いの、低地の、湿地帯” という場所を舞台として、そこに息づいていた様々な恐竜たちのリアルな世界に迫る異例の恐竜展である。例えるなら『ザ・人類展』が「西暦2021年ごろに日本の神奈川県横浜市に暮らしていた人たち展」になったようなものだ。驚きの解像度である。
今回のレポートにあたり、展示を巡ったのはこちらのメンバーだ。
恒陽くん(10):恐竜と昆虫に詳しい小学5年生。ちなみに空手は黒帯の腕前。
恒瑛くん(6):当日はマスクも恐竜柄でコーディネート。生粋の恐竜好き1年生。
ライター小杉(36):ソニーといえば中学生の時に買ってもらったMDプレイヤー。
会期もいよいよ半ば。この記事では “どこがスゴいのか” という視点からはちょっと離れて、『DinoScience 恐竜科学博』の “何が人の心に響いたのか” という点にフォーカスしてお届けしたいと思う。二度とは来ないこの夏の展覧会の、リアルな魅力に迫ることができたら幸いだ。
やっぱり本物のオーラはすごい
展示の順番としては最後の最後になるが、真っ先に挙げたいのはトリケラトプスの実物全身骨格「レイン」だ。
全長7m×高さ3mのトリケラトプス「レイン」 ※ヒューストン自然科学博物館所蔵
とにかくここだけは何度強調しても足りないくらいだと思う。我々が恐竜展で出会う骨格は、そのほとんどがオリジナルを元に精巧に復元された「レプリカ」だ。たいていがコレであるため、わざわざ「レプリカ」とキャプションに記さないことも多い。じゃあ実際にお肉をまとっていた、数千年前に遺されたホンモノの恐竜の骨はいつどこで見られるのか? それが今回なのである。
トリケラトプス「レイン」 ※ヒューストン自然科学博物館所蔵
しかも本展で見られるのは “世界で最も完全で美しい” と言われる、トリケラトプスの実物全身骨格。その名が「レイン」だ。トリケラトプスはカタチが複雑なため、化石になる過程で変形したり壊れてしまうことが多いそう(納得である)。だからこそ、ほぼ完璧な形状を保って6600万年の時を超えた「レイン」は “奇跡の化石” とも言われている。アメリカ・テキサス州にあるヒューストン自然科学博物館から門外不出の至宝だったが、「レイン」にとって初めてのお出かけが、今回、ここ横浜で実現したのだ。
実際に「レイン」と対面して驚いたのは、想像よりずっと丸みを帯びた形をしているということだった。頭骨のインパクトはもちろんすごいけれど、全身がギュッと内側に向かって閉じている感じ、カタマリ感がすごいのだ。6600万年前、確かにこの中に生命が入っていたんだという、みっしりした説得力を感じた。
ティラノサウルス「スタン」 ※ヒューストン自然科学博物館所蔵
隣に並ぶ、ティラノサウルスの「スタン」の迫力だって負けていない! 歯の一本一本に生態系の頂点としての風格が漂う。360度好きな方向から眺められるので、思う存分口の中を覗きこんで冷や汗をかこう。
6600万年前の風を受けて
ソニーの現時点での技術の最高傑作という、横幅12m×高さ6.8mの「Crystal LED」大画面だ (C)DinoScience 恐竜科学博製作委員会
「白亜紀体験シアター」では、主催であるソニーの本気がにじむ高精細なフルCG映像を体験できる。このムービーは企画から製作まで約2年を費やしたという。監修の恐竜くんが徹底的に細部までこだわり抜いて、恐竜の造形・質感・動き方、さらに背景の植物たちにいたるまで、最新研究に基づいたリアルさを追求したのだとか。映像に合わせて足元の床が振動したり、風が吹いたり、まるで本当に大地を駆け抜けているかのような実感が得られる。
ふたりとも、空を飛んでいるみたいだよ! (C)DinoScience 恐竜科学博製作委員会
ふたりの柔らかい髪が風を受けているのを見て、本展は子供たちを6600万年前の世界に連れて行ける稀有な機会なのだとしみじみ思った。なんと今年の夏休みの行き先は “白亜紀” である。
鑑賞後「すごかったね!」と声をかけると、ふたりとも笑顔で「うん……すごかった!」と答えてくれた。映像の説得力は、図鑑のどんな言葉にも勝る。ホネではなく生身の動物として恐竜を感じることができる素敵な体験だった。
イキイキ白亜紀劇場
子供トリケラトプスの骨格標本は、本展のため「レイン」の骨格を元に科学的に再現し、世界で初めて組み立てられたものだ
「フィールドツアー〜少年トリケラトプスの冒険〜」のパートでは、好奇心いっぱいのトリケラトプスの子供が群れから離れ、小さな冒険をする物語を追体験していく。特筆すべきはその感情豊かなポージングだ! 驚いて飛び上がったり全力で逃亡したり、生き生きと動く骨格につい笑ってしまう。
骨格は恐竜の他にもワニや亀など、合わせて20体が展示されている
上の写真、右はティラノサウルスの幼体。まだ中型犬ほどの大きさなので「これくらいだったら勝てるんじゃない?」と恒陽くん(黒帯)に水を向けると、「いや、無意味な戦いはしない……」とカッコよすぎる答えをいただいた。
ケツァルコアトルスは、空を飛ぶ生物としては史上最大と言われる
全長10mの翼竜ケツァルコアトルスを前に。こんなのが空を飛んでいたなんて! と戦慄する大人をよそに、恒瑛くんは余裕の表情だ。
「大きいね! 怖くない?」「化石は動かないから怖くないよ」「ねえ、もしこれが動いたらどうする……?」「エイって(隙をついて)壊しちゃうから怖くない!」
実に頼もしい。少年の側を離れないようにしようと思った。
ふむふむ、子供トリケラトプスが逃げないということは、左のシルエットは植物食のエドモントサウルスだな……
背後の壁には、森を行き交う恐竜たちのシルエットが投影されている。子供トリケラトプスのトコトコ歩く姿がとにかく可愛いので、時間が許せばしばらく眺めているのがオススメ。ちゃんと肉食恐竜が通るときには身を隠したり、やり過ごしてからそ〜っと顔を出したり……。子供トリケラトプスの芝居心が感じられて面白い。
あっ!足跡見つけた!
床には小さな足跡が残る、芸の細かさ。企画者の恐竜愛を感じるポイントだ!
恐竜にも人生(?)がある
「発見ラボラトリー」のコーナーは一見すると解説の文字が多くてひるみそうになるが、実はここにも心が動くポイントがいっぱいだ。本展では徹底して “恐竜も我々人間と同じ、生き物・動物である” というメッセージを感じさせてくれる。
例えば、中央でイキイキと立つゴルゴサウルス。解説パネルを読むと、実はこう見えて脳腫瘍があり、そのせいなのか身体中傷も多く、満身創痍なのだということがわかる。それでも捕食されずに生き残り、化石となって時を超えてきたタフガイなのだ。彼(彼女?)の波乱万丈な人生にちょっとだけ想いを馳せてみた。
ゴルゴサウルスもまさか2021年の横浜に立つことになるなんて思ってもみなかっだろう
個人的に特に心に引っかかったのは、ティラノサウルスの成長段階について解説した模型だ。
巨悪なアゴの頭骨も気になるけれど、右手の模型に心惹かれる
それぞれキャプションには「孵化直後のヒナ」→「2歳ごろの幼体」→「13歳ごろの成長期の亜成体」→「20歳前後の成体」→「30歳前後の老成した個体」とある。
13歳ごろの成長期の亜成体が、幼体相手にふざけているのも新鮮
ぜひ会場で、右端の老成した個体をよく観察してみてほしい。ティラノサウルスといえば生態系の頂点に立つものとして、20歳前後のオラオラな完全体で描かれることがほとんどだろう。こんな弱々しくショボショボした目のティラノサウルスなんて、想像したことも無かった……。でも確かに、色々な年代のヒトがいるのと同じように、当然、こういうティラノサウルスだっていたのだ。いかに自分が恐竜をキャラクターとしてしか捉えていなかったかに気付き、ハッとさせられた。
グッズやフード、ショップも充実
そして、恐竜大好きな恒瑛くんが敏感に反応したのがグッズ販売コーナーだ。会場内の「DinoScience Store」では、約200ページの公式図録をはじめ、バラエティ豊かな恐竜グッズが待っている。
ミュージアムショップ
さらに、フードコーナー「美食恐竜のキッチン」では本展オリジナルの恐竜フードメニューも! 凝ったデザインのものが揃っているので、子供も大人もテンションが上がりそうだ。
恐竜の顔をイメージしたハンバーガーの「恐竜BOX」
かなり再現度高し!「マスクケーキ トリケラトプス」と「マスクケーキ T.レックス」
「私はやっぱりティラノサウルスが好きだな。恒瑛くんは?」
「うーん、ヤンチュアノサウルス」
「その恐竜は知らないなあ。どんなもの?」
「ティラノみたいなので、ヒレがあるの」
「性格は?」
「やんちゃなの」
「……うまい!!」
恐竜グラスガーデン(税込1,800円) (写真=オフィシャル提供)
ちなみに会場内の特設コーナーでは、「トレジャーハンター! 化石発掘体験」「恐竜グラスガーデン」「恐竜せっけんづくり」の3種類の恐竜ワークショップも開催される。いずれもお土産として成果を持ち帰れるタイプのものなので、夢中になった1日の仕上げとして参加してみるのも楽しそうだ。
恐竜についていっぱい話そう
「レイン」と恒陽くん・恒瑛くんの歳の差はおよそ6590万歳だ (C)DinoScience 恐竜科学博製作委員会
「夏休みの自由研究はどうするの?」という質問に、最近始めた野球をテーマに何かやってみようと考えている、という恒陽くん。会場出口で「でも……やっぱり恐竜もいいかなって思った」と、はにかみながら付け加えてくれた。欧米で言われている通り、まさに恐竜は子供たちにとって “科学の扉”。せっかく自由な時間が手に入る季節だからこそ、夏は壮大な恐竜の世界に触れるのにぴったりなのではないだろうか。
パシフィコ横浜にて開催されている『DinoScience 恐竜科学博』は、2021年9月12日(日)まで。何かを想像したり新しい知識を吸収したりするとき、人の眼って自然と輝くのだと改めて実感する取材だった。
文=小杉美香 撮影=草刈雅之
展覧会情報
会期:2021年7月17日(土)~9月12日(日) ※会期中無休
※土・日・祝日・特定日は、事前予約/日時指定入場制(先着順)
※特定日:8月7日(土)~8月15日(日)
時間:月・火・木・日 9:00~18:00(最終入場 17:30)、水・金・土・祝日・特定日 9:00~21:00(最終入場 20:30)
会場:パシフィコ横浜 展示ホール A
主催:DinoScience 恐竜科学博製作委員会
(ソニーグループ株式会社、ソニー株式会社、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、ソニーPCL、アニマックス、キッズステーション、 フロンテッジ、イープラス)
特別協賛:ソニーグループ株式会社
協賛:KDDI、凸版印刷、バンダイナムコグループ、ソニー生命保険、Xperia、ソニーネットワークコミュニケーションズ
後援:神奈川県、横浜市、TBS、BS-TBS、朝日新聞社
特別協力:ブラックヒルズ地質学研究所、ヒューストン自然科学博物館
協力:日本通運、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ、ソニーフィナンシャルグループ、(公財)横浜観光コンベンション・ビューロー
企画・監修:恐竜くん(田中真士)
公式サイト:https://dino-science.com
お問い合わせ:公式サイトより、イベント事務局までご連絡ください。
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