よりゴージャスに!川平慈英&シルビア・グラブが「ショーガール」再演を語る!
川平慈英、シルビア・グラブ
お客様を「あっ!」と言わせたい性分なんです。「そうきたか!」って。
脚本・作詞・構成・演出を三谷幸喜が手掛け、川平慈英&シルビア・グラブのコンビで上演された三谷版「ショーガール」。本作が再びパルコ劇場にかえって来た。前回は同時期に同劇場で上演されていた舞台「君となら」のセットをそのまま使って上演する、という斬新な演出だった。今回は単独公演。いったいどんな公演となるのか、川平とシルビアに話を聞いた。
――今回の再演ですが、どんなことをやろうとしているのですか?
川平:実はまだ内容に関しては三谷さんと話をしていないんです。おそらく「ショーガール2」というただの「再演」ではないと思います。あの三谷さんがまったく同じものをやる訳がないので。絶対なんらかのプラスアルファをつけてきて世に出すのではないかな、と。
1時間の上演時間であと何を加えるのか…あれ?代って前回より1000円高くなるんだっけ?じゃ、1000円分シルビアの衣装がハデになって…。
シルビア:ちょっと待って(笑)え?あれよりキワドイのになるの!?早替えが間に合うかなー?前回の公演は、かつてないくらい早替えが大変だったので、…そうだね、衣装が増えるならジェイのほうで増やしてほしいなあ。
シルビア・グラブ
川平:俺、増やしようがないよ(笑)
シルビア:まだ前回の反省会もしていないので、これからどうよくしていくか、どうやっていくか、これから話し合いながらやっていかないとね。
川平:僕に要求されていたのは、「よりシンプルに、より二の線で」だったので…笑っちゃうくらい。昔、役者になった最初の頃はよくやっていたんですよ。二の線で悪役でニヒルで…でもそのあと、僕のフィールド…というか要求される役が、いわゆる「川平節」的で(笑)そんな僕の原点に還る、シンプルで「静」の部分…ここ何十年、僕に要求されていない「二の線」を三谷さんは非常に期待されていたし。今回もどこまでハードボイルドで、あまり見せたことのない…「え?黙っていればかっこいいじゃん」ってところを強いてやりたいですね。
シルビア:二人とも課題はありましたよね。私は「地味な女」。最初、台本がきてキャラクター設定を目にしたときに「え?そこ?」って思ったんです。やっぱり(三谷さんは)楽をさせてくれないな、って。だから、いかに地味にやるかが…。やっぱり外向きにわーっと出ちゃうんでしょうね。特に顔が(笑)
川平:二人とも、普通にやっていても「クドイ」って言われちゃうから。
シルビア:でもこの作品のおかげで地味な役が来るようになりました。
川平:(芝居の)間口が広がりましたね。…僕には二の線の仕事は来ませんが…クーーッ!(笑)
あ、でも舞台「趣味の部屋」では割とそっち寄りかな。
――伝説の作品「ショーガール」を三谷さんが手掛けるということで、三谷さん自身に特別な熱を感じたりしましたか?
川平:三谷さん、ご自身の中で「失敗することは絶対許されない」っていうテンションで臨んでいましたね。
シルビア:脚本はあるけれどショーの部分はどうする?ってときに、みんなで一緒に作った感はすごくありました。特に歌と踊りの部分はね。
川平:三谷さんもまじえてね…普段はあまりないですから。おもしろい演技をすれば「それおもしろいので取り入れよう」という柔軟性はあるけれど。芝居部分は基本的に三谷さんが動かしているんです。
シルビア:でも本編の部分で歌が入ってきたときは、割と私たちに任せてくれてたよね。その中で「こうしてほしい、ああしてほしい」って要望を出して。結果、荻野さん含めて4人で一緒に作った感があります。
川平:前回、三谷さんが非常に苦労されている姿を見ていました。「ショーガール」というブランドをリスペクトしつつ、かつ、三谷ワールドとして自分の作品にしなければならないから。だからこそ、再演が決まったということは、三谷さんに何か確証があるんだと思う。「あそこはこうやればよかった」とか。だから今回はより三谷版「ショーガール」としてパワーアップすると思いますよ。
川平慈英
――では、お二人が今回の再演でチャレンジしてみたいことはありますか?
川平:俺あるんだよねー。楽器やりたいんですよ!
シルビア:鼻笛以外で?
川平:鼻笛以外で(笑)俺は、シルヴィー(シルビア)がベースで俺がギター。シルヴィーにベーシストのイメージがすっごいあるのよ。
シルビア:うわー。それは早めに言って!じゃないと間に合わない!
川平:黒人女性の二人組で「デイスト・ザ・バニー?」っていうグループがいてね、そのイメージ。ベンベンベンってチョッパーで弾くの。ほら、すごいかっこいいと思うよ!なんかできそうな感じがするんだけど。
シルビア:私、まったくやったことないわよ。経験ゼロよ。
川平:前にサックスをやるって話が出たんだけど、歌いながら吹けないからってボツになった。
シルビア:でもこの前、ベース弾きの人に聴いたんだけど、なぜベース弾きが歌わないのかっていうと、リズム隊だから主線を歌うのがすごい難しいんだって。
川平:じゃあダブルギターで行こうか。
シルビア:もう、(三谷さんに聴かずに)勝手に進めちゃうのね。
川平慈英、シルビア・グラブ
――この取材記事で「ギターを弾きます」って書いておけばいいんですね(笑)
川平:ちょっと(三谷さんに)電話しておこうっと(笑)で、本番にギター持って出てきたら「ああ、ジェイのアイディアだな」と思ってね。なかったらゴメンナサイ!却下されましたって!(笑)音楽打ち込みで楽器はアテでやるというのもできるんだろうけど、本当に楽器をやりたいんだよね。
シルビア:でも楽器やるとなったら私たちだけで大丈夫?
川平:大丈夫っしょー!「Well Shake it up baby~♪」(歌いだす)のあのメロディとかさ、今からやれば1~2曲くらいなんとかなる。シルヴィーがベースをエアで弾くなら、演奏が終わったな、と楽器を置いたのにまだ音楽だけ鳴っているからあわてて楽器を持ち直して…三谷さんだったらこの展開で採用になるかも。
あとZZ Topみたいに楽器を回しちゃう?で、最後に楽器を壊しちゃう…って最悪だ(笑)ともあれ、稽古中にいろいろなアイディアを出していこうと思っています。
――いろいろ出てきたネタが実際どれだけ採用になるのかが楽しみです。
川平:でも稽古場でこれ、無理だろうと思って言ったことを、三谷さんが「いいね、それ」って採用したりするからね。
シルビア:まさかこれが通るなんて!ってね。前回やった、腕でアルファベットを作って「KOIKE KEIKO」とか。あれは絶対却下されると思ったのに本番ではやってましたしね。
シルビア・グラブ
――川平さんは楽器をやりたいとおっしゃいましたが、シルビアさんは今回特にどのようなことをやってみたいですか?
シルビア:やっぱりショーの部分をバージョンアップはしたいですね。お芝居は三谷さんにお任せで。
川平:タップはどう?
シルビア:タップシューズに履き替える時間があるなら(笑)あの衣装だとヒールですからタップ踏んでもやはり聞こえないんですよね。前回、ジェイがタップを少し踏んだのを観て、お客様から「あれ?シルビアはタップ踏まないの!?」って突っ込まれたことはありました。
川平:この方(シルビア)もそうですが、お客様を「おっ!」と言わせたい性分なんです。「そうきたか!」って。お客さんが楽しむことを素直に考えれば、僕はアリじゃないかなって思うんですよ。
川平慈英
――来年3月の上演に向けてまずは反省会からですね。
川平:前回よりはゴージャスにやりたいですね。決して力技ではなく、内容とクオリティでゴージャスに。この前、中井貴一さんに「海外に行かなくてもこういうショーが渋谷のパルコ劇場でできるんだね。公園通りで観られるんだ。嬉しい」と言われたことが何よりも嬉しくてね。
三谷さんがどんな飛び道具を持ってくるか、楽しみですね。とはいえ、三谷さんも今忙しいから。
シルビア:NHK大河ドラマ(「真田丸」)がね。
川平:「大河」の中に「ショーガール」っぽい場面入れちゃえばいいのに!着物でゲタップとかさ。
シルビア:出そうな時代かなあ?
川平:南蛮人のバテレン役とか。
シルビア:顔を真っ白に塗ればわからないよたぶん(笑)
川平:スペインからきた道化師とか。そして大玉に乗って曲芸を…。
シルビア:私、大玉に乗ろうか?(笑)
川平:あ、それなら今回「ショーガール」で大玉に乗ってみるとか…
シルビア:出た!!(笑)実は前回の「ショーガール」で大玉乗りを提案したんだけど、却下されまして。だから「Shoes on!」で乗ったんですよ(笑)
川平慈英、シルビア・グラブ
KOKI MITANI's SHOW GIRL
「ショーガール」~こんな出会いも悪くない~
■日時:2016年3月13日 (日) ~22日 (火)
■脚本・作詞・構成・演出:三谷幸喜
■作曲・編曲:荻野清子
■出演:川平慈英、シルビア・グラブ
■演奏:ピアノ/荻野清子、ベース/一本茂樹、パーカッション/萱谷亮一
■公式サイト:http://www.parco-play.com/web/program/showgirl2016/