佐藤隆紀(LE VELVETS)&屋比久知奈が語る『STAND UP! CLASSIC オペラ・ミュージカル 新春歌合戦』~豪華ニューイヤーコンサート、聴きどころは?
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屋比久知奈、佐藤隆紀(LE VELVETS)
2022年1月4日(火)Bunkamuraオーチャードホールにて『STAND UP! CLASSIC オペラ・ミュージカル 新春歌合戦』が開催される。2018年、2019年と開催された国内最大の全野外型クラシック音楽祭『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL』(通称:スタクラ)シリーズのひとつとして初開催される本公演。
中川晃教/LE VELVETS/屋比久知奈/小林沙羅/西村悟(予定)らオペラ・ミュージカルで活躍する面々が集い、『トゥーランドット』『こうもり』といったオペラの楽曲から、ミュージカル『エリザベート』『RENT』『ウエスト・サイド・ストーリー』『ミス・サイゴン』『モーツァルト!』『レ・ミゼラブル』まで、王道のラインナップで ”歌合戦”と題して新春を祝う。
今回、SPICEでは出演するLE VELVETSの佐藤隆紀と、屋比久知奈にインタビュー。コンサートに懸ける思いや来年の抱負などを聞いた。
屋比久知奈、佐藤隆紀(LE VELVETS)
ーーまずは、今回の出演にあたってのお気持ちからお聞かせください!
佐藤:本当に豪華なメンバーがそろっているので、どういうコンサートになる楽しみです。自分も皆さんにいい歌を届けたいなと思います。
屋比久:本当に!まずオペラとミュージカルのコラボレーションが面白いなと思います。私自身、オペラに関して知識が全くないんですけど、オペラとミュージカルという異なる表現方法が交わって、またきっと違う音楽の魅力が見えてくるんじゃないかなと思って、私自身もすごく楽しみです。素敵な皆さんと一緒に歌って、新春を過ごせることにとてもワクワクしています。精一杯頑張りたいと思います!
佐藤:今回はLE VELVETSのメンバーソロの曲も多いので、今までのスタクラとはちょっと違った見え方になるのかなと思います。
ーー曲目の一部も発表されていますが、ぜひ楽しみにされている曲があれば教えてください。
屋比久:やっぱりシュガーさん(※佐藤の愛称)と歌えるのは、めちゃくちゃ楽しみですよね。
佐藤:僕も楽しみですね。
屋比久:『レ・ミゼラブル』で共演させていただいたときに「いつか歌いたいね」とちょうど話していたんですよね。
佐藤:そうそう。レミゼの松本公演のときに、すごく縁を感じたんです(笑)。至る所で屋比久ちゃんに会うんですよ(笑)。
佐藤隆紀(LE VELVETS)
屋比久:そう、どこに行ってもシュガーさんがいるんです(笑)。
佐藤:公演が終わって、買い出しに行ったときにも会ったし、帰り道も会ったよね?
屋比久:会いました。全然違うタイミングで出たのに! 私、付いていってないですよ?(笑)
佐藤:10回ぐらい鉢合わせたよね(笑)。なんか縁を感じるね、なんて言っていました。僕はレミゼの公演中に、屋比久ちゃんの「オン・マイ・オウン」を聞いて、めちゃくちゃうまいなと思って。何回も言ってるんですけど、毎回、「お〜」とか「いや、すごい〜」とか、袖で思っていました。メイクさんとかスタイリストさんとかにも「すごくないですか?」って(笑)。いや、本当に歌声がパワフルなんですよね。この細い体から、あれだけのパワフルな声がどうやって出るんだろうと思いません?
ぜひ一緒に歌いたいなと常々思っていて、たまたま一緒に帰ったときに、このSTAND UP!で一緒に歌えるなら、何がいいかという話になったんですよ。今後(屋比久さんは)『ミス・サイゴン』をやるし、僕は柄ではないんですけど(笑)「世界が終わる夜のように」を歌いたいとなって……リクエストしたんです。
屋比久:もう大興奮でした! 本当に歌えるんだと思って、すごく嬉しかったです。シュガーさんには、'19年のレミゼの頃から本当にたくさん助けていただいていて、声に関することの相談をしたり、シュガーさんの歌声から、音楽というのは、楽譜に気持ちを乗せることで伝わるんだということを学ばせてもらったり。レミゼの舞台では一緒に歌っていないので、今回、こうして一緒に1曲を表現できることが嬉しいです。
しかも「世界が終わる夜のように」は、私自身、まだ本番では歌っていないので(※2020年の『ミス・サイゴン』はコロナ禍で中止になった)、そういう意味でも新鮮な気持ちでシュガーさんクリスとの歌唱を楽しみたいです。
屋比久知奈
佐藤:結構、キーが高いんですよ。どんな風に歌っているのかなと思って、この前の本役でクリスをやっている小野田(龍之介)くんとご一緒したときに、「小野田くん、今度屋比久ちゃんと歌うんだけど」と言ったら、小野田くんが「ジャン・バルジャンやっている人と歌うなんて、屋比久ちゃん、どんな気持ちでこの歌を歌わないといけないんだよ」と突っ込まれて(笑)。確かにそうだな……これはまずいな……と思ってダイエットを開始しました(笑)。
ーーこの1曲のために!(笑)
佐藤:はい。屋比久ちゃんにね、ちゃんと役に入ってもらって、歌を歌ってもらうために。
屋比久:大丈夫ですよ。シュガーさんにもうメロメロですから(笑)。
ーーそのほかレミゼの歌もたくさん歌われますね。
佐藤:屋久比ちゃんの「オン・マイ・オウン」。楽しみですね。また袖で「あ〜」と胸にしみるだろうな(笑)。
屋比久:本番中、いつもシュガーさんの言葉に支えられていました。私はどんなに稽古をしても、不安に思ってしまうタイプなんですが、シュガーさんに褒めてもらえるのは、一番嬉しくて……!
佐藤:本人にしか分からないようなミスってあるじゃないですか。聞いている人には全然分からないような“ミス”。屋比久ちゃんはそういう“ミス”で、結構落ち込んでいたので「いや、そんな落ち込むことないよ。素晴らしいから、きょうも!」と言っていました(笑)。
屋比久:その絆を歌で表現したいですね(笑)。
佐藤隆紀(LE VELVETS)
屋比久知奈
ーー他に楽しみなナンバーはありますか?
屋比久:私はシュガーさんがLE VELVETSのみなさんと歌っているのを生でお聞きしたことがないんです。だから、それがまず楽しみ!ワクワクしています。
佐藤:頑張ります。またみんなで歌うとなると、バランスもあるので、ソロ曲とはまた違う印象でしょうね。
屋比久:それからアッキーさん(※中川晃教)も初めてご一緒します。ドキドキわくわくしつつも、緊張してます。アッキーさんの技術と声は天才的で、さらに音楽に対しての向き合い方がストイックだとお聞きしているので、きっとご一緒する1曲だけでも学ばせていただくことがたくさんあるんだろうな、いろいろ学ばせていただこうと思っています。
佐藤:確かにアッキーさんは「THEアーティスト」。こだわって作ってくるんじゃないですかね。アッキーファンは必見ですよ!
ーー緊張されているなか、佐藤さんがいらっしゃるのは心強いですね。
屋比久:本当に! このメンバーを見たときに「シュガーさん!」と思わず叫びました。シュガーさんの後ろをついていきます(笑)。
佐藤:全然大丈夫だよ、皆さんいい人だから。
屋比久:めっちゃ楽しみです。内容的にも、ボリューミーなコンサートになりそうです。
屋比久知奈
ーー本番は2022年。ぜひ2021年を振り返っていただきつつ、来年の目標や抱負を語っていただきたいです。
屋比久:今年はコロナとずっと向き合いつつ、でも舞台界に活気が戻ってきて、実際に私も舞台に立つことができ、舞台に立てるということのありがたさを感じつつ、それが当たり前ではないことを痛感する1年でした。やっぱり自分はこの仕事が好きだなって思ったし、ご縁や繋がりに支えられて、みんなで舞台芸術を作れることがいかに幸せなことか感じました。
2022年は、この数年自分が感じたことを糧にして、1回1回大切に心を込めてやっていきたいです。うまく言えないんですけど、コロナ禍だったからこそ感じたこともたくさんあって、そういった経験も糧にして、舞台で表現していきたいです。
そして昨年、コロナ禍で中止になった『ミス・サイゴン』が上演される年でもあるので、本当に本当に出演できますように、叶いますようにと今から願っています。改めて気合いを入れて、2022年も積み重ねていきたいです。
ーーコロナ禍でご自身と向き合う時間があったということですね。
屋比久:いろいろ自分を振り返って、自分と向き合う時間が本当にたくさんあったので、それこそ「なぜこの仕事やってるのか」とか「どういう意味を持って取り組んでいきたいのか」とか考えました。改めて腑に落ちたことがたくさんありましたし、今後挑戦してみたいことを明確にできた時間でした。
ーー佐藤さんはいかがですか?
佐藤:今、屋比久ちゃんが話していたように、コロナで、当たり前が、本当に当たり前じゃないんだな、お客さんの前に立たせてもらえることが本当にありがたいことなんだなと痛感した1年でした。
今年は『レ・ミゼラブル』を通して成長させてもらった年だったかな。まぁ今年に限らず、2019年からレミゼに打ちのめされ、自分の能力の低さを痛感し、もっとやれるんだと思えるようになったんです。限界を感じていたところも、いやいや、まだもっといけるんだ、もっとやっていくとこういう世界が見えるんだ、と。来年も、今の自分に限界を感じず、もっともっと、昔目指したあの一流の歌手のようになりたいなと思います。どんどんトライしていきたいです。
あと、やるやる詐欺をずっとしてきた肉体改造をそろそろやります(笑)。ここ2、3年、ファンの人に言われているので(笑)。バルジャンをやると、どうしてもね……(笑)。
佐藤隆紀(LE VELVETS)
屋比久:しょうがないです。バルジャンやるには食べてください。
佐藤:優しいねぇ(笑)。でも2022年は、バキバキのシュガーを目指します。名前はシュガーだけど、体はノンシュガーでね(笑)。自分にもっといろいろ課題を出して、成長していくことが、見に来てくださった皆さんや応援してくれている皆さんへのお返しになるのかなと思うので、どんどん自分に向き合って高めていきたいなと思います。
ーーありがとうございます! 改めてこのコンサートを楽しみにされている皆さんへ一言お願いします!
屋比久:知らなかったミュージカルの楽曲を知るきっかけになったり、知らなかったオペラの世界を知るきっかけになるのではないかなと思います。それぞれが極めてきたものは、違う表現方法/ジャンルですが、やはり一つの芸術ということは変わらない。来ていただいたみなさんには、歌って素晴らしいな、音楽って素晴らしいなと感じていただけると思いますし、私自身も感じる1日になりそうです。ぜひお気に入りの1曲を見つけていただきながら、ホールに響き渡る歌声と音楽を楽しんでいただけたら嬉しいです。私自身楽しみながら、精一杯努めます。
佐藤:本当に1人1人が自信をもってお届けする曲が詰まったコンサート。どこを取っても贅沢な時間になるんじゃないかなと思います。オペラにあまり馴染みがない方も、小林沙羅さんと西村悟さんは本当に素敵な歌声なので、ぜひ聞いて欲しいですね。
小林さんは、僕がたまたま友人目当てで聞きに行った東京藝術大学のメサイアで歌ってらっしゃって、めちゃくちゃうまいなと思った記憶があるんですよ。また、テノールの西村さんが歌う『ウエスト・サイド・ストーリー』もすごく楽しみ。オペラにあまり興味ない人、そして逆にオペラが大好きだけど、ミュージカルにあまり興味ない人も、クロスオーバー的な感じで楽しんでいただけたら嬉しいですね。お正月から豪華なメンバーが揃っているので、新年一発目、景気良く、2022年幕開けをしていただきたいなと思います!
屋比久知奈、佐藤隆紀(LE VELVETS)
取材・文=五月女菜穂 撮影=池上夢貢