溢れ出るエンドルフィンッッ‼︎『連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ』内覧会レポート

2022.3.25
レポート
アニメ/ゲーム
アート

『連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ』

画像を全て表示(19件)

舞台は東京ドームシティ……『刃牙』ファンならばこれだけで胸が熱くなる会場だ。大人気格闘漫画『刃牙』シリーズの連載30周年を記念して、ファン待望の展覧会が幕を開けた。『連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ』は、2022年3月5日(土)から4月17日(日)まで、東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)での開催だ。

漫画だけでなく、アニメ、ドラマにパチンコなど、多様なメディアミックス展開を行っている『刃牙』シリーズ。物語は主人公・範馬刃牙(はんまバキ)と、その父であり地上最強の男・範馬勇次郎、そして次々に現れては散ってゆく超人的な能力を持つ格闘家たちによって紡がれていく。激しく残酷に、ときに美しく哲学的に繰り広げられる漢たちのバトルは、語尾に「ッッ‼︎‼︎」を伴う独特なテンションも相まって、見るものの血を滾らさずにはいられない。

会場風景

本展では、作者・板垣恵介の直筆原稿やカラー原画約180点が展示される。さらには立体作品やフォトスポットなど、『刃牙』シリーズの世界に身体ごとダイブできる企画が用意されているのもポイントだ。それでは早速、展示内容を見ていこう。

伝説は1991年に始まった

会場風景

展示はシリーズ第一部「グラップラー刃牙」から始まり、第二部「バキ」〜第三部「範馬刃牙」〜第四部「刃牙道」、そして現在『週刊少年チャンピオン』にて連載中の第五部「バキ道」へと、発表順に構成されている。歴史をなぞることで、人物やバトル表現が30年でどう進化してきたのかがよく分かる設えだ。壁の原画の合間には、各シリーズに登場する好敵手たちが名言とともに紹介されていてカッコいい。

会場風景

上段は、記念すべき第一話のカラー原画。時代を経るごとにメキメキと色気を増していく主人公の刃牙も、この頃はなんとも言えずいい子っぽいルックスである。ちなみに下段は、刃牙がプロレス界の巨人・マウント斗羽にトドメを刺した瞬間。シリーズを通じて、明らかにあの人がモデルでは……? と分かるキャラクターが度々登場するのも本作の面白いところだ。

地下闘技場へ、いざ入場!

第一部「グラップラー刃牙」の中でも特に人気の高い「最大トーナメント編」に入ると、38人(+α)の個性豊かなキャラクターたちがそれぞれ独自のワザで局面を彩っていく。効果線&擬音を駆使した、攻撃の的確な描き分けを堪能しよう。

会場風景

そして最大トーナメントの舞台となっているのは、東京ドームの地下6階に存在しているという設定の「地下闘技場」。なんと本展では展示のハイライトとして、その「地下闘技場」を会場内に実物大で再現しているのである!

会場風景

クラウドファンディングによって実現したこの企画は、刃牙ファンたちの熱い支援の賜物である。足を踏み入れると、等身大の範馬刃牙(右)と徳川光成(左奥)がお出迎え。足元の半分ほどにはリアルな砂が敷き詰められており、よく見ると闘技者たちの剥がれた爪や歯などが落ちている。

会場風景

せっかくなので、地面から刃牙を見上げてみた。倒された闘技者たちにはこんな光景が見えていたのだろうか。ああ、照明を照り返す筋肉が眩しい……。

会場風景

観客席から見ると、こんな感じ。なお闘技場内にはARの仕掛けも施されており、スマートフォンアプリ「COCOAR」を利用すると、週替わりで登場する人気キャラクターたちと一緒に写真を撮ることが可能だ。

会場風景

最大トーナメントの勝者のみが手にすることができる、時価10億円とされるチャンピオンベルトも! 眼福である。

あのキャラクターも参戦!

さらに、クラウドファンディングによって再現されたのは「地下闘技場」だけではない。目標額達成後にネクストゴールとして「等身大ジャック・ハンマー」参戦の目標が掲げられると、こちらも見事にゴール達成。晴れて、ジャックも本会場への参戦と相なった。クラウドファンディングのサイトをチェックしたところ、この展覧会への支援総額は当初の目標額の873%にまで達しており、そこにファンたちの愛と期待を感じずにはいられない。

会場風景

等身大ジャック・ハンマーは身長2m43cm! さすが、一日30時間の鍛錬をこなしているだけあって堂々たるボディである。足元には、作者による描き下ろしイラストが併せて展示されているので、見比べて再現度の高さを実感してみよう。

会場風景

再現度の高さと言えば、第三部「範馬刃牙」に登場する、アメリカ合衆国最強の男ビスケット・オリバの姿にもつい笑ってしまう。左手にあるボール状のモノが、守りを固めて球体になった状態のオリバである。近くで見ると、ちゃんとヒョウ柄のパンツを履いているという芸の細かさだ。

痺れるほどの愛と拳

ここで『刃牙』シリーズ異色の作品にも注目したい。「強さ」とは何か? を至上命題として戦いに明け暮れる刃牙だが、特別編「SAGA(性)」では雄としてのもうひとつの戦いである「恋愛」に全力で向き合っている。とは言っても単純なエロではなく、深い精神性をたたえた交わりの表現は、人と人がぶつかり合うとはどういうことなのかを真剣に考えさせてくれる。

会場風景

特筆すべきは、下段中央にあるキスシーンのカラー原画だ。人体模型のように骨も血管もスケスケで、そのとき皮膚の下で何が起きているのかが丁寧に描き出されている。恋愛なんて結局ただの電気信号、脳のまやかし……という見方もあるだろう。しかしこの一枚を見たあとは、そんなスカしたことはもう言えないのではないだろうか? たかが電気信号、されど電気信号である。真っ赤な肉体と青白い光の対比が特に美しいので、ぜひともこの一枚は生で堪能してみてほしい。

会場風景

そして人と人とのぶつかり合いという意味では、恋愛と戦いはほとんど区別がつかないくらいよく似ている。第三部「範馬刃牙」の最終局面、ついに叶った刃牙VS勇次郎の親子対決の描写にも、作者が思う他者との関わり方のひとつの理想を見ることができるだろう。それにしても、擬音のインパクトがすごい。下段に至っては「ガッ」なのか「ギッ」なのかわからないけれど、それでも聞こえたような気がするから不思議だ。

心奪う名シーンを再現

会場内には、刃牙の必殺技のひとつ「トリケラトプス拳」を再現できるフォトスポットが用意されている。抜かりなく、隣にポーズのお手本となりそうな原画が配置されているのがうれしい。

会場風景

絵の力もさることながら『刃牙』シリーズの大きな魅力は、誰かがスゴイ技を繰り出した時の「…」や「!」を多用した表情豊かなリアクションではないだろうか。「なんじゃそりゃ!」と笑いたいのに、真剣勝負は待ったなしで進んでいく。結果、読者は腹に力を入れたまま「もっと……!もっとッッ‼︎」とページを捲ることになるのである。

会場風景

他にもフォトスポットとして、大人気キャラ・花山薫の「花山組事務所」や、親子喧嘩中の名シーン「エア夜食」の場面などが会場内に再現されている。展覧会の前期では、実際に「花山組事務所」の座席に座っての写真撮影が可能。3月26日(土)以降の後期では、本展が初披露となる「等身大 花山薫」がその場所に登場するという。

「強さ」の追求は何処までも

会場風景

会場の後半では、さらに苛烈な闘いが繰り広げられるシリーズ第四部〜第五部の原画などが展示されている。第五部「バキ道」で衝撃的な展開を見せた “◯◯◯の右腕” も、さりげなく再現展示されているので注目である。

会場風景

そして展覧会のラストには、シリーズ30周年のアニバーサリー企画として開催された「刃牙最強シーン決定戦」の結果発表が。計1248話の中から投票によって選ばれたベストエピソード、1位から10位までをダイジェストで振り返る胸熱なコーナーだ。

ショップが楽しすぎる

最後に展覧会併設の「地上最大刃牙ストア」(物販コーナー)をのぞいてみると、“地上最大” のネーミングにも納得の、豊富なグッズの品揃えに驚かされた。

物販コーナー

原画集やTシャツのほか、キーホルダーになった砂入りミニボトル「地下闘技場の砂ッッ!!!」(税込1,320円)や、手ぬぐいブランド「かまわぬ」とコラボした「手ぬぐい 一向にかまわんッッ」(税込2,200円)など……。シャレの利いたグッズが勢揃いしているので必見だ。

会場エントランス(個人的には、このビジュアルの刃牙が最高にカッコいいと思うのです)

『連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ』は、4月17日(日)まで、東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)にて開催。『刃牙』シリーズがいかに人々に愛され、そして深い情愛をもって読者の想いに応え続けているのかがよく分かる展覧会である。ぜひ、“聖地” 東京ドームシティにおけるこの貴重な機会をお見逃しなくッッ‼︎


​​文・写真=小杉美香

展覧会情報

連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ
■期 間:2022年3月5日(土)~4月17日(日)【44日間】
※開催期間中無休、 3月26日(土)から一部展示内容の入れ替えあり
■時間:11:00~19:00
※最終入館は閉館の30分前まで
■場 所:Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)
■料 金:当日 一般1,500円/中学・高校・大学生1,300円/小学生1,000円
※再入場不可
※未就学児無料(単独入場不可、をお持ちの18歳以上の保護者1名につき、同伴の未就学児1名まで無料、グッズ購入不可)
※会場の混雑状況によっては、会場にて整理券を配布し入場までお待ちいただく場合がございます
■主催:(株)東京ドーム、 (株)秋田書店、 キャラアート(株)
■協 賛:Netflix(合)
■製作協力:(株)LINK FACTORY
■原 作:板垣恵介
■展覧会公式HP: https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/30th-baki-ten.html 
■公式Twitter:@30th_baki_ten
■受付時間:平日・土日・祝日共に10:00〜17:00:東京ドームシティわくわくダイヤル TEL.03-5800-9999