Bialystocksが音楽のルーツと新作「差し色」を語る、『speakeasy podcast』×SPICE連動企画、第九回ゲストで登場
Bialystocks
海外音楽情報専門Podcast『speakeasy podcast』とSPICEの連動インタビュー企画。第九回のゲストには、Bialystocksの甫木元空(Vo)と菊池剛(Key)が登場。ソウルフルで伸びやかな歌声とフォーキーで温かみのあるメロディー、ジャズをベースに持ちながら自由にジャンルを横断する楽器陣の組み合わせは普遍的であると同時に先鋭的と評され、Spotifyが2022年に躍進を期待するアーティストを発表する『RADAR: Early Noise 2022』に選出され話題を集めている彼ら。今回は、2人の音楽ルーツやデジタルニューシングル『差し色』についてなど、2人のバックグラウンドやパーソナリティに迫るポッドキャストのインタビューから抜粋して掲載する。より詳しく内容を知りたい人は、Spotifyにて配信されている『speakeasy podcast』をチェックして欲しい。
●映画制作からBialystocks結成へ。高知と東京で暮らしながら楽曲制作●
竹内琢也(MC):Bialystocksは、甫木元さんが監督した映画『はるねこ』の生演奏上映をキッカケに結成とあるのですが、これは映画の音楽を生で演奏するということだったんですか?
甫木元空(Vo):映画の劇中歌で自分の歌も入っていたので、上映後にライブをセットにして再現するような感じでした。
竹内:それまでの音楽活動は?
甫木元:僕はバンドを組んだこともなく、1人でギターをぽろぽろと鳴らす程度でした。だけど母親が家でピアノの先生をしていたり自分で曲を作っていたので、小さな頃から曲を作る遊びをしたりしていて。誰かに見せたりすることはあんまりなかったんですけど、大学で多摩美術大学に入って映画を学び、映画表現の中でお金がないから音楽だったり美術だったり自分で作ったりしないといけなくなったんですね。それで卒業制作で、映画『はるねこ』の上映とライブをセットにした時が初めて人に自分の曲を聴かせるスタート地点になりました。それを観てくれた、映画『はるねこ』のプロデューサーで大学の先生でもある青山真治監督が「お前は曲を作って映画を作れ」とキッカケをくれたのが始まりです。
竹内:ライブでボーカルのすばらしさをすごく感じたので、それまでにバンドなどをやってたのかと思いました。
甫木元:人前で歌う経験もそこまで多くないです。そこは菊池の方が経験豊富なので、いろいろとアドバイスをもらいながら日々精進しております(笑)。
竹内:菊池さんはバンドをいくつか経験されて?
菊池:フリーのミュージシャンとして、サポートで参加したりその日限りの演奏をすることが中心でした。
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竹内:では、Bialystocksが本格的な音楽活動に?
甫木元:そうですね。リリースして、といった活動は初めてになります。
竹内:甫木元さんは、高知県の四万十市に在住なんですよね。僕も高知県生まれで、18歳まで高知にいて四万十市も1年に何度も行っています。元々はどういう経緯で移住されたのですか?
甫木元:祖父が高知で、苗字も高知の四万十市の苗字らしく。自分の名前のルーツでもあるし、映画『はるねこ』は埼玉県の越生町という田舎町で撮っていまして、次は高知で撮りたいなとずっと思っていました。それで祖父の家で暮らしながら、脚本でも書こうかなと思っていたらBialystocksをつくって……まさかこういう活動になるとは全く想像していなかったです。
竹内:菊池さんは東京に住まれていますが、菊池さん的に高知との距離感は大丈夫だった?
菊池:いくらインターネットが進化しているとはいえ、正直やりづらさはあるので。東京に家を借りろとは言っています。
竹内:楽曲制作はどのようにして行われているのですか?
甫木元:最近は、本当にラフな弾き語りの音源ができたらネットに2人あげていくような感じです。たまってきた段階でふたりがいちばんビビットくる、単純にメロディがいい気に入ったものを選んで、菊池が編曲の指針をバシッと固める。「サビが弱いですね」とか言ったら、この曲のここを合体させてみたらいいんじゃないかとか。デモの中からまた探す作業をしてみたり、新しく作ったりそういう作り方が主流です。
●歌と音楽の原点とは。そしてこれからの行く先について●
竹内:甫木元さんの音楽にはどういうルーツが?
甫木元:母親が家でピアノを弾いて町の合唱団をしていたので、誰でも子供が口ずさめる童謡のようなわかりやすい曲を歌っていて、僕も所属して歌っていたので、僕の歌の原点は確実にそこにあると思いますね。それをフォークと捉えてくれる人もいますし。
竹内:特に今回のデジタルシングル「差し色」は、歌をすごく感じました。作詞はどういうバランスで?
甫木元:基本的にデモの段階で、菊池は英語で歌ってくるんですね。弾き語りで。
竹内:それはなぜですか?
菊池:その方が自然なんですよね。僕は英語の曲を聴くことが多いので、自ずと。
甫木元:菊池が英語で歌ったのを僕が日本語に変換することもあれば、日本語がハマんなかったり、邪魔しちゃうなということがあるのでそういう時はそのまま生かしたり。日本語の持っている乗らない感じが面白い時と、足をひっぱちゃう時があるのでどちらを生かすとかという感じです。
竹内:先ほど言われていたフォークを感じますよね。
甫木元:菊池が歌を尊重してそこを壊さず、フォークにいきすぎないように菊池の色も出しながら編曲していくところに面白いと思ったんですよね。思っていた方向じゃないところに、自分の曲が変化していく。ひとりで作っているとどうしてもフォークらしくなりすぎて面白くないなと思っていたので、違った方向にふりながら、曲として突飛なことをやっている印象にならないようにする、そのさじ加減がすごい。引き算ということかもしれないですね、菊池の編曲は。
竹内:音源とライブでまた違う印象を受けました。
甫木元:レコーディングはシンセをいろいろ使ったりしているので、菊池が10人ぐらいいたら再現できるというのが多い。なのでライブ、はその時あつまったメンバーや構成によって、テンポを速くしたり遅くしたりと、個性によって変えている感じですね。
菊池:そうですね。
竹内:今後、オーケストラを入れてのライブとかは?
甫木元:夢のひとつですね。
菊池:予算があれば(笑)。
竹内:「音源の再現」というよりも、より「音源からの表現」として。例えば交響楽団を引き連れてなのか、ダンサーがいるのか。そういうことがBialystocksの音楽の楽しみになってくるなと個人的には思っています。2019年に活動を開始して3年になりますが、ここからの活動のイメージは?
菊池:時の流れに身を任せるスタンスではありますね。
甫木元:2人組ということもあるので、曲のことだったり方向性とかあんまり決めすぎず。2人だけのアコースティックな方向に行ってみたり、めちゃくちゃロックなことをしたり……。その時思いついてできることをちょっとずつやりながら、映画だったりオーケストラを入れたり、自分たち以外の人たちとコラボしながら、自分たちも変わっていけたらなと思います。
取材=竹内琢也 文=大西健斗
リリース情報
ライブ情報
5月26日(木)
■『YATSUI FESTIVAL! 2022』
日程:6月18日(土)、6月19日(日)
会場 : Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / clubasia / 7th FLOOR / LOFT9 Shibuya / HARLEM PLUS / 東間屋
Podcast情報
チャートの動向、ニューアーティストPick Up、音楽ニュース..etc。
Shawn Mendes、The1975、The Chemical Brothersなど海外アーティストへのインタビューを多数している竹内琢也がホストになり、リアルな情報をお届けします。