「KAAT キッズ・プログラム 2022」、7月はおとなもこどもも一緒に踊れる『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』を上演
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』
KAAT 神奈川芸術劇場では、2011年の開館以来、現代の舞台芸術シーンを先導するアーティストとの新作創作や、良質な海外作品の招聘等、おとなもこどもも楽しめるキッズ・プログラムを上演している。
この度、「KAAT キッズ・プログラム 2022」では、プレシーズンの7月・8月に、いのちをめぐる2作品を上演することを発表した。
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』2021年公演 舞台写真 撮影:大洞博靖
1作目は、2021年7月初演、ダンサー・振付家の北村明子と現代美術家・大小島真木がタッグを組み、夏休みのお盆をテーマに、主人公の男の子がふしぎなボウケンに出かける『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』。客席のこどもたちが、ダンスで公演の一部に参加する“体感型”キッズ・プログラムだ。
2作目は、劇作家・演出家・俳優の松井周が、日本を代表する俳優・白石加代子を主演に迎え、自身初のキッズ・プログラムとして手がける『さいごの1つ前』。白石演じる主人公が、天国と地獄の分かれ道で、生きていた頃の記憶をさがす物語。
長塚圭史 KAAT 神奈川芸術劇場 芸術監督 コメント
毎年恒例の「KAAT キッズ・プログラム」、本年は二作品を上演します。
7月は、『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』です。
KAAT はこれまでの6年間、『KAAT EXHIBITION』で様々な現代美術家とものづくりを行ってきました。そしてとうとう、舞踊家 北村明子さんの振付と、気鋭の作家 大小島真木さんの現代美術を組み合わせたキッズ公演として生まれたのが、昨年初演を迎えた本作です。ダンサーたちの身体に圧倒されるだけではなく、美術的祝祭感に包まれ、胸に響く作品です。
8月は、『さいごの1つ前』です。
2020年に上演予定だった本作は、コロナウイルス感染症の影響で延期となり、本年やっと上演が叶うこととなりました。作・演出には松井周さん、そして認知症の主人公を演じるのは白石加代子さんです。白石さんのように少女から老婆、あるいは異界のものまで、あらゆる境界を飛び越えた役を演じられる俳優はそういません。
非常に貴重な劇体験ができるとともに、心から楽しめる作品になると思います。
いつか「あの時、なんだか面白いものを観たような記憶がある!」と思い出してもらえる二作品になると思います。
どうぞお楽しみに。
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』2021年公演 舞台写真 撮影:大洞博靖
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』は、コンテンポラリーダンス界で常に新たな表現に挑戦し続けるダンサー・振付家 北村明子と、現代美術家 大小島真木という、2人のコラボレーションから生み出されたダンス作品で、北村にとっては初めてのキッズ・プログラムの演出となった。
今回、作品のテーマとなるのは「夏休み」。そして日本の「夏休み」には死者を迎え入れる「お盆」の時期が含まれている。「亡くなった人を想うこと」「生と死」「自然の中の身体」などをキーワードに、こどもたちが言語ではなく身体を通じて、生死や自然について新たな発見・体験ができる作品となった。また、初演時、好評だった公演と連動した関連ワークショップ(お面づくり体験・ダンスレッスン)も開催。ロビーで作ったお面は、まるでこれから体験する舞台の“ボウケンきっぷ”。観客には、お面をつけて、開演前のダンスレッスンで覚えたダンスで、劇中のある重要なシーンに、参加してもらう、とのこと。
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』2021年公演 舞台写真 撮影:大洞博靖
上演にあたって(演出家・美術家コメント)
■振付・演出 北村明子
ククノチ テクテク マナツノ ボウケンがバージョンアップして帰ってきました!
このダンス作品は、古来より日本に伝わり、豊かな文化である祖先を弔う「お盆」をテーマと決め、クリエイションをスタートさせました。
キッズに真剣勝負を申し込む、そんな心づもりで、私が創作活動で長らく考え続けている死者とともにある生活文化や普段は見えない世界への創造と接続するダンスワールドを展開しました。そこでは、私たちの身体が持つ力、魅力、そして、その身体がなすダンスを捧げることが何であるかを問いかけていきます。ダンスとは躍動する身体の美しさ、楽しさだけではなく、過去・現在・未来を繋げていく肉体的精神的行為、祈り、生きている
わたしたちの存在そのものでもあるのです。コンテンポラリーダンスは解釈が難しい……なんていっている間もないくらい、こどもたちは時には笑い、時には恐怖に慄きながら、最後は嬉々として踊り、冒険を楽しんでくれました。私も客席でお客さまと一緒になって、この世界への冒険に同行し、その身体感覚を共にすることがこの夏にも出来るのを楽しみにしています。
再演バージョンでは、鑑賞者のみなさんがより多くのシーンでダンスに参加する仕立てとなっています。ダンスは、生の儚さや死の悲しみや自然への畏怖、死生観にも触れていく思考の扉でもあるのです。ダンスの楽しさや奥深さを、ご家族でご一緒に体感していただければ幸いです。
■美術 大小島真木
ククノチテクテク真夏の冒険。ククノチという木の神様に誘われるまま、テクテク、テクテク、日常から異界へ。
あちら側とこちら側の狭間にある世界に行って、そしてまた戻ってくる、ひと夏の冒険の物語です。
主人公は精霊たちと共に深い森の道を進んでいき、そこでいるはずのない死者たちと出会います。会いたかった人、会えなくなってしまった人。伝えたかったこと、伝えきれなかったこと。死と生が混ざり合う場所で、主人公は死者たちと何を語らうのでしょうか。
目に見えていることが世界の全てではありません。それは決して比喩ではなくて、私たちは本当に目には見えないものたちによって生かされています。私たちの体にもたくさんの目に見えない菌がいます。私たちの足下にある土には数えきれないくらいの目には見えない命がうごめいています。
あちら側の世界から戻ってきたとき、主人公の暮らしている日常の世界は、これまでとは少し変わっているかもしれません。私たちを包み、生かしている、目には見えないたくさんの存在が、これまでより身近に感じられるようになっているはずです。そう、本当のところ、こちらの世界とあちらの世界はずっと繋がっていたんです。精霊たちはいつだって、私たちのすぐそばで、唄い、踊っています。
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』2021年公演 舞台写真 撮影:大洞博靖
北村が構築する身体表現と世界観、大小島の独創性溢れる舞台美術と映像、長年北村作品で音楽を担当する横山裕章の音楽、そして個性豊かなダンサーたちによる、舞台空間、踊り、歌を体感してみてはいかがだろうか。
公演情報
『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』
振付・演出:北村明子
美術:大小島真木
出演:川合ロン 清家悠圭 岡村樹 黒須育海 井田亜彩実 永井直也
日程:2022年7月20日(水)~24日(日)
※4 歳未満のお子様はご入場いただけません。
★キッズ 2 作品(『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』 『さいごの1つ前』)セット券
おとな 7,500 円 こども(4歳~高校生) 1,800円
※かながわの WEB にて5月28日より、6月4日以降は電話・窓口でも取扱い
(前売のみ、枚数限定)
公式サイト: https://www.kaat.jp/d/kukunochi2022
後援: 神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
<久留米公演>
日程: 2022年8月14日(日)15:00
お問合せ: 久留米シティプラザ TEL 0942-36-3000(10:00~19:00)
https://kurumecityplaza.jp/
日程: 2022年8月23日(火)15:00 / 8月24日(水)14:00
お問合せ: プラットセンター TEL 0532-39-3090(10:00~19:00 休館日除く)
https://toyohashi-at.jp
夏休み、どこにも行けず、ひとりぼっちの男の子。とある公園で遊んでいると森の精霊たちに出会い、不思議なボウケンの旅に出る。この世とあの世をつなぐボウケントンネルをくぐると、森の奥深くに木の神様ククノチが現れる。男の子はククノチから、生と死は遠いものではなく、亡くなった親しい人たちは自然に還っていくことを知る。森の儀式が繰り広げられ、やがて大好きだったおばあちゃんの姿が見えてくる……。
イベント情報
お面はこのボウケンにとって大事なアイテム
自分だけのオリジナルのお面をつけて、公演に参加しよう
<開催日>各公演・開演 1 時間前~
<開催場所>KAAT1 階アトリウム ※予約不要
<所要時間>15分程度
行います。公演中にもみんなで踊るシーンがあります
ダンサーと一緒に踊ってみよう
<開催日>各公演・開演前
<開催場所>客席にて
<所要時間>5分程度