EXiNAアルバム発売インタビュー「音が少ない、空気感を含んだロックのカッコよさにも気付いて欲しい――」
■何が「カッコイイ」か考え始めたらきりが無い
EXiNA
――全部がそうだと思うんですけど、あえてご自身の中での自信曲ってありますか? 注目して欲しい曲なども含めて。
もちろん全部好きなんですけど。リード曲を張れるなと思ったのは「DONUT」ですね。私自分の作曲能力にあまり自信がなかったんです。でもやってみたら凄いいい感じになったので、そういう意味でも2曲目に持って来ました。それ以外で言うと、ちょっと面白いなと思っているのが「ZONBiES DONʼT CRY」ですね。今までに無いアプローチで歌も録れましたし、ギターのリフに合わせて歌も同じフレーズを歌ったりとか色々攻めているので、結構唯一無二の曲が出来たと思っています。
――確かに僕も「ZONBiES DONʼT CRY」は気になった曲でした。変わった事やろう! って感じで制作されたんですか?
これアルバムの中で一番最後に録った曲なんです。最後に俯瞰でアルバム曲全部見た時に、「ちょっともうひとひねり行こうか!」みたいな感じになって(笑)。レコーディング当日までどう歌うか全然決まってなかったんですよ。
――当日、スタッフとみんなで決めたということですか?
そうですね、アイディア出し合って、ちょっとボソボソずっと歌ってみるのはどうかなっていう話が出て、2パターンぐらいワンコーラス歌って比べてみたんですよ。歌い終わって「こっちで聴いてみましょうよ!」って言われて、ブースに戻ったらスタッフさん爆笑しているんですよ。それで採用されたのがこのボソボソバージョンですね。
――スタッフのノリで作っていっちゃう感じが凄くいいですね。
みんなノリで作っていますね。結果それでいい物が出来るから面白いですよね。
――今は戦略ありきの制作が多いと思うんですが、そこを逆行して行くのがEXiNAっぽいというか。
難しい事はよく分からないですからね(笑)。何がカッコイイか考え始めたらきりが無いというか、時代もどんどん変わっていっちゃいますし。せっかく一生残るものを作れるんだったら、自分が本当にいいと思えるものを作らないとしょうがないな、と思っちゃいます。
――ある程度昔からお話を伺っている身からすると、すごい成長を感じる一言ですね。
前はこんな事言えなかったと思います(笑)。色々ありましたし。
――自由になったというか。
そうですね、結果悩んでよかったですね。色々考えて感じないと、ここの境地にたどり着けなかったと思うんです。今凄く振り切れて音楽が出来ているのは今までのお陰かなって。
――今まで西沢幸奏からずっと応援してくれているファンの人がいる訳じゃないですか。そういう人に対してアプローチが変わった、自分が好きな物をまっすぐに提供していく事に、怖さみたいなものはないのでしょうか?
無いって言ったら嘘になりますね。今まで色んな反応を受けてきて、どうしてもどこか傷付いてしまった事もあったので。でもdaikiさんを始めとした周りのスタッフのみなさんが、そういう私の不安になりやすい一面とかも凄い理解してくれた上で、好きな物をやるっていうことに背中を押してくれたんです。もっと楽に構えていいんだよっていう感じで言ってくれて、めちゃめちゃ今楽になれたし。
――伝わる自信が生まれた?
うーん、伝わるかどうかっていうのもあんまり考えなくなったって感じですね。本当にそこを考え始めたらまた今までみたいによくない沼に陥ってしまうような気がしていて。自分の性格もよく分かっているので、気にし始めると本当にきりが無い感じなんですよね。
――気になってしまう性格なんですね。
なので出来るだけ意思を持って、周りの声は聞き過ぎないという意識でやっていかないとダメになっちゃいそうなんです。今は自分を貫く事を大切にやっています。
■私も今までの自分を肯定するしかないと思ってる
――そしてこのアルバムを引っ下げてのライブもあります。『SHiENA -A NEW STORY BEGiNS-』。どういうものにして行きたいとかってあります?
伸び伸びと歌いたいなって思っていますね。このアルバムは私の今までの25年間の凝縮でもあるので、今までを経てこうなったんだよっていうのもありつつ、成長した姿を見せたいし、今までで一番リラックスしてステージやれたらいいなって。
――メンバーもVo&GtEXiNA=西沢幸奏、Gt 芳賀ヨティ義彦、 Ba 中村泰造、 Ds 田中真二ってシンプルな4ピースなんですね。この直球のライブでどういう風にEXiNAが立つのか凄く気になります。
私の中でロックスター、デイヴ・グロールとかカート・コバーン(ニルヴァーナのボーカル・ギター)の姿を想像すると、凄い肩の力が抜けているというか、余裕たっぷりなんですよ。そういう姿に凄く惹かれるし、私はつい緊張していっぱいいっぱいになっちゃうんですけど、そういうのは出来るだけ今回は出ないように、普段のリラックスして歌ってる感じでお見せしたいなと思っています。
――この楽曲達がライブになった時に、どういう音色になるのかが凄く楽しみなんですよね。
絶対いいと思うんです。ライブの事しか考えてないですね。レコーディングする時もライブ風景をイメージしながら歌っていますし、ライブでこそ生きてくる曲達じゃないかなと思っていますね。
――最後に総括になっちゃうんですけど、西沢幸奏の25年間の人生を詰め込んだアルバムになったと言われていましたが、では西沢幸奏の25年間は何だったんだろうってちょっと聞いてみたいと思って。
それはとても難しい質問ですね……。色々あったんですよ。今EXiNAっていう名義で活動していますけど、このアルバムのタイトルを『SHiENA』っていう風にしたのは、今までやって来た事全部、私自身がやった事なんだよっていう意味も込めているんです。私も今までの自分を肯定するしかないんですよ。
――過去があっての今ですもんね。
その時々では凄く悩んだんです。こんなのでいいのかな? とか。ファンの人達を戸惑わせてしまったりとかも、もちろん沢山あったんですけど、今となっては全部あったからこその今なんだよって思っているので。アルバムを聴いてみなさんがどう感じるかは正直まだ分からないですけど、私自身としてはベスト盤という勢いで作っています。今まで応援してくれたファンの方がいるからこそ、こういうアルバムを作る事も出来ましたし、そういった感謝の気持ちを込めてお届けしたいですね。
――今までの中で何も捨てずに来た果てに、今がある。
曲の中の歌詞でも色々悩んだ経験や感じてきた事を書いたりとかしているので、今まで知ってくれている人こそそういう部分に関しては楽しんでもらえるんじゃないかなと思いますね。
――今後の目標などはあるんでしょうか。
そうですね、目標になるか分からないですけど、いっぱいロックフェスに出たいですね。自分からそういう風にどんどん舵を取っていって、この曲達を色々な所で演奏してあげたいですね。
――EXiNAの解釈でロックを今のZ世代に布教してくれたら、個人的にも凄く嬉しいです。
私中学校ぐらいからブラーとか聴いて、こんなにシンプルでカッコイイ音楽があるんだと思っていたんですよ。詰め込んだ音の凄さも勿論ありますけど、音が少ない、空気感を含んだロックのカッコよさにも気付いて欲しいなって思います。
文・インタビュー=加東岳史
リリース情報
EXiNA 1st album『SHiENA』
初回仕様限定盤(CD only)VVCL-1946 / ¥3,300(税込)
【収録曲】
1:MONOLOGUE
2:DONUT
3:KAiJiN
4:BYE BYE
5:MY KEYS
6:Monkey Wrench(Foo Fighters カバーソング)
7:ENDiNG MiRAGE
8:STEREOTYPE
9:DiViNE
10:ZONBiES DON’T CRY
11:SAGA
12:YOU ARE THE REASON
ライブ情報
EXiNA LiVE 2022『SHiENA -A NEW STORY BEGiNS-』
■出演: