「成長し続けるスコーピウスを愛してほしい」 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』スコーピウス・マルフォイ役 門田宗大&斉藤莉生インタビュー
左から 門田宗大、斉藤莉生
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』日本初演のキャストオーディションを制し、スコーピウス・マルフォイ役を射止めた門田宗大と斉藤莉生。開幕も間近、各ポジションのプロフェッショナルが集結した現場でさらに熱く強くなっていく「舞台に立ちたい」という思いを胸に、本番へと突き進む“今”を語り合った。
──現在は本番へ向け作品の精度を上げている真っ最中。どんな心境で日々を過ごされていますか?
門田:思い返せばここまでいろいろあるんですけど……やっぱりキャストもスタッフもみなさんそれぞれの思いが本当にすごくて。作品を完成させるためには一個一個しっかり助け合わないとやっていけないし、本当に大変な状況の中でお互いすごく細かなところもアドバイスし合いながらサポートし合いながら進めています。活発にコミュニケーションをとりながら良い効率を探していく作業は楽しいです。本当に温かい人たちが集まっているのがありがたいですし、みんな仲良くて、とても素敵な現場だなと思います。
斉藤:(頷く)。特に僕はこれが初舞台。何もかもが初めての経験で、しかもそれがこんなに大きな作品で、テレビでしか拝見したことなかったような方々と稽古を一緒にやらせていただいているっていうのが……今はもうそれが当たり前の毎日になりつつあるんですけど、改めて客観視するとすごいことやってるなっていう感覚ですよね。その大人キャストの方たちにも「初舞台でこんないい役、なかなかないからな。お前はホントに恵まれてるんだぞ」って言われます。でもそれはすごく実感していますね。3月に大学を卒業してすぐ、4月からこの稽古に参加させていただいているので……多分、数ヶ月前の自分が今の自分を見たら「何してんのこの人! どこまで行ったのあなたは!?」みたいな(笑)。
門田:シンデレラストーリーなんです、彼は。
斉藤莉生
──お二人が初めて会ったのはオーディションの現場ですか?
斉藤:いや、オーディションでは会ってないんです。僕が宗ちゃんを知ったのは公式サイト(笑)。写真だけですけど「ああ、もう一人のスコーピウスはこういう人なんだ」って。最初に会ったのは衣装合わせの時だよね?
門田:うん、でもまだとりあえずお互いに挨拶くらいしかできなかったけど。
斉藤:初めてちゃんと話すようになったのは稽古場。改めて「これからよろしくお願いします」ってなって、その後宗ちゃんがすぐ僕に「僕らはタメ口でいこう」って嬉しいことを言ってくれて。
門田:僕から? 言ったっけ?
斉藤:言った(笑)。
門田:そっか、覚えてないや(笑)。衣装合わせは覚えてるんだけど。
斉藤:「タメ口でいこう」「わかった」からもう今の仲になるまでは、すぐでした。ずっと一緒に稽古してきて、本当にいい関係を築けていると思います。
門田:そうだね。でも僕は最初、莉生のそのシンデレラストーリー感がね、本当に羨ましかったし……憎たらしかった(笑)。
斉藤:ハハハッ(笑)。
門田:いや、仲良くなりたいなっていうのはもちろんあるんですけど、なんか……会うまではこっちも萎縮というか緊張というか、あのオーディションを踏まえると「こっちが食べられちゃうようなとんでもない才能を持った新人さんが来るのでは?」って、すごいビビってたんですよ(笑)。でも当たり前ですけど会って話したら本当にいい子で、今はお互いすごい仲良くやっているし、莉生だけじゃなくアルバスもスコーピウスもみんなとても大事な仲間になっています。
門田宗大
斉藤:僕、大学で4年間舞台を学んでたんですけど、卒業後はどうしようかと悩んでいた時期にたまたまこのオーディションの情報がTwitterで流れてきて、「ほお、一般の募集があるぞ」と。『ハリー・ポッター』はもともと小さい頃からずっと好きでしたし、スケジュールも卒業してから稽古入って本番やって……ああ、ちょうどいいなって、本当にお試しみたいな感じで申し込んだんです。だからこれが人生の初オーディション。あの時はまだこういう世界に足を踏み入れるかどうかも悩んでいて……だから審査期間はずっと緊張してました。もう、ガッチガチでしたね。
門田:僕は真逆。自分はこのオーディションを受ける直前に、俳優をやってきて初めて大きな挫折感のようなものを味わったというか……母親の前で、ちっちゃい頃ぶりに泣いてしまうくらいに自分がどうしたらいいかもう全くわからなくなってたんです。ちょうど新型コロナの自粛時期で舞台が軒並み中止になる中、一緒にやろうと頑張っていた舞台も立ち上げられなかったり、仲間の中には俳優を辞めてしまう人が何人も出てきたりと本当に大変な時期で。また、自身の仕事でも思うような結果が出せずにいた。自分も、そして同じような境遇の仲間たちもみんなどうやったらここから抜けられるんだろうと考えると辛いし、孤独感も募っていきました。そんな時に自分も大好きな『ハリー・ポッター』のオーディションのことを知って……ただ最初は乗り気じゃないというか、「どうせ受からないよ」と思ってました。それでもやっぱり実際に行って台本のセリフを読めるだけでも楽しそうだなと思って受けたんです。だからすごく不思議でしたね、決まった時は。
──諦めなくてよかった! まずはトライすることってやはり大切なアクションですよね。
門田:そうですね。本当にそうでしたね。
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