「成長し続けるスコーピウスを愛してほしい」 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』スコーピウス・マルフォイ役 門田宗大&斉藤莉生インタビュー
──そんな“真逆な”ふたりがこうして同じ役をやるのも、めぐり合わせの妙。スコーピウスはホグワーツでアルバスと出会い、お互いを支え合う親友となっていきます。演じる上でどんな少年をイメージしているのでしょう。
斉藤:一生懸命で頭が良い。最初に自分の中で思い描いたスコーピウスには結構自分と似ている部分もたくさんあるな、とも思っていました。でも最近は稽古をしていく中でそれもどんどん変わっていってる。最初のイメージから意図せずに自分に近づいていっている部分もあれば、自分自身が少しスコーピウスになっていってる部分もあるなっていうのをすごく感じます。台本を読んだ時の印象に演出が付くと本当に見えてくるものも全然違うので、やっぱりお芝居って生きてるんだなってあらためて思いますね。
斉藤莉生
門田:僕はスコーピウスって愛されキャラ的なところがあるなぁと思って、その中でもそれぞれの特徴としてはやっぱり莉生のほうがとても賢く……スコーピウスとしての賢さとスマートさがあって、二手、三手読めるようなスコーピウス。物語の中でもアルバスたちにとってのブレーンっていう感じなんですよね。僕の場合はどちらかと言うともっとストレートに愛されやすいみたいな、おばかなキャラ風のスコーピウスなところが宗大っぽいよねって言ってもらってますし、そういうそれぞれが持っている個性や特徴が役に反映されていると感じてるんですけど……なんかね、俺は最近の莉生を見てるとどんどん愛され具合が足されていっているのをすごく感じるんだよね。芝居の中で。
斉藤:え?
──キャラクターがより変化、成長している。
門田:そうです。だから莉生が芝居は生き物だって感じるって言ったけど、俺は特にそういう部分で莉生の変化を受け取ってますね。
斉藤:言われてみれば確かに。やっぱり最初は割とキッチリカッチリ、スコーピウスの頭の回転の速さを重視してたんですけど、演出のコナーさんのアドバイスを聞きながらどんどん捉え方が変わっていった結果、今は実際ちょっと丸くなった気がします。尖りすぎてない、というか。
門田:そう、そんなイメージ。
斉藤:話し方も少し力を抜いて、早口もやめて、もっとマイクにも声が通りやすく聞き取りやすく……頑張ってた部分をちょっと頑張らなくしようと思ってやってたら、声だけを聞いていた(石丸)幹二さんが「宗大がやってるのかと思ったよ」って、劇場での稽古の時に声をかけてくださって。そこで、ああだから自分が変えたところも違和感なくできてたんだな、そもそもやっぱり宗ちゃんはもうちゃんとスコーピウスだったんだなって、自分のスコーピウスの変化から宗ちゃんのスコーピウスを感じたんです。それは自分自身大きな発見でした。自分はどうしても経験値が浅いので、経験のある宗ちゃんが先に見えていたところが今見えてきてるんだ、もっともっと周りを見習って、まだまだ学べるところを学んでいかなきゃって。
門田宗大
──刺激しあって呼応しあってそれぞれの持つ魅力がさらに引き出されていく。これこそWキャストならではの実感ですね。
門田:ほんとに僕も刺激ばっかりです。相手のお芝居を見ているだけでもやっぱりすごく面白いですし、アルバスもスコーピウスもWキャストの全員芝居が違うしそれを全部その場で見て感じて。みんなで吸収し合って、アドバイスできるところはアドバイスし合って、切磋琢磨できています。「なるほどね、この解釈があるよね」っていうのをお互い気づかせ合えるのは、ものすごく魅力的な関係ですよね。僕の場合はキャストスケジュールが変わったことによって、今、稽古場が莉生チームにシフトチェンジしている。その分、また自分の初日までの稽古日数が増えたことを生かしたいな、と考えています。自分の中に当初の予定での完成に向けて積み上げてきたスコーピウスはあるけれど、せっかくなんでこの時間を使ってもうそれをぶち壊してみよう!と思って。今、ちょっとゼロにして解体しているところです。
──いいですね。それは時間がくれた新しいギフトになるかも。
門田:まだできてはないんですけど……「やってしまおう」という気持ちで取り組んでいきます。
斉藤:わっ、それは……そうなんだ、早く見たいな。
門田:うん、まずは一回ね、莉生に見てほしい。見て、なんか感想ほしい。
斉藤:もちろん。初日の順序は変わりましたけど、宗ちゃんと2人でスコーピウスを繋いでいって、お客様にそれぞれの良いところが出たスコーピウスを届けて行けたらなって、すごく思っています。
>(NEXT)瞬きの間もなくすべてがエンタメ! ロングランならではの成長と冒険を