「海の中でワチャワチャ立ち泳ぎしている今が楽しい!」 ~新作オリジナルミュージカル『COLOR』 濱田めぐみ×柚希礼音インタビュー~
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“半透明”な台本のもとに集いし才能
――原作を最初に読まれた時、お二人の心に響いたメッセージ、ミュージカルにして届けたいと思われたのはどんな部分だったのでしょうか?
柚希:何もかも分からなくなるというものすごい経験をした人が、昔のことを思い出すのではなく、新たな光を見つけて進んでいくところに感動しました。「人間が怖い」というところから、やりたい仕事を見つけられるまでになるってすごいことですよね。それから、些細なことに幸せを感じられるようになるところも、自分に置き換えて読んでいました。
濱田:私が思ったのは、我々が今この地球上でしている行動とか、持っている認識とか概念とかって、実は元々あったものではなく後付けなんだなって。「おいしい」「まずい」の概念もなくなって、まずいものを本能的に避けるしかないところまで戻ってしまうって、見知らぬ世界にポンって落とされたようなものですよね。スケールがあまりに深くて本質的すぎて、これを舞台として構成する方法ってあるの?って、原作本から一瞬手が離れてしまったほど。我々が持っている一般常識というものをまず取っ払わないと、役作りも何もできないなあと思って……今もそのまま止まってる状態です(笑)。柚希さんが言ったみたいな、光を見つけるところに持っていくまでを、どう立ち上げるかですよね。
柚希:うんうん、ただの“感動作”ではないですもんね。……すっごく大変そう!(笑)
濱田:でも今回は、キャスト4人が結束できてるから良かったなあって。休憩時間に「どうしようかね~」ってこう、寄り添えるような空気感があるんです。お菓子をつまみながら、いい~感じで進んでいけそうな気がします(笑)。
柚希:演出の小山さんも、一緒に作っていける感じのする方ですよね。初めてご一緒しますが、リーディングの時にこだわりというか、自分の意見をしっかり持っていらっしゃるのが感じられて素晴らしいなと思って。めぐさんも私も疑問に思う台詞があったので相談に行ったら、私たちの意見を聞いて「そうですよね」ってすぐ変えてしまうんじゃなく、きちんと説明してくださったんです。
濱田:説明されて、なるほどってなったよね。色んな感受性の扉があって引き出しも多い。私たちにも役者としての感覚と引き出しがあるから、お互いに持ってるものをお店みたいにバババって広げていって(笑)、色々なものが出た中からチョイスしていくのがベストなのかなって思います。
柚希:ここまで「一緒に作りましょう」というスタンスの作品、私は初めて。すごく贅沢な経験をさせていただいてるなと思いますね。
――そういうクリエイティブな現場はズバリ、楽しいですか?
柚希:今はまだ、「楽しい」まではいかないかも(笑)。何かこう、これだ!という道が開けた時に、みんなでやってきて良かったって思えるような気がしています。
濱田:私はね、今のこの大変な感じにワクワクしてるというか、みんなでワチャワチャしているのがとても心地良くて。海の中で立ち泳ぎしながら、さあ~これ、どの岸行く~?みたいな感じなんですよ(笑)。いざ今日から稽古が始まります、となってからのほうが恐怖だなと思います。初日までの限られた時間の中で、きっちり固めていかないといけないから。
柚希:確かに! 私も怖くなってきました(笑)。
濱田:確かな台本があって、合う役者をハメれば間違いない!みたいな作品もありますけど、今回はまだ半透明な台本があるだけ。すべては4人の役者と作曲家と演出家の才能に懸かっていると思うので、今は期待半分、怖さ半分というところですね。
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