演出家・振付師としても活動 奥山寛に聞く、役者と演出家それぞれの活動の根底にある想い /『ミュージカル・リレイヤーズ』file.12

2022.7.13
インタビュー
舞台

奥山寛

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「人」にフォーカスし、ミュージカル界の名バイプレイヤーや未来のスター(Star-To-Be)たち、一人ひとりの素顔の魅力に迫るSPICEの連載企画『ミュージカル・リレイヤーズ』(Musical Relayers)。「ミュージカルを継ぎ、繋ぐ者たち」という意を冠する本シリーズでは、各回、最後に「注目の人」を紹介いただきバトンを繋いでいきます。連載第十二回は、前回高木裕和さんが、「いろんな視点から舞台を観ることができる人」と紹介してくれた奥山寛(おくやま・ひろし)さんにご登場いただきます。俳優のみならず演出家・振付家としてもコンスタントに活動を続ける奥山さん。7月上演の演出作、ミュージカル『春のめざめ』についてもたっぷりと伺いました。(編集部)

 

「メッセージを届け続けていきたいんです」

役者として舞台に立ち続ける傍ら、演出家としても作品作りに励む奥山寛。幼少期にミュージカルに魅入られたその日から、彼の舞台人生は始まった。

2022年10月には『エリザベート』の出演が控えているが、今は演出家としてミュージカル『春のめざめ』の稽古真っ只中だ。

かつてない猛暑が続く7月某日、浅草九劇の真下に位置する9COFEE /LOUNGEにてインタビューを行った。
役者と演出家。この二つは作品作りにおいて全く異なる立場だが、彼の根底にあるのは一つの揺るぎない想いだった。

役者と演出家、それぞれのルーツ

――役者と演出家という二つの顔を持つ奥山さんですが、それぞれのルーツを教えていただけますか?

まず僕がミュージカルの世界に目覚めたきっかけは、小学3年生のときに観た映画の『ウエスト・サイド・ストーリー』。母がダンスをやっていたこともあって、たまたま家に映像資料があったんです。初めて観たときに「あ、これやりたい!」と直感で思いました。踊ったり歌ったりする姿がとにかく楽しそうだったんでしょうね。それから児童劇団に所属したのが始まりです。

――奥山さんは子役としてもご活躍されてきましたが、その間もミュージカルをやりたいという想いは変わらず?

そうですね。周りに『アニー』や『ピーター・パン』などミュージカルの世界で活躍している子が多かったので、僕もミュージカルをやりたいという想いは変わりませんでした。中学に入るまでは子役としてミュージカルに出演していましたが、声変わりがあってミュージカルに出演しない時期も。その頃はモデルや映像の場で活動を続けていました。

――子役としての活動の中で、演出家の仕事に興味を持つようになったのでしょうか?

はい。演出家をやりたいと初めて思ったのは、小学校6年生のときなんです。

――なかなか早い段階で目覚めましたね!

そう、早かったんですよ(笑)。帝国劇場で『回転木馬』(1995年、東宝版初演)というミュージカルに出演したときです。当時、演出補を務めていたのがマシュー・ホワイトさん。最近だと2018年に『TOP HAT』の演出をされている方です。彼の教え方がとにかく楽しくて! 僕ら子役相手にワークショップをしてくれたのですが、遊びながらそれが自然とお芝居へと繋がっていくんです。彼との出会いで「演出家という道もあるのだな」と初めて意識しました。

――実際に初めて演出を手掛けたのはいつでしたか?

僕自身は所属していなかったのですが、大学にミュージカルサークルがありました。そこでたまたま『tick, tick...BOOM!』を演出をする機会をいただいたんです。初めてなのでわからないことだらけではあったのですが、「やっぱりこれがやりたかったんだな」というものが掴めた瞬間でもありました。

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