スヌーピーの小さな親友「ウッドストック」をテーマにした新企画展がスタート 今年の夏は『スヌーピーミュージアム』に行こう!

2022.7.25
レポート
アート

企画展『ちいさなベストフレンド ウッドストック』 (C) Peanuts Worldwide LLC

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東京・南町田グランベリーパーク内にあるスヌーピーミュージアムにて、2022年7月16日(土)から2023年1月9日(月)まで、企画展『ちいさなベストフレンド ウッドストック』が開催されている。

本ミュージアムの企画展は、カリフォルニア州サンタローザにあるシュルツ美術館が所蔵する貴重な原画を中心に、約半年ごとにテーマを変えて構成している。今回の主役は、スヌーピーの親友で小鳥の「ウッドストック」。個性豊かなキャラクターが多い『ピーナッツ』のなかでも、最も小さくてかわいらしく、ちょっぴり謎に包まれた “黄色い小鳥” にスポットを当て、さまざまなエピソードを紹介する。ここでは、本展に合わせて来日していたシュルツ美術館のアシュリー・レクライト氏(巡回展担当レジストラー)の解説とあわせ、内覧会の様子をレポートしよう。

展示風景

まず、アシュリー氏の肩書きである「レジストラー」とは、作品の登録管理を行う仕事を担当するスタッフのことを指す。作品を保有しているシュルツ美術館から日本の企画展へと作品を貸し出す際に、その作品に関する情報全て(タイトルや制作年などといった情報はもちろん、作品の状態も含めて)管理することが役目だという。安全に、そして確実に作品を届けるため、作品が輸送される飛行機と同じ便に乗り、会場に運んで箱を開け、状態を確認し、そして展示する……という一連の業務を行うそうで、「彼女のおかげで企画展が開催できる」といっても過言ではない、重要な役割を担っているのだ。

ウッドストック誕生の瞬間

そもそも「ウッドストック」という名前は、1969年8月にアメリカで開催された『ウッドストック・フェスティバル』に由来するという。ボブ・ディランやジミ・ヘンドリックスなど著名なアーティストが30組以上出演し、3日間で40万人を集めたという伝説の野外コンサートは、『ピーナッツ』の作者であるチャールズ・シュルツ氏にも大きなインパクトを与えたようで、そのコンサートの翌年である1970年、この黄色い小鳥に「ウッドストック」という名が付けられた。

「シュルツさんは1950年代から鳥を描いており、それはたびたび『ピーナッツ』にも登場していましたが、ウッドストックとは異なる “リアルな鳥” でした。ただ、鳥と犬の交流をとても気に入っていたようで、15年ほど描いたある日『これが一種類の鳥だったら良いのではないか』と考えたそうです」(アシュリー氏)

一羽の鳥、あらわる

「1967年にようやく我々の知るウッドストックが登場します。しかしながら、そのときは “スヌーピーの秘書” という扱いで名前がありませんでした。それから3年後となる1970年に、いよいよウッドストックという名前が付けられます。名付けの瞬間がこちらです」

ウッドストック誕生!

なんともシンプルなエピソードだが、これが今後の『ピーナッツ』の世界でスヌーピーとの友情が描かれるきっかけとなったと思うと、なんとも感慨深い。

ウッドストック語と、それを理解するスヌーピー

さて、皆さんは「ウッドストック語」をご存知だろうか? チョンチョンチョン……と縦線(点々)がたくさん描かれていることが特徴だ。

ウッドストック語1級

展示風景

「『ピーナッツ』に登場するほかのキャラクターと違って、ウッドストックはハートやクエスチョン、そしてこの点々でおしゃべりをするというのが大きな特徴です。そしてそれは、スヌーピーにしか理解できません。点々は、英語で話しているわけではないことを表しています。また、スヌーピーも頭で考えていることが吹き出しに表現されているので、こちらも英語を話しているわけではないと考えられます。なぜ二人が仲良くなったのか。それは、二人が動物なのでお互いを理解できるということが非常に大きいのだろうと思います」

種族を超えた恋

ウッドストックが恋に落ち、そのたかぶる想いを親友であるスヌーピーに話すエピソード。ウッドストックが一生懸命点々やハートで熱弁する一方、話を聞いて苦い顔をするスヌーピーの反応に「自分もこんな反応をしたことあるかも……」と、これまで友人とした会話がふと頭をよぎる。それはまるで、我々の日常の一コマを描いているようだ。

ほかにも、小さいことを理由に起きた困難をまとめた「スモールの悲劇」や、小さいからという理由では諦めない「ちいさいって素晴らしい」など、いくつかのカテゴリーに分かれて展示されており、そのエピソードは多数。スヌーピーとの友情が綴られていたり、ウッドストックの “ポジティブ思考” が描かれていたりと、彼らのキャラクターを理解しつつ、共感し、尊敬さえするエピソードが溢れている。

展示風景

展示風景

それでも、いつも二人は親友だ

聖なる友情

「二人は冒険に出たり、喜び合ったり、たまには喧嘩をしたりと色々なことがありますが、結局のところ二人は親友であり、最後にハグをして終わります」とアシュリー氏から紹介されたエピソードでは、実際に二人がギュッと抱き合うシーンが見られた。いつも仲が良いわけではなくても、大事なときにそっと寄り添い合う仲間。それがスヌーピーとウッドストックの関係であることがよく表現されている。そういえばスヌーピーは大雪のある日、ウッドストックが雪に埋もれてないか心配で見に行ったり(実際はしっかり対策されていて無事だった)、チャーリー・ブラウンが打った野球ボールが直撃し巣を壊されたウッドストックの代わりに仕返しをしてくれたり(スヌーピーがチャーリー・ブラウンのお尻を蹴り飛ばした!)、スヌーピーはいつもウッドストックのそばに寄り添っている。本企画展では、そんな彼らの熱い友情を感じることのできる作品が多くあったのが印象的だった。

展示風景

ミュージアムショップ「ブラウンズストア」では、展示作品のポストカードやマグカップ、ウッドストックをモチーフにした陶器スプーンなど、本企画展の開催を記念したグッズが多数登場。また、スヌーピーの誕生日である8月10日(水)には、スヌーピーがミュージアムに遊びに来ることも決定しているほか、8月中には「夏休み企画」をいくつか用意しているとのこと。詳細はオフィシャルサイトで確認しよう。

マグカップ(チョコレート色)税込1,870円、陶製スプーン(スマイル)税込1,180円

カラーポストカード(各)税込220円、クリップカードスタンド(各)税込990円

スヌーピーミュージアムの企画展『ちいさなベストフレンド ウッドストック』は、2023年1月9日(月)までの開催。入場券はイープラスにて発売中。


(C) Peanuts Worldwide LLC
文・撮影=SPICE編集部

施設情報

スヌーピーミュージアム
住所:東京都町田市鶴間3-1-4
営業時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
休館日:1月1日、その他年2日

アクセス:東急田園都市線・南町田グランベリーパーク駅より徒歩4分