Little Glee Monster アサヒ、MAYU、かれんの3人で歩き出したリトグリの第2章、幕張公演を振り返る
Little Glee Monster 撮影=Yusuke Satou
Little Glee Monster Live Tour 2022 Journey
2022.7.23 幕張メッセ イベントホール
「人生って本当にいろんな出来事があって、旅みたいなもので。ただ短い旅の“Trip”より、長い目で見た旅“Journey”の方が、リトグリにはしっくりくるなぁっていうのはすごく思います」
これはアルバムリリース時に、タイトルについて話してくれたかれんの言葉だ。そしてこのインタビューはmanakaの休養により、急遽3人で廻ることを決めた全国ツアーに対する戸惑いと、だけども芹奈とmanakaが安心して休めるように、いつか戻って来た時にとびきりの場所であるために、何より支えてくれるガオラー(※Little Glee Monsterファンの呼称)がいるから、リトグリは歩みを止めないんだという強い覚悟で締め括られた。その2ヵ月後、ツアー初日を終えたタイミングでリリースしたシングル「magic!/生きなくちゃ」のインタビューでは、笑顔で迎えてくれたガオラーへの感謝と、会場に響き渡る拍手やコーレスバルーンをエネルギーと勇気に代えて、楽しい旅ができそうだと嬉しそうに語る3人の笑顔が印象的で。だから7月15日に「芹奈、manakaの卒業」というニュースが届いた時は驚いた。アサヒ、MAYU、かれんがLittle Glee Monsterを続ける決断をしてくれたことに感謝しつつ、変わらぬ応援を心に誓いつつ、それでも整理がつかぬ想いを抱えて、7月23日、幕張メッセに向かった。
いつものSEが流れると、客席からいつも以上に熱を帯びたクラップが湧き上がる。スクリーンには5人で行った過去のライブ映像が映し出され、真っ白な衣装を纏ってステージに登場した3人は、芹奈、manakaの立ち位置を開けて横並びに、当然のように5本のスポットライトが2人足りないリトグリを照らす。アカペラで歌い出した「Jupiter」には、芹奈とmanakaのボーカルトラックが重ねられていて、今日は5人のリトグリのライブであり、今回が5人で廻るラストツアーなのだと思い知らされる。時に絞り出すような、時に奮い立たせるような、どこまでも伸びやかな5人の歌声に胸が震えた。《ひとりじゃない 深い胸の奥で つながってる》、《望むように生きて 輝く未来を》というフレーズは旅立つ2人へのエールにも感じたし、最後のフレーズ《いつまでも歌うわ あなたのために》はきっと、集まった私たちに対するリトグリの新たな約束なのだと思った。
日本全国を巡った本ツアーの旅路を振り返る映像を挟み、バンドメンバーとともに、ポップでカラフルに衣装チェンジした3人が再登場。「Hurry up!!」、「青春フォトグラフ」、「I BELIEVE」、「青い風に吹かれて」と、衣装に負けない色とりどりの楽曲で、3人ならではの軽快なフォーメーションで、3人とは思えぬ自在なハーモニーで、三人三様の個性と魅力を炸裂させて、会場を鮮やかに染め上げていく。
最初のMCでアサヒは、目の前にいる一人ひとりの“整理がつかぬ想い”に寄り添いながら、「5人とファンとみんなが作り上げたものに嘘はひとつもなかったし、すべてが宝物です。最後には笑顔になれるライブを作っていきたいと思いますので、今日1日よろしくお願いします」と力強く宣言。そして「大切な仲間を思うこの曲を聴いてください」と言って手渡した「いつかこの涙が」は、夕焼けみたいなピアニカと凛としたボーカルのコントラストが印象的なアコースティックナンバー。さらに全編英詞のバラード曲「Come Alive」を、かれんのピアノと3人の歌声という新たなアンサンブルで披露。この挑戦的な編成と、“立ち上がって、もう一度前へ進んでいくんだ”というたくましい歌詞が混ざり合い、幕張メッセの温度をギュッと上げた。
メジャーデビュー曲「放課後ハイファイブ」を皮切りにスタートしたメドレー(芹奈とmanakaもボーカルトラックで参加)は、「人生は一度きり」、「好きだ。」、「だから、ひとりじゃない」、「ECHO」他を経由して「君といれば」に辿り着いた。続けて「Journeyスペシャルムービー」と題された映像作品で、2014年のメジャーデビュー、初の日本武道館ライブ、アジアツアー、海外レコーディングなど、リトグリが歩んできた軌跡を追っていく。スクリーンの中の5人はめっちゃ幼くて、あたり前だけど少しずつ大人になって、挑戦を繰り返し、経験を重ね、自覚と自信と唯一無二のハーモニーを手に入れて、途中からもうキラキラと眩しくて。嬉しい時も、苦しい時も、憤るような出来事も、全部ひっくるめて、5人の9年間はとても幸せそうだった。
だからこの後のMCでMAYUはまっすぐに言ったんだと思う、「本当は今日のステージに5人で立ちたかったです。2人にも立って欲しかった」って。住んでいる場所も性格もバラバラな5人が、“歌うことが好き”っていう唯一にして最強な理由で出会えた奇跡に感謝してるから。そうしてかけがえのない存在になった芹奈とmanakaが下した決断を否定するなんてできないから、迷って迷っていっぱい考えて、しっかり受け止めた。そんな話のあとに、悩む君の背中をそっと支えて、心に光を灯す「SING」。会いたい人への想いを青空に馳せる「心に空を」を歌われたら泣いてしまうよ。まぁ結局はキュートな最新曲「magic!」で思いきり踊らされちゃうんだけども。音楽ってほんっとに不思議だ。未来は誰にもわからないのに、今のリトグリとガオラーに必要な曲がちゃんと生まれているんだもの。
「今回のことは私たち3人にとっても、未来について深く考えるきっかけになりました」
ラストナンバーを前にかれんが話し出す。「考えた上で、これからもリトグリとして歌っていきたいって強く思いました。そのためには仲間が必要です。リトグリの未来を信じて、期待して待っていて欲しいと思います」。そう語る表情は晴れやかで、差し出された「WONDERLAND」は最高にハッピー。次回までにダンスを覚えたいし、コロナが落ち着いたら難解コーラスにも参加したい! まさに明るい未来が詰まった曲だった。
アンコールに応えて再登場した3人が「STARTING OVER」を笑顔で届けたら、観客は「SAY!!!」、「全力REAL LIFE」を全力のクラップ、全力のタオル回し、全力のジャンプで楽しむ。いやいやもっと楽しみたい! まだ帰りたくない!! ダブルアンコールを求める熱烈手拍子に導かれ、彼女たちが本当のお別れの曲に選んだのは、5人の映像と2人の歌唱をプラスした5人編成の「世界はあなたに笑いかけている」だった。私たちは目に焼き付ける、5人のリトグリと見た幸福な景色を、そして第2章に向かって歩き出したアサヒ、MAYU、かれんの力強い背中を。
ファイナル公演の翌日、7月25日に新メンバーを探す『M∞NSTER AUDITION』のサイトがオープン。キャッチコピーは「世界にはみだせ」、応募条件は「音楽を愛していること」。心躍る仲間が集まるに違いない。Little Glee Monsterの新たな旅はもう始まっている。
(※『M∞NSTER AUDITION』パフォーマンス部門の募集期間は終了。クリエイター部門の応募締切りは2022年8月31日までとなります。)
取材・文=山本祥子 撮影=Yusuke Satou
『M∞NSTER AUDITION』情報
https://monsteraudition.jp/
※パフォーマンス部門の募集は終了しています。
※クリエイター部門の応募締め切りは2022年8月31日までとなります。
セットリスト
2022.7.23 千葉・幕張メッセ イベントホール
1. Jupiter
2. Hurry up!!
3. 青春フォトグラフ
4. I BELIEVE
5. 青い風に吹かれて
6. いつかこの涙が
7. 会いにゆく
8. Come Alive
9. 2022メドレー幕張SPver(放課後ハイファイブ/人生は一度きり/好きだ。/私らしく生きてみたい/はじまりのうた/明日へ/だから、ひとりじゃない/OVER/足跡/ECHO/透明な世界/君といれば)
10. Waves
11. Your Name
12. SING
13. 心に空を
14. 書きかけの未来
15. magic!
16. WONDERLAND
[ENCORE]
17. STARTING OVER
18. SAY!!!~全力REAL LIFE
[DOUBLE ENCORE]
19. 世界はあなたに笑いかけている