クリアソン新宿が国立競技場のピッチに立つ! JFL史上2度目の大一番が意味するものとは?

2022.9.12
インタビュー
スポーツ

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JFLのクリアソン新宿 vs 鈴鹿ポイントゲッターズ戦が10月9日(日)に国立競技場で開催される。

国立競技場での試合はJFLにとって史上2度目の出来事であり、2020年の建て替え後では初めての開催となる。新宿を拠点とするクリアソン新宿にとっても、地元で行う初めてのビッグマッチといえるだろう。サッカーの聖地での大一番を控えた今、チームはどのような思いで試合への準備を進めているのか? クリアソン新宿の西山大輝選手に、この試合にかける思いを語ってもらった。

西山大輝

1998年1月16日生まれ。静岡学園高校、拓殖大学を経て、クリアソン新宿に加入。ポジションはMF。株式会社クリアソンに勤務し、チームの運営にも携わっている。

国立競技場はサッカー選手であれば誰もが憧れる場所

――10月9日の試合が迫ってきました。まずは、国立競技場で試合をすると聞いたとき、どう思われましたか?

西山大輝:率直に嬉しかったです。現時点で、その時、ピッチに立っているのかどうかはわかりませんけど……ケガをしてしまうかもしれませんし。とはいえ、クリアソン新宿が国立競技場で試合ができる、そのピッチに立てる可能性があるというのは、すごくわくわくします。サッカー選手であれば、誰もが憧れる場所ですから。

――やはり、国立競技場は特別な場所ですか?

西山大輝:特別だと思います。昨年の東京五輪では開会式・閉会式が行われましたよね。世界のアスリートが集った場所に自分が立つのかと考えると、身が引き締まる思いです。

それに『全国高校サッカー選手権大会』の決勝の舞台は、国立競技場なんです。母校の静岡学園は、僕の生まれる前のことで、単独ではありませんでしたが、全国優勝しているんです。その時の試合は、僕も映像で何度も見ました。

国立は僕にとっては、あの舞台に立ちたいと、目指すべき場所だったんです。ただ、自分が高校生の頃は、ちょうど国立が改修工事を行っていました。国立で試合ができる可能性すらなかったので、今、新宿のチームにいることで試合ができるようになったことが、本当に嬉しいです。

――今回の試合は、西山さんにとっても思い入れがある一戦なんですね。

西山大輝:そういう意味では、国立競技場が新宿区にあるというのもすごく意義深くて。実は、新宿区にはフルサイズのサッカーコートが2つしかないんです。1つは防衛省のグラウンドなので、なかなか使えるものではないんです。もう1つが国立競技場。10月9日は、新宿のチームが新宿のスタジアムで行う初めての試合なんですよ。チームにとって意義のある試合だと思います。

これまでネット越しに僕らを応援してくださっていたみなさんに、あの大きなスタジアムでプレーしている姿を見てもらえるのは、僕自身すごく嬉しいですし、喜んでもらえたらいいですよね。

国立での試合はJFLを知る機会であり、新宿を知る機会にしたい

――JFLのチームが国立で試合をする意義はどういうものだと思われますか?

西山大輝:国立競技場は、多くの国際試合が行われた場所で、そこでJFLのカテゴリーのチームが試合をすることは、JFLについて多くの人が考える機会になると思いますし、JFLを認知してもらう1つの機会にもなると思います。

今度の試合は、クリアソン新宿にとっても大切なものですが、JFLにとっても1つのターニングポイントにもなるのではないでしょうか。僕らが良い試合をすれば、Jリーグ以外にもサッカーがあることを知ってもらえると思うので、そこは頑張らないといけないですね。それに、試合以外にもいろいろな企画や催しもあるんですよ。

――どういったことが行われるんですか?

西山大輝:「新宿の日」と銘打った企画を考えています。スタジアムのまわりに新宿の物産がそろうエリアができたりとか、いわゆるスポンサー……僕らは一緒に歩んでいきたいという思いからパートナーと呼んでいますけど、パートナー企業が出展する場外ブースがあったりと、新宿そのものを知ってもらいたいんです。

僕らがサッカーの試合をするだけではなく、地域のみなさんと1つのイベントを作り上げていければ。それこそ、全体で新宿を体感できるイベントにしたいですね。そうすることで、これまで支えてくれた地域のみなさんへの恩返しになるんじゃないかと思っています。

チームとしては、これまで新宿区といろいろな活動をしてきましたけど、周囲のみなさんの応援があったからこそ国立での試合も実現できたと思いますし、そもそも地域の方々がいなければ、チームは成り立たないと思っています。

――試合に向けて、チームのモチベーションも上がっていますか?

西山大輝:現状、順位はふるっていませんが、10月9日に向けて勝ち星を積み上げていきたいという気持ちは強いです。そうすることで、応援して下さるみなさんの気持ちも高まると思いますし。

――国立でも良い試合が期待できそうだと思ってもらえれば、スタジアムに観戦に行こうという人は増えますよね。

西山大輝:当日まで1試合1試合成長した姿を示して、10月9日は勝利して、笑顔で帰ってもらうのが一番だと思うので、今はチームの結束力も高まっていますね。

――チームとしては振るわない状況だという話が出ましたが、クリアソン新宿の選手が、仕事との二刀流の選手が多いんですよね。その影響はありますか?

西山大輝:それを言い訳にはしたくないです。時間がない中で“どうやって自分を強くしていくか”、それは今の自分の課題ですね。

逆に言えば、仕事でももっと効率のよいやり方があるだろうし、生産性を高める方法があるはずなんですよね。それができれば、仕事の成果も上がるでしょうし、サッカーへの時間も捻出できて、サッカーの成果も上がるんだと思うんです。仕事で得たスキルをサッカーにも転用できるとか、相互作用も必ずあるはずなんですよ。

――試合相手の鈴鹿ポイントゲッターズは、三浦知良選手が加入したことで話題になりましたが、西山さんはどんな印象を持っていますか?

西山大輝:個人的なイメージは、大学の同級生が所属しているのと、カズさんと監督の三浦泰年さんが高校の先輩にあたるんです。だから、そういうイメージです(笑)。

――なるほど、身近な存在であり、縁があるチームなんですね。

西山大輝:特に今井那生選手は、大学4年間ずっと隣でプレーしていた同期なので、国立のピッチで戦える可能性があるというのは、感慨深いです。もし、お互いがJリーガーだったとしても、国立で試合ができるかというと、そんなに可能性が高いものではないと思うんですよ。

――国立競技場をホームにしているチームはありませんからね。

西山大輝:だから、試合が決まった時にはすぐに連絡しました(笑)。カズさんは大先輩なので、恐れ多い部分もありますが、やはり、試合ができる可能性があるのは楽しみです。前期は、鈴鹿のホームで試合をしたんですけど、個々の能力が高く、粘り強く勝負強いサッカーができるチームだと感じました。前回は負けてしまったので、国立では勝ちたいですね。

国立競技場では何かのきっかけになるプレーをしたい

――クリアソン新宿は、発足当初から着実にステップアップしてJFLに上がり、今や国立で試合ができるところまで到達しました。チームとして、しっかりとした戦略を持ってここまでやってきたのでしょうか?

西山大輝:戦略というか、チームとして理念がありまして、それは「最短で世界一のサッカークラブになる」というものなんです。その旗の下にいろいろな人が集まってきていて、その中で、「サッカーで感動を創造したい」という目的を掲げて活動しています。その2つの理念はブラさずにやってきていると思います。

では世界一のクラブとは何なのか? 例えば『FIFAクラブワールドカップ』で優勝することが、世界一のクラブになることだとすれば、JFLからJ3、J2、J1へと昇格を続け、『AFCチャンピオンズリーグ』を優勝して、『FIFAクラブワールドカップ』に出場……となるので、最短でも4年。実力で世界一を目指すとなると、それだけの時間が必要です。

もちろん、サッカークラブである以上、それは当然目指していますが、僕らの思う世界一はそれだけじゃないんです。例えば、世界一のスタンドを作るというのも1つ。そして、そこに試合を見に来てくださった人が、「バルセロナの試合よりも、僕らの試合を観戦する方が楽しい」と思ってもらえたら。それも1つの世界一だと思うんですよ。

豊かな新宿の街にあり、世界一応援されるスタンドを持ち、感動を創造するプレーをする……そんな総合的な世界一を最短で目指していきたいです。現状、成績は振るわないので、実力が伴っていないと言われてしまうかもしれませんが、直近の目標であるJFLからJ3への昇格という目標も、ブレずに進んでいきたいですね。

――いち選手としての、今後の展望は?

西山大輝:ざっくりした言い方になってしまいますが、もっと上手くなりたいです。もっと上手くなって、さらに上のレベルでどこまで通用するのかを自分自身見てみたい。でも、それを今のクラブでやりたいんです。

僕は、クラブの理念に共感してクリアソン新宿に加入しました。だからクラブと共に成長したいし、このクラブで自分を高めたい。自分の目標の先にクラブの目標もある、そんな感覚がありますね。もちろん、サッカー選手なので、J1でプレーしたい、海外でプレーしたいという夢も当然あります。でも今は、このチームで成長したいんです。

――国立ではどんなプレーをしたいですか?

西山大輝:ゴールを取れれば一番なんですけど(笑)、まずは見にきてくださった方に楽しんでもらいたいです。そして、何かのきっかけになるプレーをしたいと思っています。それはメッシやロナウジーニョみたいに魅せるプレー、派手なプレーをするという意味ではなくて、泥くさくても必死にプレーすることだったり、自分で出したボールを自分で取りに行くとか、相手を倒した時にはちゃんと謝るとか、些細なことでもいいと思うんですよね。

サッカーをやっている人が「23番(西山の背番号)が必死にやってたから、自分も頑張ろう」と思ってくれたり。サッカーはよく知らなくても、僕のプレーを見てちょっと楽しい気持ちになってくれたり。見ている人の何かしらのきっかけになれればと。ちょっと抽象的ですけど、そういうプレーをしたいなと思っています。

イベント情報

第24回日本フットボールリーグ(JFL)  第24節 クリアソン新宿 vs 鈴鹿ポイントゲッターズ

 日時:10月9日(日)13:00開始
 場所:国立競技場 (東京都)

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