『ディズニー・オン・クラシック 〜まほうの夜の音楽会 2022』が開幕~『ノートルダムの鐘』をメイン演目とするBプログラムをレポート

レポート
クラシック
2022.9.13
『ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2022』

『ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2022』

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ディズニー・アニメーションや映画、テーマパークの名曲を、フルオーケストラの生演奏と迫力ある歌声で届ける大人のための音楽会『ディズニー・オン・クラシック 〜まほうの夜の音楽会 2022』が2022年9月10日(土)、J:COM ホール八王子(東京都八王子市)で幕開けした。開催20周年を迎える今年は、「Infinite Love 〜輝きの未来へ」がテーマ。メイン演目に映画『塔の上のラプンツェル』と映画『ノートルダムの鐘』の2作品がラインアップ。公演日によって異なるメイン演目が上演される。SPICEでは『ノートルダムの鐘』をメイン演目としたリハーサルの様子をレポートする。

Aプログラム『塔の上のラプンツェル』

Aプログラム『塔の上のラプンツェル』

Bプログラム『ノートルダムの鐘』

Bプログラム『ノートルダムの鐘』

新型コロナウィルスの感染拡大で、2年半ぶりにアメリカから指揮者のリチャード・カーシーと、ブロードウェイで活躍する8人のボーカリストたちを招くことが叶った今回。オーケストラ・ジャパンが待つステージに登場したマエストロは「ようこそみなさん。今日は特別なプログラムをお見せします。ぜひ楽しんで」と観客に呼びかけた。

カーシーのタクトに合わせ、オープニング曲に選ばれたのは、東京ディズニーランド(R)で行われていた夜のパレード「ディズニー・ファンティリュージョン!」の世界を盛り上げた「フェアリー・ガーデン」。高らかに響くトランペットが、待ちに待った瞬間を祝福する。ステージの両脇からは、観客席に向けて無数のレーザーが魔法のように放たれた。舞台に設置されたスクリーンには、音楽会が始まった2002年の映像が映し出されていった。

東京ディズニーランド(R)「ディズニー・ファンティリュージョン!」より“フェアリー・ガーデン”

東京ディズニーランド(R)「ディズニー・ファンティリュージョン!」より“フェアリー・ガーデン”

リチャード・カーシー

リチャード・カーシー

始まりの2002年のテーマ「You can Fly 〜君も飛べるよ」、続いて全国各地で行われるようになった04年の「Believe in Love 〜愛の力を信じて…」、05年の「Dreaming Forever 〜輝く夢を永遠に」と、各年のテーマとともに懐かしい映像と写真がそのページをめくるように紹介されていく。昨年の「Music Forever ~永遠に続く愛」まで来たところで、ステージにナビゲーターの、ささきフランチェスコが姿を現した。

「ようこそ。『ディズニー・オン・クラシック 〜まほうの夜の音楽会 2022』へお越しくださいました。一緒に20周年をお祝いしましょう。音楽と魔法の世界にみなさまをお連れします」とあいさつしたささきは、演奏曲をステージ上で決める「20thセレブレーション・ルーレット」について説明。ルーレットはアニメーションや実写映画などの思い出がよみがえる3曲からなる「プロデューサーズ・チョイス」とファンのリクエスト上位4曲からなる「パーク・セレクション」の7曲がノミネートされており、マエストロがルーレットで決めるという。

ささきフランチェスコ、リチャード・カーシー

ささきフランチェスコ、リチャード・カーシー

「とても興奮している」と顔を高揚させたカーンは、ささきにうながされルーレットをスタート! 「プロデューサーズ・チョイス」としてセレクトされた、「フライ・トゥ・ユア・ハート」(『ティンカー・ベル』より)、「愛の導き」(『ライオン・キング2 シンバズ・プライド』より)、「みんなスター!」(『ハイスクール・ミュージカル』より)から、この日は「みんなスター!」/ 『ハイスクール・ミュージカル』よりに決まった。

「パーク・セレクション」のルーレットでは、東京ディズニーランド キャッスルプロジェクション「ワンス・アポン・ア・タイム」(エディット・バージョン)、東京ディズニーシー「ファンタズミック!」より“イマジネーション”、東京ディズニーシー「レジェンド・オブ・ミシカ」より“レジェンド・オブ・ミシカ第6章フィール・ザ・ラブ”、東京ディズニーシー「ミステリアス・マスカレード」(エディット・バージョン)の中から、東京ディズニーシー「レジェンド・オブ・ミシカ」より“レジェンド・オブ・ミシカ第6章フィール・ザ・ラブ”が演奏されることになった。

カーシーが「1.2.3.4!」とカウントして始まった、「みんなスター!」(『ハイスクール・ミュージカル』より)では、冒頭で奏者が一斉にクラップ!! ティーンのようにはしゃぐオーケストラの前に、8人のヴォーカリストたちが飛び出して来た。「Here we go!!」と叫ぶと演奏に合わせ、歌はもちろんダンスでも盛り上げていった。

「みんなスター!」(『ハイスクール・ミュージカル』より)

「みんなスター!」(『ハイスクール・ミュージカル』より)

「みんなスター!」(『ハイスクール・ミュージカル』より)

「みんなスター!」(『ハイスクール・ミュージカル』より)

「愛の導き」(『ライオン・キング2 シンバズ・プライド』より)

「愛の導き」(『ライオン・キング2 シンバズ・プライド』より)

ダンスパーティーのようになったステージは、ルーレットに導かれた東京ディズニーシー「レジェンド・オブ・ミシカ」より“レジェンド・オブ・ミシカ第6章フィール・ザ・ラブ”へと続いていく。スクリーンには、東京ディズニーシーがグランドオープンした時から、2006年5月まで行われた水上のショー「レジェンド・オブ・ミシカ」の映像が映し出された。

メディテレーニアンハーバーに神話の国「ミシカ」に繋がる門があることを知ったミッキーマウスたちは、謎を解くために船で冒険の旅に繰り出していく。再び会場にめぐらされたレーザー光線は、会場をパークに一変させた。

生演奏に合わせて、目の前でショーが繰り広げられたような感覚に、熱気が収まらない会場。「華やかすぎる」と感想を述べたささきは「ルーレットが、くせになりそうですね。くせになった方は、また会場に足を運んでください」と呼びかけていた。

「パート・オブ・ユア・ワールド」

「パート・オブ・ユア・ワールド」

2021年に寄せられたリクエスト上位3曲を演奏する「ベスト・オブ・ファンリクエスト」のコーナーは、映画『リトル・マーメイド』で人間の世界にあこがれを持つ主人公の人魚姫・アリエルが海底から地上を見上げるシーンで歌った「パート・オブ・ユア・ワールド」でスタート。スクリーンでは歌うアリエルの様子を上映。アリエルの思いを体現するように、ケイティ・トラビスが切ない歌声をソロで響かせていた。

リクエスト上位2曲目は、東京ディズニーシー内のアトラクション「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」の旅の中で流れる「コンパス・オブ・ユア・ハート」。スクリーンには、宝物を探すため旅に出たシンドバッドとチャンドゥーが、人魚などに助けられながら道を切り開いていく様子が流れていく。同アトラクション内でシンドバッドとサルたちが楽器を演奏する場面が映し出された際は、パーカッション奏者らがサルたちの動きに合わせて、楽器を打ち鳴らす一幕もあった。

「コンパス・オブ・ユア・ハート」

「コンパス・オブ・ユア・ハート」

「スピーチレス〜心の声」

「スピーチレス〜心の声」

リクエスト企画のラストに演奏されたのは、実写版『アラジン』より「スピーチレス〜心の声」。荘厳なオーケストラの演奏に合わせ、ソリストのトリシア・タンガイが美しいファルセット、心の迷いを消し去るような歌声で客席を魅了した。

第1部の最後を締めくくったのは、英国を舞台にした映画『メリー・ポピンズ』を彩った楽曲を組曲で聴かせる企画。ロンドンの桜通りに住むバンクス家に乳母としてやってきたポピンズが、子ども部屋を片付けるシーンで使われた「お砂糖ひとさじで」や、競馬場で友人のバートと踊りながら歌う「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」などをトラビスを中心に8人で披露し、会場を盛り上げた。

「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」

「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」

20分間の休憩を挟み、ささきとマエストロがステージに登場。ささきが「やっとお会いできました」と語り掛けると、カーシーは「やっとお会いできました」と笑顔。「本当に日本が恋しかったです」と会場を見渡した。

コロナ禍のアメリカでは、コンサートの中止が相次いでいたことから、「ディズニー・オン・クラシック」がなくなってしまうかもしれないと危惧していたそうで、「2年半ぶりに日本に来ることができてうれしい。2019年に(前指揮者のブラッド・ケリーから)バトンを受け、これからという時に、(コロナで)世界が閉ざされてしまった。来日できない間は、日本の指揮者とヴォーカリストがコンサートを守り続けてくれた。この日を迎えることが出来たのは、応援して下さるみなさんの愛情があったから」と感謝すると、「(幕上けが八王子なので)髙尾山薬王院にお参りして、高尾山で名物のとろろそばを食べたい」と話し、客席を笑わせた。

公演日によって2部の演目が変わる今回。この日は、『アラジン』や『美女と野獣』の音楽を手掛けたレジェンド、アラン・メンケンが手がけたディズニー映画の『ノートルダムの鐘』がフィーチャーされた。

フランス・パリに実在する「ノートルダムの塔」で暮らす主人公・カジモドは醜い見た目から外に出ることを禁じられている。「1日で良いから外に出てみたい」と願う鐘番のカジモド役にはパトリック・ブレイディが、カジモドが密かに思いを寄せるジプシー、エスメラルダはトリシア・タンガイが務め、物語を紐解いていった。

カジモド役:パトリック・ブレイディ

カジモド役:パトリック・ブレイディ

エスメラルダ役:トリシア・タンガイ

エスメラルダ役:トリシア・タンガイ

フロロー役:ディロン・ヒープ

フロロー役:ディロン・ヒープ

「ゴッド・ヘルプ」、「罪の炎」など全24曲で構成される組曲は圧巻の一言。パリ市民の目の前で火あぶりにされそうになったエスメラルダをカジモドが救出する「大脱出」を歌い上げる場面では、映画と同じようにタンガイがブレイディのほほにキス。ブレイディは恥ずかしそうにうつむいていた。

『ノートルダムの鐘』

『ノートルダムの鐘』

『ノートルダムの鐘』

『ノートルダムの鐘』

『ノートルダムの鐘』

『ノートルダムの鐘』

「誰がモンスターで、誰が心ある人間なのか」。オーケストラが編み上げる壮大な音色、8人の力一杯の歌声で感じて欲しい。

公演の最後は、星空のような照明の下で、マエストロが演奏するピアノ、コンサートマスターの青木高志がヴァイオリンで映画『ピノキオ』の劇中歌「星に願いを」を演奏。伸びやかな音色に乗せ美声を響かせたボーカリスト8人は、20周年の限定チャームが付いたファンシーカラー★ダイヤモンド・ライトを照らし、会場と一つになっていた。

音楽と魔法が織りなすコンサートは12月25日(日)のアクトシティ浜松 大ホール(静岡県浜松市)まで全国37都市で54公演が開催される。

取材・文=翡翠 写真=オフィシャル提供 
Presentation licensed by Disney Concerts. ©︎Disney

公演情報

『ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2022』

テーマ: Infinite Love ~輝きの未来へ
日程: 2022年9月10日(土)~12月25日(日)
オフィシャルサイト: https://www.disney.co.jp/eventlive/onclassic.html
ディズニー・オン・クラシック 公式Twitter: @onClassicDisney
 
特別協賛:株式会社ジェーシービー
協賛:シチズン時計株式会社
主管: Disney Concerts
協力: 月刊「ディズニーファン」
制作: Harmony JAPAN
公演時間:約2時間30分(休憩含む)
 
■出演者
<指揮>リチャード・カーシー
<ヴォーカリスト>Disney on CLASSIC Starts / ディズニー・オン・クラシック・スターズ
<オーケストラ>THE ORCHESTRA JAPAN / オーケストラ・ジャパン
<ナビゲーター>ささきフランチェスコ
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