春奈るな 10周年を迎えて「立ち止まらずに進み続けていきたい」フリーになって語るファンへの思い

2022.9.16
インタビュー
アニメ/ゲーム

撮影:大塚正明

――改めてこの10年で、シンガーとして成長したなと思う部分はあったりします?

昔から消極的で、何かがやりたくても「私はこれがやりたい」って言える子ではなかったし、歌う時もやっぱり誰かに届けるとかじゃなくて、自分が楽しいからただ歌ってるって感じだったんです。でもいろんな人に支えてもらって、「これがやりたい」「こういう風に伝えたい」って積極的に思えるようになったところが変わってきたなっていうのは感じますね。

――自分の中でターニングポイントになった曲とかってあるんですか。例えば「Overfly」(アニメ『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編エンディングテーマ)は代表曲の一つでもあると思いますが。

「Overfly」も私にとって本当に大切な楽曲で、「Overfly」がきっかけで海外に呼んでいただく事とかも増えたし、『ソードアート・オンライン』を通じて、私の事を知ってくれた方も多いと思うんですけど、改めて10年を振り返ってみると、「君色シグナル」なのかなって。

――アニメ『冴えない彼女の育てかた』のオープニングテーマですね。

わりと等身大の気持ちを歌う曲が、『冴えカノ』の曲は多くて。「君色シグナル」も自分を包み隠さず表現する楽曲ですし。それまでリリースしてきた曲とはガラッと変わったポップな感じの楽曲ではあったんですけど、そういう曲をそれまであまり聴いてこなかったんですよ。その頃ってちょっと非現実的なシチュエーションの曲を好んで聴くことが多くて、そういうものを表現していたことが多かったんです。「空は高く風は歌う」(アニメ『Fate/Zero』2ndシーズンエンディングテーマ)とかもそうなんですけど。

――それがちょっと変わったのが「君色シグナル」だと。

「君色シグナル」を歌った事によって、等身大のありのままの気持ちを伝える事も凄く楽しいんだなっていうことに気付いて。入り込んで情緒をミュージックビデオで表現するのも勿論素敵なんだけど、「君色シグナル」みたいにポップな気持ちでカメラに向かって見てる人に何かを伝える訴えかけるみたいな、そういうものの楽しさみたいなものをそこから凄く感じるようになって。

撮影:大塚正明

――シングル一覧を見ると、確かに世界感強めの曲が最初の頃は多いかもしれないですね。

そうですね。等身大の気持ちを表現した楽曲という意味では、「君がくれた世界」(音楽番組『ミュージックドラゴン』エンディングテーマ)とか「アイヲウタエ」(アニメ『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』「猫物語(白)」「傾物語」エンディングテーマ)とかもあるんですけど、「君色シグナル」は特に印象深いですね。

――そう言ったら、『冴えカノ』シリーズの「ステラブリーズ」(アニメ『冴えない彼女の育てかた♭』オープニングテーマ)も等身大というかリアルな女の子目線だし。

こういう曲の楽しさもあるんだなっていうのを凄く感じましたね。それまで表現方法とかも比較的偏ってたと思うんですけど、ちょっとだけ幅が増えたというか、こういうのも楽しいと思えるようになったのが、自分の中ではターニングポイントになったし、やっぱりミュージックビデオとかを見返していると明らかに「君色シグナル」から変わってるんですよね。表情とかが何かに気付いたのかみたいな客観的に見てても凄く感じるというか。

――この話踏まえてもう一回みんなに見て欲しいですね。

そうですね!YouTubeチャンネルにも全曲フルサイズ公開されてるので、歴史順に見てほしいですね。

――僕の印象としては「ルパとアリエス」とか「回転木馬」とかも世界観が強い雰囲気ですけど、今はそれも春奈るなの幅の1つなんだなと思って見れるようになったかもしれないですね。

それは嬉しいです!

――こういう人なんだっていうよりは、こういう表現もできるようになったんだっていう風に感じられるというか。ここからの春奈るなは凄く面白そうですね。

面白くしていきたいですね!

――やりたいこととかあるんですか。やりたい事は今比較的自分が頑張ればどうにかなるじゃないですか。逆に言うと自分で頑張らないと何もできないかもしれませんが。

そうなんですよ! とにかく私今ライブがやりたくてしょうがなくて。ライブをやりつつ、今後はよりみんなと近いところで繋がっていきたいというか……ただ歌うだけじゃなくてありのままの自分を発信したいというか、やりたいことは溢れてますね。

撮影:大塚正明

――これはちょっとセンシティブな質問になっちゃうかもしれないんですけど、アニソンタイアップって普通に曲を出すよりもよっぽど難しいと僕らは思うんです。まずアニメがありきじゃないとアニソンにならないし、色々な会社や人たちが組み合わさって出来ている複雑な流れの中にアニソンって存在しているじゃないですか。

そうですね。

――フリーになるって凄く自由だけど、アニソンを歌う、ってことに対してのアプローチって実は結構簡単じゃなくなるのかなと。凄くアニメが好きでオタ活してて、アニソンシンガーとしての矜持を凄く持ってる春奈るなは、フリーになる事でそこのところをどう思ってるのかを聞いてみたいなと思ったんです。今のタイミングでしか聞けない気がしたんで。

そうですね……正直私もアニソンタイアップが欲しいし、CDを出したいです。それはもう一番に思っています。

――凄く変な話、もしタイアップが無いとしても、歌い続けたいって思いは強いままですか?

それは思います。でも、やっぱりアニソンありきというか。私はアニソンが歌いたくてアニソンアーティストになったので、曲が出せれば良いという話じゃなくて、アニメの世界観に沿ったものを、自分なりに解釈して、作詞したり、歌い方のニュアンスで表現したりして届けていきたいというのがあるので、凄く難しい話ではあると思うんですけど、アニソンを歌っていきたいですね。

――僕らもSPICEの中で今このアニメというジャンルを担当していますから、なんて難しいジャンルなんだろうって思うときがあります。アニソンシンガーって前に比べると減っている気がしていて。るな氏が“アニソンシンガー”でいるためにどう思ってるのかは聞きたいなと思ったんです。

とにかく私は自分にできることを自分らしくやっていくしかないのかなっていう気がしています。勿論アニソンを歌いたいですけど、そればっかり気にして活動するのもつまんないと思うんですよね。だから、とにかく私の中では立ち止まらずに進み続けなくてはっていう方が今は強いですね。時間を出来る限り無駄にしたくないというか。

――時間を無駄にしてしまうかもしれない、という焦りがあると。

もの凄くありますね。それが嫌だからフリーになったので。例えば痛バッグもそうだけど、自分の好きな事を発信したら、コラボの痛バッグを発売できる事になったりと、発信する事が、何かを引き寄せたりする。

撮影:大塚正明

――そうですね、痛バッグ発売はびっくりしました(笑)。

ですよね(笑)。そういうのって狙ってると逆に叶わなくて。それこそ『KERA』とかも中学生の頃に凄く出たくて、オーディションとか探してた時期があったんですよ。でも全然そのきっかけが掴めなくて、高校生になった時に街角でたまたま『KERA』のスナップの人に声をかけていただいて、それがきっかけで読者モデルとして出させていただくようになって。なんか狙い過ぎると意外と掴めないなっていうものも感じているんですよね。だから今は、少し力を抜いて、自分らしく発信しながら進み続けたいです。

――そう考えると今度のライブはその想いが凝縮されてるものになりそうですね。

ほんと来て~!(笑)とにかく音楽がやりたい!ライブがやりたい!って想いが爆発してるライブだと思うので、るな充の不安を拭いされるライブにできたらいいなと。

――春奈るなについて来い! って言うしかないですもんね、今は。

本当にそうなんですよ。ライブってそれこそみんなに直接言葉を伝えられるので、凄く良い機会というか、早く会いたいなって思いますね。今フリーにはなってますけど、それこそるな氏は変わらずにこれからもみんなと一緒にるな充していきたいなと思ってるので、不安になる必要なんてないです。これから先も変わらず応援していただけたら嬉しいです。

インタビュー・文=加東岳史 撮影=大塚正明

 

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