超能力戦士ドリアン、バックドロップシンデレラ、ビレッジマンズストア、irienchy、OKOJO、SULLIVAN's FUN CLUB出演『TOKYO CALLING 2022』1日目レポ
SULLIVAN's FUN CLUB
『TOKYO CALLING 2022』Day1
2022.9.17 新宿
“3 DAYS of PEACE, LOVE and MUSIC!!!!!!!!”のメッセージを掲げ、9月17日(土)、18日(日)、19日(月・祝)の3日間にわたって新宿、下北沢、渋谷それぞれ13会場で行なわれた日本最大級のサーキットフェス『TOKYO CALLING 2022』。
2016年に始まって以降、有観客での開催は6回目。昨年同様に検温や手指の消毒、キャパシティ制限を設けるなど、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえで、ライブハウス、ライブバンド、オーディエンスのための年1回の祭典が実施された。
台風14号の影響が心配されたものの、青空が覗ける時間も多く、夜まで天気が無事に持った初日・新宿エリアでのライブの模様を厳選してお届けする。
■超能力戦士ドリアン/at HOLIDAY
超能力戦士ドリアン
おーちくん(Vo)が巨大ゴリラの着ぐるみで現れた冒頭「ゴリラのドラミングーチョキパー」から“ウッ! ホッ! ウッ! ホッ!”のリズムでオーディエンスを惹き込み、推し活に余念がないオタク共感しまくりの「尊み秀吉天下統一」で熱いヘドバンを誘ったりと、やっさん(Gt)とけつぷり(Gt)のキャッチーなギタープレイや映像演出も駆使しながら、瞬く間にHOLIDAY SHINJUKUを自分たちの空気にしてみせた超能力戦士ドリアン。
超能力戦士ドリアン
超能力戦士ドリアン
別会場で間もなくバックドロップシンデレラが始まるというタイムテーブルに「ラスト2曲でお客さんが半分いなくなったらどうするん!?」と物申す一方、この日のために作ってきた新曲、もとい「天保山」の替え歌「TOKYO CALLING 2022」で、“T”“C”“2”の文字を全身で表現しつつ、6年連続出演となる『TOKYO CALLING』への愛もしっかり伝えた。
超能力戦士ドリアン
超能力戦士ドリアン
超能力戦士ドリアン
痛快な自己紹介ソング「いきものがかりと同じ編成」では、『TOKYO CALLING』主催者である“菅原さん”の顔を突如CGで登場させてバトルバージョンで聴かせるなど、カオティックな盛り上がりを生み出す。ラストはフロアを鮮やかなワイパーで満たした「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」。「いつか最終日の渋谷O-EASTに立てるバンドになりたい」と意気込む彼らだが、そんな願いも近い将来に叶えてしまうかもしれない。
01.ゴリラのドラミングーチョキパー
02.尊み秀吉天下統一
03.TOKYO CALLING 2022(天保山替え歌)
04.傘2
05.いきものがかりと同じ編成
06.焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね
■バックドロップシンデレラ/at BLAZE
バックドロップシンデレラ
超能力戦士ドリアンがその名を連呼していたバックドロップシンデレラは、『JUNE ROCK FESTIVAL』とのコラボステージとなった新宿BLAZEに登場。ヘヴィロックとハードコアとスカを掛け合わせた破壊力抜群の「亡霊とウンザウンザを踊る」に始まり、お祭りにふさわしい「フェスだして」の途中には盟友・打首獄門同好会「日本の米は世界一」のカバーまでさくっと披露するなど、持ち前の“ウンザウンザ”サウンドで超満員のオーディエンスを狂喜乱舞させる。
バックドロップシンデレラ
バックドロップシンデレラ
「もはや口を閉じてデカい声を出すことが今の世の中に対する最大の反抗だと思うようになりました!」と、豊島“ペリー来航”渉(Gt&Vo)がハミングのコール&レスポンスを求め、混迷の現状をぶった斬る新曲「HATEです」へ繋げる流れも見事。3日目は渋谷WWW Xでトリを務めるバンドなだけあってスキがない。
バックドロップシンデレラ
バックドロップシンデレラ
バックドロップシンデレラ
「『TOKYO CALLING』は僕らにとって唯一のホームのサーキットフェスです」と胸を張る渉。「ビレッジマンズストアのジャック(※10月でバンドを脱退)と同じステージに立てるのが最後かもしれないんです。みんなも出会えてよかったなって人がひとりでも多くありますように、いろんなところに足を運んでください。そんな気持ちで今日は思いっきり踊ってバトンを渡します」と、次のアクトを想うでんでけあゆみ(Vo)の言葉も熱く、後半は「さらば青春のパンク」などキラーチューンの畳みかけで特別な時間を作り上げてくれた。
【セットリスト】
01.亡霊とウンザウンザを踊る
02.フェスだして
03.HATEです
04.2020年はロックを聴かない
05.池袋でウンザウンザを踊る
06.月あかりウンザウンザを踊る
07.さらば青春のパンク
■ビレッジマンズストア/at BLAZE
ビレッジマンズストア
昨年に続きBLAZEのステージに登場したビレッジマンズストア。おなじみの赤いスーツで決めた“名古屋が生んだ暴れ馬”は、岩原洋平(Gt)の高速カッティングが唸る代表曲「夢の中ではない」、《明日がなんとか 未来はこうとか うるせえよ》とエネルギッシュに歌う新曲「TV MUSIC SHOW」と、バックドロップシンデレラのエールが大きかったのか、のっけから猛然とフルスロットルで飛ばす。
ビレッジマンズストア
ビレッジマンズストア
「今年はいつもどおりにやらせてもらいます!」と、白い羽根のマラボーを首に纏った水野ギイ(Vo)も気合十分。「ビレッジマンズ」ではスラップ奏法を交えたジャック(Ba)の低音がとりわけクールに映え、ゴキゲンなコーラスがあふれる「サーチライト」での一体感も泣けてくる。激しくもやさしい豪快なロックンロールが、感情の行き場がないオーディエンス全員を救ってくれているかのよう。
ビレッジマンズストア
ラストの「LOVE SONGS」までを爆音でロマンティックに駆け抜けた5人。「サーキットって移ろうものだけど、JUNE ROCKステージってほぼメンツが変わらないんだよ。それは全員が動かなかったからじゃなく、全員がちゃんと同じだけ前に進んだから。10月にうちのベースが辞めます。もしかしたら後退なのかもしれない。でも、来年もここに出たい。前に進みたいと思ってんだ!」と想いを示した水野のMCも忘れられない。
【セットリスト】
01.夢の中ではない
02.TV MUSIC SHOW
03.ビレッジマンズ
04.サーチライト
05.ロマンティックに火をつけて
06.LOVE SONGS
■irienchy/at Motion
irienchy
夕刻の新宿Motionをホットに彩ったのは、2020年に結成された4人組のirienchy。アンプの上に置かれた“入江”の表札も目を惹く中、今年4月の全国デビュー時に作った決意の曲「メイビー」でライブをスタートさせ、宮原颯(Vo&Gt)の親しみやすい歌声を軸とする芯の強いバンドサウンドが場内を温かく満たしていった。
irienchy
irienchy
笑顔が弾け楽しそうに演奏する4人の姿を観ていると、冴えない自分さえも肯定してくれる、弱い人に寄り添ってくれる、そんな魅力を宿した彼らの曲の本質が改めて浮かび上がり、irienchyにしかできない光の見い出し方があることを実感させられる。
irienchy
irienchy
irienchy
「夢があるとかないとか、そんなのどうでもいい。どうやって生きるかはお前が決めろ!」と宮原が叫んで切り込んだ「ドリームキラー」以降はよりアグレッシブに突き抜け、諒孟(Gt&Cho)のディストーションが唸ったり背面弾きが飛び出したり、井口裕馬(Ba&Cho)と本多響平(Dr&Cho)のビートがタフにテンポアップ。「愛をこれからも歌い続けます」と前置きして届けられた「スーパーヒーロー」も、己の信念を曲げない凛とした気概が胸を打つ。最後はオーディエンス一人ひとりを指さし歌った、未発表の新曲「バイバイ」で大いに躍動。明るい曲調でフロアを熱狂させ、自身初の『TOKYO CALLING』をハッピーなムードで締め括った。
【セットリスト】
01.メイビー
02.ずっと(未発表曲)
03.ドリームキラー
04.スーパーヒーロー
05.バイバイ(未発表曲)
■OKOJO/at HOLIDAY
OKOJO
最新曲の爽やかなサマーチューン「レモンサワー」が始まると、フロアから早くも手拍子が沸き起こる。そんなふうに曲の純粋なパワーでHOLIDAY SHINJUKUに集まったお客さんをグイグイと惹き付けていったのは、大阪発の3ピースバンドであるOKOJO。「鍋奉行」では、息の合ったコーラスや華麗なスラップベース、同期の音が巧みに織り交ぜられ、「サイチェン・マイフォーチュン」では、オリエンタルな雰囲気を醸し出すギターフレーズが際立つなど、どの曲もカラフルでポップな印象を残す。
OKOJO
OKOJO
「改めまして、大阪から来ましたOKOJOです。よろしくお願いします!」というまつした(Vo&Ba)の挨拶に続いては、その方言を歌詞に惜しみなく使った「ええんやけど」を披露。後悔の感情が痛いほどに滲む、やるせなく切なすぎる失恋ソングも素晴らしいクオリティで、ついついどっぷり聴き入ってしまう。
OKOJO
MCになると、照れくさそうにそそくさとグッズ紹介やツアー告知をするメンバー。「遮二無二に恋しない」で《もう遮二無二に君に恋しないよ だけどそばにいて》と歌うような不器用で愛らしい人間性が、そのあたりからも垣間見られた気がした。ラストの「最低なラブソング」まで、ナイーブな感性と豊かな着眼点は輝きっぱなし。この甘酸っぱい音楽性が、今後どんな進化を遂げていくのか楽しみだ。
【セットリスト】
01.レモンサワー
02.鍋奉行
03.サイチェン・マイフォーチュン
04.ええんやけど
05.遮二無二に恋しない
06.最低なラブソング
■SULLIVAN's FUN CLUB/at Marble
SULLIVAN's FUN CLUB
新宿Marbleのコラボステージには、同ライブハウスの店長が“もっと多くの人に注目されるべき”と考える選りすぐりのロックバンドが出演。そのトリを飾った北海道・札幌発のSULLIVAN's FUN CLUBは、期待以上の圧倒的な歌とサウンドで集まった観客の度肝を抜いてくれた。
SULLIVAN's FUN CLUB
SULLIVAN's FUN CLUB
勢い余っていきなりマイクスタンドを倒したヨシダレオ(Vo&Gt)をはじめ、ヨシダカズマ(Gt)とハセガワペイ(Ba)のフロント3人がステージ前方に身を乗り出してギラギラと暴れ狂うのを、タダカズキ(Dr)がシャープなビートで後方から強固に支えるという、初期衝動をこれでもかと大爆発させた地鳴りのようなパフォーマンスは最高でしかなく、フロアもすぐさま歓喜の拳を振り上げる。「IMADA MINU SEIGI」になれば、バンドもオーディエンスもさらにヒートアップ! 安心して身を任せたくなるぶっちぎりのロックスター感が本当に頼もしい。
SULLIVAN's FUN CLUB
SULLIVAN's FUN CLUB
ポップな色合いも放ちながら《君とデートしたい》とシャウトしまくる「DATE DATE DATE」、超速BPMでパンキッシュに掻き鳴らした新曲「2000」を経て、「いろんなバンドが出てるけど、結局ここにいるあなたたちがいちばん勝ちだよ!」と感謝を告げたレオ。そのあともサリバンは、青春時代の甘酸っぱい恋を熱い疾走感で蘇らせる「ときめき」など、アンコールの「FAST LIFE SONG」までを閃光の如く駆け抜け、終演後のMarbleに「ヤバすぎた……」という声をあふれさせたのだった。もっともっとたくさんの音楽ファンに彼らの存在を知ってもらえたらと願う。
【セットリスト】
01.DOOR
02.IMADA MINU SEIGI
03.DATE DATE DATE
04.2000(新曲)
05.ときめき
06.火花
<ENCORE>
07.FAST LIFE SONG
取材・文=田山雄士
撮影=Ryohey(超能力戦士ドリアン、OKOJO)
中山優瞳(バックドロップシンデレラ、ビレッジマンズストア)
TAMA(irienchy、SULLIVAN's FUN CLUB)
関連リンク
■バックドロップシンデレラ http://backdropc.com/
■ビレッジマンズストア https://villagemansstore.com/
■irienchy https://www.irienchy.com/
■OKOJO https://okojoband.wixsite.com/okojo
■SULLIVAN's FUN CLUB https://sullivansfunclub.themedia.jp/