『王様と私』僧侶役でオーストリア屈指の人気音楽祭に出演~テノール歌手・高島健一郎がメルビッシュ湖上音楽祭を振り返る

2022.9.28
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クラシック

メルビッシュ湖上音楽祭の会場は、ハンガリーとの国境地帯に広がるノイジードル湖畔にあり、ハンガリーとの国境線も目と鼻の先にある。湖は、中央ヨーロッパで二番目に大きいステップ湖(内陸湖、流入する河川はあるが、流れ出る河川の無い湖)で、湖水面積は 315平方キロメートルなので琵琶湖の半分くらい。ウィーンからは、国立歌劇場の横から出発するツアーバスで、1時間半ほどで会場まで到着できる、手近なリゾート地と言える場所である。

筆者が訪れた8月11日の公演日には、ツアーバスはざまざまなツアー会社のものが10台ほど来ていたが、これで本当に6000人も来るのか?と思っているうちに、自家用車が続々と駐車場を埋め尽くした。開演が近づくころには会場前のレストランは、メルビッシュ・ワインのグラスを片手に、おしゃれをした老若男女や家族連れでいっぱいとなり、ワインと食事を終えた人々からつぎつぎとアンフィシアター形態の野外劇場に吸い込まれていった。長いヴァカンスの一日をこの音楽祭で楽しむことに決めている、ウィーンっ子やハンガリー・ドイツの人々がたくさんいることが想像できる層の厚さであった。中に入ると、客席では、豪華な仏塔や王宮のセットを背景に記念写真を思い思いに撮影し、心から夏季休暇を楽しんでいる人々が満ち溢れていた。コロナ禍ではあるが、マスクをしている人はほぼなく、座席の規制や注意事項もない。

20時に開幕し、舞台の奥にヒロインの乗った船が登場すると、観客はもう『王様と私』の世界に入り込んで、魅了されていた。

22時30分に終演し夢から醒めると、多くの客はリゾートホテルや民宿などに自家用車で散っていくのだが、筆者のようなウィーン泊のツアー客は23時すぎにバスに乗りこみ、ウィーン国立歌劇場の真横に午前1時に到着するという、リゾート感とは程遠い行程となってしまうのは、致し方ないが残念なところだ。一度メルビッシュ・アム・ゼーのホテルで宿泊して、地場ワインを飲みながら、ゆっくりと滞在したいものである。

最後に王様役Kok-Hwa Lieから、SPICEのためにコメントをいただいた。

Kok-Hwa Lieコメント

この舞台で演じる事が出来て、私がどれほど恵まれていると感じているかは言葉では言い表せません。全てのスタッフと共演者に感謝の意を表します。私たちのチームは、きっとまたどこかで再会するでしょう。

文責:神山薫

キャストプロフィール

Kok-Hwa Lie / 王様役
アムステルダムで生まれた俳優コック-ファ・リーはここ15年間の間にイギリスのロンドン、オランダのアムステルダムでミュージカルの主要な役を演じてきた。舞台活動と同時に映画やテレビの俳優としても活躍している。ミュージカルの主要なレパートリーは「王様と私」王様役、「ミス・サイゴン」トゥイ役、「マンマ・ミーア!」エディ役、「アイーダ」メレブ役など。
 
高島健一郎 / 僧侶役
東京藝術大学声楽科卒業後、同大学海外留学支援奨学生としてウィーンへ留学。  
ウィーン市立音楽芸術大学オペレッタ科在学中の2018年バートイシュル・レハール音楽祭にてオペレッタ 微笑みの国 / フー・リー役にてデビューし、2018/2019シーズンからルッケンヴァルデ市立劇場、ゾーリンゲン市立劇場、レックリングハウゼン祝祭劇場等ドイツ各地の劇場でジプシー男爵タイトルロール / バリンカイ役、伯爵令嬢マリツァ / タシロ役等オペレッタの主役を務めドイツ各地の新聞で好評を得る。
舞台活動の出来ないコロナ禍ではJAM MUSIC LAB音楽大学ジャズヴォーカル科修士課程にてジャズヴォーカルも学び、2022年夏にはヨーロッパ最大規模の野外フェスティバル・メルビッシュ湖上音楽祭にソリストとしてデビュー。
2022年春より日本でも活動を開始。オール・シューマン・プログラムの初リサイタルを東京オペラシティ・リサイタルホールで成功させ、2022年秋のコンサートは発売開始5分で完売するなど現在最も注目を集めるクラシック系男声歌手の一人。
YouTubeチャンネル「Vocalist Ken Takashima」も開設し、ジャンルを問わず様々な歌を公開中。  アーティストビザを取得しウィーン在住。
 
今井テリエン美範 / 第一夫人チャン王妃役(カバー)
2001年名古屋芸術大学声楽科ミュージカルコースに入学、その後2002年に劇団四季に合格し同年の劇団四季劇場「海」の柿落とし作品「マンマミーア」でオリジナルキャストとして初舞台を踏む。その後「ライオンキング」のナラ役で東京と名古屋の舞台に出演。「アイーダ」では大阪や京都の舞台にネヘブカ役で出演し、名古屋では念願のタイトルロール=アイーダ役出演し、故郷に錦を飾った。そして「ウィキッド」では東京の舞台でエルファバ役を演じる。 他にも「55steps」というソングアンドダンス作品に出演、メインボーカルを務めた。 劇団四季を退団後、アメリカ人と結婚をしドイツに渡独。 ドイツでの初舞台「ウィキッド」のファニー役を務める。その後2012年から2013年の間ドイツとオーストリアを回るツアー「キャッツ」にグリザベラ役、ディミータ役などで出演。 その後コーミシェオーパ(ドイツのベルリンにあるオペラ座)では「ウエストサイド物語」でアニタ役を演じる。その他オランダで開催された万博で歌手として出演。現在も多くのイベントや舞台にゲストシンガーとして出演している。 2022年にメルビッシュ湖上音楽祭で上演された「王様と私」に出演、カバーで王様の第一夫人チャン王妃を演じる。
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