BAND-MAID、総動員2万人超えの全米ツアーも軒並みSOLD OUT いま最も海外で人気のあるガールズバンドの現在地に1万字超で迫る
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BAND-MAID
メイドの見た目とは相反するハードなロックサウンドで、いま最も海外で人気のあるガールズバンドBAND-MAID。9月21日にリリースされるEP『Unleash』を携えた10月からの全13公演からなる総動員20,000人超えという全米ツアーは軒並みSOLD OUTを記録、来年1月に控える結成10周年を記念した東京ガーデンシアターでの最大規模の国内ワンマンへ向けて勢いは増すばかりだ。そんな彼女らに現在地に約1万文字のロングインタビューで迫る。
――いきなり変なことから聞きますが……。
KANAMI:ええ!?
――(笑)。これまでの活動でバンドの危機ってありましたか?
小鳩ミク:精神的に苦しかったのは、結成から2年目まででしたっぽね。
SAIKI:「Thrill」が話題になるまでですね。
小鳩:あとで知ったんですけどっぽ、「Thrill」のMVを撮って少ししたら解散する話がスタッフ間で出ていたっていう。精神的にはこの時期が一番モヤモヤしてたし、キツかったですっぽね。音楽的にもどこへ向かったらいいかわからないし、<世界征服>とは言ってみたもののどこを目指せばいいのかわからなくなっていて。
SAIKI:「どうしたらみんなに刺さるんだろう?」ってずっと探ってました。
MISA:初めてのワンマンお給仕(ライブの呼称)が渋谷Milkywayであったんですけど、私は、その前に続けるかどうしようかって迷いもあって。
――それはどうやって乗り越えたんですか?
MISA:当時のマネージャーが「一回ワンマンをやってみて、ステージからの景色を見てから決めない?」って言ってくださって、それで実際にステージに立ってみたら「やっぱり楽しい……!」って。
小鳩:「Thrill」のMVが海外でよく観られるようになったのもその頃だったので、そこからはそういうネガティブな話が全部流れていって、海外も盛り上がってきて、自分たちの方向性も定まって、そこから扉が開いていきましたっぽ。
――僕がみなさんからお話を聞くようになったのは6年前ぐらいからなんですけど、そのときからバンドが停滞している場面を見たことがないんですよね。だから、「バンドの危機ってあったのかな?」と。
SAIKI:そう感じていただけててよかった(笑)。止まりたくない、突き進みたいっていうのは当時からみんなのなかにあったので、そのへんはシビアに意識してやってましたね。
――でも、ただがむしゃらにやればいいってものでもないじゃないですか。ライブの数だけ多くても「何がやりたいんだろう、このバンド」ってなっちゃうし。でも、BAND-MAIDはがむしゃらに動きながらも着実にステップアップしていて、その時々で最高の自分たちを見せ続けているんですよね。
SAIKI:最初の頃は、みんなわかってるけど言葉にしないっていうことが多かったので、意識的にみんなで話す機会を増やしたり、「これはどう思う?」ってディスカッションするようにもなったので、その頃から「BAND-MAIDはこうしていこうね」って5人の間だけでも意識の統一ができていたのがブレないことにつながったのかなと思います。
――でも、バンドが続くことってちょっとした奇跡じゃないですか。
SAIKI:そうなんですよ!
小鳩:仲がいいから成立しているんだと思いますっぽ。全員性格が全然違うのに仲がいいってあまりないと思うんですっぽ。
SAIKI:みんな個性的でそれぞれが何かに特化しているので、そういうところでもお互いにリスペクトできるし、それはほかのバンドさんにはないBAND-MAIDのいいところだと思います。
KANAMI:役割分担できてるよねぇ。
SAIKI:あと、5人に共通するのが飽きやすいっていうところで、同じことをずっとやれないんですよ。だから、「コレもやりたい! アレもやりたい!」っていう貪欲さもこのスピード感に表れていると思いますね。
AKANE:年々シンプルに成長してるっていうのもあるよね。
小鳩:そもそも最初は自分たちで曲をつくってなくて、最初の目標が自分たちで曲を全部つくることで、それが叶うと今度は「自分たちでつくったはいいけどお給仕で披露するには技術が足りない!」ってなって、常に自分たちで新しい目標を立ててやってきたから、それも止まってない理由のひとつなのかなって思いますっぽ。
KANAMI:あのままずっと楽曲提供される形を続けていたら、今のBAND-MAIDとは全く違っていただろうね。
小鳩:提供のままだったらそもそも続いてなかったと思いますっぽね。自分たちで曲を書くようになってからさらに加速していったのはあると思いますっぽ。
――今もまだ成長を続けていますもんね。まだ登るべき階段が見えるというか。
SAIKI:まだまだまだまだ、あると思います。なんせ<世界征服>っていう大きい目標を掲げちゃってるんで(笑)。
――たしかに(笑)。それにしても、今回の作品『Unleash』は凄まじい濃さですね。これまで何回も思ってきたけど、今回もまた頂点に到達した感があるというか。
SAIKI:ありがとうございます。一曲一曲のカラーが濃いですもんね。
小鳩ミク
小鳩ミク
――5人のキャラクターが音から明確に見えてくる作品だと思いました。ベーシックなところからいうと、機材が変わったとか?
小鳩:コロナ禍で機材をグレードアップして、お給仕はもちろん、お家での録音環境が改善されましたね。レコーディングはこれまでと一緒なんですけど。
――あ、そうなんですね。でも、音がやたらとよくないですか?
SAIKI:今回、録り音がよくて。季節のおかげもあると思うんですけど。
――季節?
小鳩:「HATE?」は最初のほうに録ったんですけど、後半に録った曲とちょっと音の質感が違ってるんですっぽ。後半に録った曲、「Unleash!!!!!」とか「influencer」のほうが録り音がすごくよくて。
KANAMI:機材は一緒なんですけど。
――では、BAND-MAIDにとってレコーディングに最も適した季節はいつなんですか?
小鳩:5月だと思いますっぽ。
SAIKI:うん、春。花粉症があるので私は嫌なんですけど。でも、今回録ってみてそう思いました。
――音の粒立ちがいいです。
小鳩:ミックスも試行錯誤してもらって。今回は新しい感じも入れたいということでそれぞれの音を変化させたりもしたので、みんな成長してますっぽ。
KANAMI:あと、メンタルがよかった。前回はメンタルがすっごくヤバくて。
小鳩:バッタバタだったっぽね。
MISA:はい!(と手を挙げる)
小鳩:はい、どうぞ。
MISA:ベースは機材が違う。
小鳩:ああ、そうだっぽね!
MISA:これまではオレンジ(アンプメーカー)のキャビ(キャビネット。スピーカーのこと)を使ってて、今回も「from now on」で使ってるんですけど、ほかはレコーディングスタジオにあったアンペグ(アンプメーカー)を使いました。あとは音作りとかのディレクションも自分でするようになって。
――おお、そうなんですね。
MISA:これまではアンプで歪ませてたのをサンズ(サンズアンプ。ベース用の歪み系エフェクター)を使うようになったことで低域が出るようになったので、それで音の分離がよくなったところはあります。
――たしかに、自宅にあるショボいスピーカーで聴いてもちゃんとフレーズが前に出てきてました。
AKANE:私はお給仕でもスタジオでも音をもっと鳴らせるようになりました。スタジオのエンジニアさんやライブのPAさんからも、「(音が)聞こえるようになった」って言われるようになって。
――それはテクニック的な意味で?
AKANE:はい。テクニック、フォーム、力まないという意味での脱力をコロナ禍で学びました。あと、今回はレコーディング前にめちゃめちゃ練習できたことも大きいと思います。
――しっかり時間をかけて録るというのが大事ですよね。
SAIKI:それが発覚しちゃいましたねえ(笑)。本来そうあるべきだと思うんですけど(笑)。
小鳩:これまでは時間がなさすぎるときにアルバムをつくっちゃってたっていうことですっぽね。
SAIKI:あと、経験を積んだことでお給仕とレコーディングの切り替えが前よりも上手くできるようになったんです。前までは頭がごちゃごちゃのまま、お給仕した頭のままでレコーディングしてたので。
小鳩:ツアーの次の日にレコーディングとか。
AKANE:パンクするよね。
――ライブの次の日なんて耳は普通の状態じゃないですからね。
小鳩:そうですっぽそうですっぽ。
KANAMI:ツアーしながら作曲しながらレコーディングっていうのが一番辛かった。
小鳩:あれは一番キツかったっぽね。
――それがBAND-MAIDの日常でしたよね。
KANAMI:そういうものだと思ってた。
小鳩:でも、人に聞いてみたら「そんなバンドいないよ?」って言われて(笑)。
MISA:お給仕の楽屋でレコーディングの練習してました(笑)。辛かった(笑)。
小鳩:してたっぽ! してたっぽ! 小鳩は楽屋で歌詞書いてたっぽ!(笑)
――ええ~!?
小鳩:でも、それが日常だったからこそ、余裕があるときにもっと詰めることができたというか、ああいう経験がなかったら今みたいにはできてなかったと思いますっぽね。
SAIKI:最近はいろんなことを試した上でレコーディングに臨めるようになったのがいいですね。