大竹しのぶ主演 舞台『女の一生』開幕 「前向きなけいがとても素敵。10代の場面は作りこまず、自然に演じます」
(左から)風間杜夫、高橋克実、大竹しのぶ、段田安則
2022年10月18日(火)新橋演舞場で舞台『女の一生』が開幕する。このたび初日前会見が行われ、大竹しのぶ、高橋克実、段田安則、風間杜夫が登壇した。
『女の一生』は、昭和20年(194)5年に森本薫が文学座に書き下ろした作品。明治38(1905)年から昭和20(1945)年までを綴り、孤独な少女だった布引けいが、拾われた家の長男の妻となって家業を守る40年間を描いている。杉村春子が初演し、生涯947回にわたって主人公の布引けいを演じ観客の圧倒的な支持を得た。
2020年に段田の演出で、杉村の当たり役・布引けいを大竹が演じ、魂を込めた圧倒的な演技で多くの観客の心を打った。今回は待望の再演となり、引き続き主演は大竹が務める。
再演にあたり、前回と比べて変化が出ている部分は? との質問に対し、大竹は「前回は稽古場に短時間しかいられなかったので、自分の場面が終わったらすぐに帰る、お菓子休憩もなしという状況でした。今回は、少しだけみんなとコミュニケーションをとる時間が持てるようになり、人と話す何気ない時間がどれほど大切なのか、そしてそれが明日に繋がっていくんだと実感しています」と語った。
大竹しのぶ
演出を手掛ける段田は「演出面は、基本的に2年前とほぼ変わっておりませんが、長女、次女、けいの娘を演じる方が変わりましたので、新たな一面が見れると思います。そして高橋克実が2年前より腕をあげました。今回ぜひご注目いただけたらと思います」とコメントし、笑いを誘った。
段田安則
劇中で大竹は、10代を演じる場面があるが、役作りで注意したことや参考にした人はいるか質問されると「参考にするという点では、若い時に健気な女の子の役が多かったので、思い出したりすることはありました。でもあまり作りこまず演じようと思います。遠目で見てください」と笑顔を見せた。
『女の一生』で役を演じるにあたって、自身の人生を振り返ることがあるかという質問に対して、風間は「これまで芝居一筋でやってきて73 歳になりました。叔父の役を通して思うことは、布引けいが鉄の女になっていく姿に、ある種の恋心のような感情で応援している部分があるところ。力強く生きていく周りの人たちを見て思いを馳せたり、自分と重ね合わせたりすることもあります」と語った。
風間杜夫
高橋は「流れに流されてここまで俳優としてやってきておりますが(笑)『女の一生』はひとつひとつが本当にいい台詞なので、大竹さんの台詞を聞きながら自分も力が湧いてきたりします。自分はまだまだこれからやっていくんだと思えるようなお芝居ですし、生きていく上でもプラスになっていると感じます」とコメント。
高橋克実
大竹が「一番好きな台詞は『私の一生はこれからだと思う。新しい歴史の中に私も入っていくんだ。』でして、前向きなけいがとても素敵だなと思います。前を向きながら進むことが人生だと思うので、振り返る暇もないという思いで楽しく生きています」とする一方で、段田は「私は逆に過去を振り返ってばかりです。若い頃は将来こうなりたいと思うことがありましたが、年を取ると先のことを考えず過去のことばかり振り返っております。22歳の頃に上京して芝居を始め、この上なくラッキーなことだと思います。とても幸せです」と語った。
演出家としての段田について、大竹は「役者としての共演が多かったが、細かく演出してくれるので楽しい。ダメ出しをきいていると勉強になることが多く、何より諦めないところが良い」と信頼を寄せた。
舞台『女の一生』は、新橋演舞場にて10月23日(日)まで上演。その後10月27日(木)より京都四條南座、11月18日(金)より博多座にて上演される。