過去最高のBLUE ENCOUNT 「ブルエン史上、最も壮大で強靭な音楽」が完成 6年半ぶりの武道館へ向かう今、その想いを訊く
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BLUE ENCOUNT
――“新訳”って言葉が出ましたが、しっかり田邊くんの言葉で書けてるから人柄も見えるし、辻村くんが言ったみたいに、ブルエンの物語として聴くことも出来るんですよね。今回、カップリングに「青」が入ってるのが大きくて。「青」はタイトル通り、ブルエンの物語になっていますが。「青」の<僕たちは『生きる』を重ねる>って歌詞と、「Z.E.R.O」の<どうかあなたは生き続けて>って歌詞とか、共通項が多くて。いま歌いたいことの根本が一緒なんだろうなと思いました。
田邊:確かに強さが一緒だけど、弱さも似てるというか。
――うん、その強さも弱さもあるのが人間だと思うし。そこから田邊くんの人間味も見えてくるし、それがアニメのタイアップから見えてきたのが凄いなって。
田邊:お~、嬉しいですね。今年、最初に「青」を出してることで、いまはブルエンとしての気持ちで隠すものがないんですよね。「青」を「名刺代わりの曲です」ってよく言ってるんですけど、本当にいまのブルエンを表してる曲が「青」で。これが書けたことで、その後の曲たちも制作意欲が増したというのはありますね。<そうだ 青に染まれ>って頭の歌詞が最初からあって、「いま、青って使わなくていつ使う?」くらいの気持ちで作れた曲だったんですが。「一つひとつの言葉を大事に作らなきゃ」と思って、時間かけて歌詞も書いて……あれはちょうどDa-iCEと対バンの日で、入り前に立川の商業施設の隅っこのベンチでMacBookを叩いてましたね。
――あはは。「Z.E.R.O」のサビといい、浮かんだ瞬間の風景は覚えてるもんなんですね(笑)。
田邊:歌詞は「自分って何だろう? この4人ってなんだろう? これを聴いてくれる、その先にいる人ってなんだろう?」ってずっと考えながら、書いては消してを繰り返して。「聴く人全ての主題歌になれ!」と思って書きました。今伝えたいメッセージでもあるし、ブルエンのこれからのメッセージでもあるし、普遍的に大事にしていきたい青い部分も描けたし。青って綺麗な青でもあるし、青二才なんて言葉で使われたりもしますけど、ピュアな部分もカッコ悪い部分も含めて、青を背負っていかなきゃいけないのかなと思ったし。これからもオモロいことはオモロい、やってみたいことはやってみたいって素直に言える4人でありたいってマインドで作ったら、色んなものが見えてきたんです。歌詞が上がった時、高村も「良い歌詞だね」って連絡をくれて。
高村佳秀
――なんだ、高村くんが褒めるのは珍しくないんじゃん。
高村:いや、本当に良いと思ったから、褒めたんです(笑)。
田邊:ずっと一緒にやってると、なかなかそういうことをしなくなってくるから、大事ですよ(笑)。この曲は歌えば歌うほど、自分が整っていくというか。不安定な時もこの曲歌えば、解決するかもって感じがあって。
――なにかあった時、ここに戻ってこれる曲、まさにゼロ地点的な曲ですよね。俺、武道館で「Z.E.R.O」聴いたら泣いちゃうな。
田邊:僕もどういう気持ちになるか分からないです。でも、そういう大事な日に歌うのをを想定して作ったところもあったし、聴く人にとって大事な日の決定打になればいいなと思って。ライブの空間で、みんなとこの曲を分かち合うという良いイメージのまま、希望だけを持って作り進められたし。実際、久々にお客さんとバンドを繋ぐ大事な曲になってくれていて、ライブでは早くも「もっと光を」とか「HANDS」とかの位置に来てくれる曲になってます。
――辻村くんはこのタイミングで出来た「青」には、特別な想いもあるんじゃないですか?
辻村:歌詞を見た時、恥ずかしいなと思いつつ(笑)。僕たち、以前は「4人で同じ方向を向いてなきゃいけない」って、枠にとらわれた時期もあって、よく喧嘩もしてたんですけど。いまは「違う方向を向いてても、この4人が揃えばブルエンなんだ」ってことを理解し合った上で、各々の色を混ぜ合わせての「青」なので。良いところも悪いところも分かってる同士が、大人になって以前とも違った関係性を築きながら、いつまでも少年でいれる4人で作れた曲が「青」だと思ってて。変に考えすぎて大人っぽく作った曲じゃなくて、衝動的でわがままで気まぐれかも知れないけど、それぞれがやりたいことをやれて、この曲が出来たのがすごく良かったですね。
――衝動的な「青」が出来た後、しっかり作り込んだ「Z.E.R.O」が作れてるのも凄いし。青に染まった後、零になって壊すってのも、新たな始まりというか、初期衝動的な感じがあってすごく良いです。
辻村:コロナ禍でモッシュやダイブも禁止になって、バンドの意志が弱くなってるところがあって。いまは「俺たちはこれをやるんだ」って、胸を張って明言出来るバンドが少ないと思うんですけど。だからこそ俺らは「青」ってところで、自分たちの意志を放ちたいと思った、お客さんはそこを理解して、支持してくれると思います。
――そうか、分かった! 俺、今作を聴いて一番嬉しかったのは、いつまでも続くコロナ禍にやきもきしてる中、ブルエンが「ゼロからもう一度始めよう」って高らかに宣言してくれたからだ。
辻村:だと嬉しいですね。そういったところで、それぞれの人生とバンドの人生が重なったりするから、バンドに惹かれるところはあると思うんで。「いま俺たちはこれがやりたいんだ!」っていうのをもっと見せたいし、理解してもらえたらいいなと思ってます。
辻村勇太
――そして、そんな自信満々の新作を掲げて、現在は全国ツアーの真っ最中です。
田邊:いま数カ所終えて、めちゃくちゃ手応え感じてますね。来てくれる人には「安心していいよ!」と自信持ってって言えるくらい、1曲目からラストまでしっかりしたものが出来てるし。過去イチいいんじゃないか?と思うくらい仕上がっています。辻村が言ってたみたいに、以前は「4人が同じ方向を向いていなきゃいけない」って義務感がどこかあって、それがだんだん疑問になって、それぞれに「ブルエンって何?」って気持ちが生まれてたんですが。今年の頭ぐらいから、「俺たちってそうじゃねよな?」って。「元々、全然違うジャンルを聴いて育った4人が集まって、それがいまのブルエンの音楽を奏でているのに、なぜか「ブルエンであらなきゃいけない」っていうのが足かせになってるよね?」って話になって。
――うわぁ、長く続けてきたからの苦悩ですね。
田邊:そうですね。そこで、メジャー1年生、2年生のときは「ブルエンであること」が原動力で動いてたってところもあったけど。いまは何を原動力に動いたらいいのか? って考えた時、「1人1人が気持ちいいところを、その日のライブでやろう。それが4人集まった時、BLUE ENCOUNTになるから大丈夫」って。「それがブルエンだし、それが俺たちのやりたいことだから」って気持ちを切り替えたら、自分たちの中でもめちゃめちゃ楽しいものが出来るようになったし、色んな方たちから「ブルエン、すごくいいね」って言ってもらえるようになって。今回もホールツアーなんだけど、「ライブやってる」って感じが凄いんですよ。ライブを通して1日を噛み締めて、めちゃめちゃ楽しもうって感覚で出来てるから、来てくれる人たちも、その熱量を楽しんでくれてるんじゃないかと思います。
――最高ですね。その感覚で武道館をやれたら、6年半前の武道館とは全然違ったものが見せられそうですね。
田邊:全然違うと思います。あの頃の俺たちが見たら、「あ~、いまの俺たち恥ずかしい!」と思うぐらいのヤツを見せてやろうと思ってます。いま、ツアーで昔の曲たちをふんだんにやってるんですけど、その解釈も変わってて。アルバムの1曲だった曲が、もはや主役になりそうな雰囲気を醸し出していたりして。昔は“ブルエンらしさ”にこだわって、ライブでやらない曲もあったんですけど。いまはどんな曲でもそれぞれの“楽しい”に当てはめて放つことが出来てるんで、どんな曲でもやれる気がするし。武道館は特別なセトリでやろうと考えてるので、楽しみにして下さい。
取材・文=フジジュン 撮影=大塚秀美
BLUE ENCOUNT
リリース情報
11月9日(水)リリース
1.Z.E.R.O.
2.青
3.Z.E.R.O. -Instrumental-
4.Z.E.R.O. -TV size-
1.Z.E.R.O. (Music Video)
2.「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」ノンクレジットEDムービー
ツアー情報
2022年11月10日(木) LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
2022年12月15日(木) オリックス劇場(振替公演)
2022年12月16日(金) 県民ホール レクザムホール小ホール(振替公演)
2023年2月11日(土) 日本武道館