『BLEACH 千年血戦篇』とSennaRinの邂逅 新曲「最果て」に込めた思いを語る
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SennaRin
10月にスタートしたTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』のエンディングテーマで、その名前の通りに凛とした迫力ある歌声を響かせている注目の女性シンガー。SennaRinの新曲「最果て」は、半年前のデビューEP『Dignified』に引き続き澤野弘之プロデュースで、刺激的なダンストラックと精神世界を描く歌詞、エモーショナルなボーカルが絡み合う強力な楽曲に仕上がった。高校時代からYouTubeで発表し続けたカバー動画が爆発的人気を呼び、デビュー後も作詞、歌、ジャケットのアートワークなどを手掛ける才女・SennaRinとは一体何者か? その巨大なポテンシャルがいよいよ露わになる、SPICE初登場インタビュー。
――デビューEPを出したのが4月で、6月にはいきなりサウジアラビアのフェスに出て、7月には国立競技場で歌い、8月にはカナダのアニメフェスに出演して、10月には初ワンマンを成功させる。半年間のスピード感と濃厚さがとんでもないなという印象ですけど、自身ではどんなふうに感じていますか。
早いか遅いかはわからないですけど、振り返ると本当にいろんなことをさせていただいたなと思います。人前で歌うことに緊張しなくなったか?と言われると、今でも緊張しますし、毎回本当にできるのかなと思いながら、一つ一つ全力でやっている感じです。
――いきなりサウジアラビアやカナダに行くのは、驚いたんじゃないですか。
さすがにというか、普通に驚きました(笑)。SennaRin from SawanoHiroyuki[nZk]名義ではあったのですが、サウジアラビアが初ワンマンで、人前で歌ったのは4回目くらいだったので。それまでは3曲くらいしか歌ったことがなかったのに、サウジアラビアでは16曲も歌わせていただいたのです。そんなに長く歌うのも初めてでしたし、出発する2,3週間の間に10曲くらい覚えていったので、大丈夫かな?という感じはありました。どんな国かもわからないし、どうなるのだろうと思っていました。
――MCはどうしたんですか。
英語と時々アラビア語も交えながらMCをしました。みなさん日本のアニメが好きな方々なので、「ありがとう」と言っても通じました。本当に盛り上がりがすごくて、最後まで楽しく歌わせていただきました。
――日本のアニメが人気だということは知ってましたけど、そこまで浸透しているとは驚きです。
とてもいい国で、みなさん幸せそうでした。女性は露出をしてはいけない文化だったのですが、私の青い髪も、格好も、全部が珍しいみたいで、道を歩くたびに話しかけられて、「そのヘアー、どこでやったの?」って英語で聞かれたり、厚底の靴を見て「ユア・シューズ、グッド!」とか言われたりしました。初めて「SennaRin?」って声を掛けられたのがサウジアラビアだったんですよ。どう反応していいかわからなくて、「サ、サンキュー!」って(笑)。うれしかったです。
――それは、めったにない面白い体験をしましたね。はまた雰囲気が違いましたか。
全然違いました。カナダのフェスは、いわゆるオタクと呼ばれる方がたくさんいらっしゃるイベントでした。私は日本でそういったイベントに出たことがなかったので、初のオタ芸をカナダで体験しました(笑)。ペンライトを持って、ウォー!って。
――そういう体験をしていたら、10月の日本での初ワンマンなんてもう、お茶の子さいさいでしょう。楽勝だったんじゃないですか。
全然楽勝じゃなかったです…!サウジアラビアとカナダは、わけもわからない緊張感があったんですけど、それとは違う緊張があって、私がすごく構えてたというか、ワンマンを10月にすると決めてからずーっと緊張していて、夜もどうやって寝てたんだっけ?って、寝方がわからなくなるくらいで(笑)。でもやっぱりこの半年間で、サウジアラビアやカナダだけでなく、国立競技場や、国際フォーラムでも歌わせていただいたり、すごくいろんな場所でいろんな状況の中で歌わせてもらった楽曲を、ワンマンで歌わせていただくということだったので。1曲1曲を「この曲はあそこで歌ったな」と振り返りながら歌うような、いいワンマンライブになりました。
――結果的に海外ライブや、大舞台での経験が助走になって、日本での初ワンマンを成功させて、そしていよいよ11月23日にファーストシングルがリリースされる。完璧な流れでここまで来てます。しかもこの「最果て」という曲、10月からスタートしているTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』のエンディングテーマという、すごく大きな晴れ舞台ですよね。歌うことが決まった時に、まず何を思いましたか。
4月13日にデビューさせていただいたのですが、その次の週に『BLEACH』のエンディング決定のお知らせを頂きました。デビューの年にそんな大人気アニメの歌を歌わせて頂けるなんてうれしい!と思いました。エンディングが決まったあとにサウジアラビア、カナダに行ったので、斬魄刀(ざんぱくとう)を持っている人がずっとライブ中にぐるぐる回ってたりしてるのも実際に見ていて(笑)。『BLEACH』の海外人気がすごいことを肌で感じていたので、いよいよリリースする時が来てうれしいです。
――ちなみに『BLEACH』のアニメは観てました? 年齢的にはちょっとずれてますかね。
そうなんです。『BLEACH』の漫画掲載開始が私の生まれた年で、アニメは私が10歳の時に終わってしまっていて…。小さいながらも、すごい人気だということはもちろん知ってたんですけど、『BLEACH』がどういうアニメなのかを知ったのは、私が高校生でYouTubeに動画を投稿し始めた時です。「茜雫凛」という名前で活動していたのですが、『BLEACH』のキャラクターがお好きで付けられたんですか?というコメントがたくさん来て、調べてみたら同じ名前の「茜雫」というキャラクターがいることを知ったのが『BLEACH』を詳しく知るきっかけでした。
――偶然の一致というか、縁がそこから始まっていたというか。
そうなんです!ご縁を感じます。
――そして今回の楽曲も、Debut EPと同じく澤野弘之プロデュース。澤野さんって、Rinさんにとってどんな人ですか。
澤野さんがいらっしゃる現場は、レコーディングもミックスもライブも全部が本当に楽しくて、とても良い雰囲気なので、毎回澤野さんとお会いするのが楽しみです。制作の時も澤野さんが私と向き合ってくださって、とてもとても楽しいです!もともとバラードが好きでよく歌っていたのですが、澤野さんとお会いして、サビでどーんと歌い上げる曲を歌わせいただく機会が増え、私が今まで歌ってこなかった声を毎回引き出してくださる感じがします。その声を澤野さんがかっこいいと言ってくださるので、うれしいです。
――Debut EP『Dignified』はRinさんにとってどんな作品でしたか。
いただいた曲に作詞をさせていただくことはもちろん、アートワークをさせていただくのも初めてで、レコーディングもミックスもマスタリングも、一つ一つの工程が初めてのことばかりでした。それでも澤野さんのおかげで、全部の工程を楽しみながら制作させていただきました。楽曲的にも幅広い、盛りだくさんなEPになっていると思います。
――タイアップ曲の作詞は、タイアップを意識して書いているんですよね。お題をもらって書くというのは、どんな体験でした?
もともとコンセプトを考えるのが大好きで、自分じゃない誰かになってその人の感情を書き出すことがすごく好きだったので。まず澤野さんの曲の世界観があって、そこから自分ならではの視点を見つけて歌詞を書くことは、すごく面白いというか、大好きなことなので、楽しみながら書かせていただきました。
――ご自身が好きな楽曲とか、どういうものがあるんですか?
この前のワンマンの時にBGMで流した曲は全部、世界観が好きな曲ばかりでした。洋楽がすごく好きなんです。たとえばアダム・レヴィーン「ロスト・スターズ」とか、歌詞がすごく好きです。(スマホで歌詞を検索して見せる)こういう歌詞です。直接的じゃないけど、その映像を想像したら悲しすぎる、みたいなのが大好きなんですよ。
――おおー。なるほど。イメージが浮かびますね。それがRinさんの歌詞の書き方の、一つの方法になっているのかもしれない。今回の「最果て」は、どんなふうに書いていったんですか。
まず何曲かデモがあって、その中でこの曲を聴いた時に、“シュン!”っていう刀みたいな音が入ってるなと思って、よく聴いたらわかると思うんですけど。これは『BLEACH』じゃんと思って、この曲に詞を書かせてくださいと言って書き始めました。テーマとしては、漫画の『BLEACH』を読み進めていくと、精神世界がすごく頭に残って、『千年血戦篇』はそこが重要なポイントになってくるんじゃないかなと思ったので、精神世界や斬魄刀をテーマにしようと思いました。サビは特にそうで、自分の想像の中で、一護と斬月と内なる虚が引っ張り合いながらものすごいスピードで落ちていく、みたいなシーンを思い浮かべながら書きました。
――なるほど。「最果て」というワードはどこから?
その映像を思い浮かべながら、サビの後半の“とっかかる奪い合いで”のところがまず出て来て。そうやって落ちていく三人の間に物語の結末が見えるというシーンが浮かんで、サビ頭のフレーズができて、そこから「最果て」になりました。
――この曲、アレンジと音がすごく分厚いですよね。歌もののトラックじゃないというか、キックの音がすごくパワフルで、インストのダンストラックとして成立しているというか。
トラックと歌が戦ってる感じがするくらいに、『BLEACH』の世界観にぴったりだと思います。
――歌入れはスムーズに行きました?
3テイクくらいで終わりました。サビは勢いを大切にしましたが、それとは対照的にAメロやBメロは、呼吸を感じるような歌い方を心掛けました。
――そうなんですよね。確かに息継ぎのブレスがすごく生々しく録れている。特にBメロ。
澤野さんにアドバイスを頂いて、少しざらついたようなところと呼吸を混ぜ合わせる感じを録りました。全部録り終えたあとに、澤野さんのアイデアでイントロに “ドゥン、スパッドゥン”っていうスキャットを入れました。もともとデモにはなかったんですけど、出来上がったものを聴いたらすごくかっこよくて、そこで世界に引き込まれるというか、お気に入りのイントロになりました。
――「最果て」は、SennaRinのデビュー半年の一つの結論であり、新たな扉を開けるターニングポイントになる楽曲だと思います。この先、どんなふうに進んで行きたいと思っていますか。
引き続き、作詞もアートワークももっともっと進化していきたいなと思いますし、あとは、もっと多くの方に声が届けられるように、いろんなことに挑戦していきたいです。海外でも積極的にライブをしていけたらと思っています。
――どういうアーティストになっていきたいとか、今後の方向性や抱負はありますか。
初めてワンマンライブをやってみて、ファンの方に直接歌をとどける経験をしたことで、もっとライブをたくさんやってみたいと思いましたし、いつかツアーなどにも挑戦してみたいです!沢山の方に歌声を届けられるよう、国内外で活躍できるようなアーティストを目指して頑張りたいと思います。海外の大きなフェスにも出演してみたいです!まずは今後のライブやリリースにぜひ皆さん注目してください!
レポート・文=宮本英夫
リリース情報
■発売日:2022年11月23日(水)
・初回限定盤(CD+Blu-ray)/2,200円(税込)
「最果て」Music Video
メイキング映像
・期間限定版(CD only)1,650円/(税込)
TVアニメ「BLEACH 千年血戦篇」
【CD収録楽曲】
M1.最果て(TVアニメ「BLEACH千年血戦篇」EDテーマ)
M2.透明な惑星
M3.Missing piece-WwisH-
M4.Till IM5.最果て(inst)