森 麻季(ソプラノ)アニバーサリーに相応しく華麗なアリアを

インタビュー
クラシック
2016.1.3
森麻季(ソプラノ) ©Yuji Hori

森麻季(ソプラノ) ©Yuji Hori

アニバーサリーに相応しく華麗なアリアを

 新春にふさわしい華やかなプログラムが並ぶ。2016年1月13日から15日にかけて、S&R財団設立15周年を記念して『ワシントン賞受賞者コンサート』が開催される。同財団はワシントンD.C.にある非営利組織。芸術や科学、社会的起業家活動の分野で羽ばたく才能豊かな個人を援助してきた。今回、ワシントン賞受賞者を紀尾井ホールに迎え、3日間にわたるコンサートが開かれる。
 その初日、1月13日の公演に出演する2001年の受賞者であるソプラノの森麻季に話をきいた。
「この賞の第1回の受賞者がわたしでした。S&R財団の創設者である久能祐子(くのさちこ)さん(理事長/工学博士)と上野隆司さん(名誉会長/医学・薬学博士)にはとても助けていただきました。お二人は海外で新しい医薬品の開発に取り組んでこられた方なので、芸術の分野で挑戦していくことの大変さもよくわかっていらっしゃいます。いつも貴重なアドバイスをいただいています」

 今回、森が選んだのはグノー《ロミオとジュリエット》より〈私は夢に生きたい〉、マイアベーア《ディノラー》より〈影の歌〉、ドニゼッティ《アンナ・ボレーナ》より〈あの場所に連れて行って〉、《ランメルモールのルチア》より〈あたりは静けさに包まれ〉といったオペラの名アリア。
「選曲にあたっては、『いちばん歌いたい曲を歌っていいよ』といっていただきました。オーケストラの伴奏も付きますし、指揮をしてくださるナビル・シェハタさんはオペラでも活躍されていますので、そういう方と今もっとも歌いたい曲を共演したいと考えて、自分の得意なもの、よく歌いこんでいるものを選びました。お客様にとっても、喜んでいただける曲目なのではないかと思っています」

 紀尾井シンフォニエッタ東京を指揮するナビル・シェハタも、ワシントン賞を14年に受賞している。コントラバス奏者としてキャリアを出発させ、ベルリン国立歌劇場およびベルリン・フィルの首席奏者を務め、その後、指揮者に転進して国際的な活動を展開する才人だ。

 受賞者コンサートという晴れの場をきっかけとして、森麻季の現在の到達点を聴ける密度の濃いプログラムが組まれた。同公演では、やはり同賞の受賞者である柳谷良輔のピアノによるシューマンのピアノ協奏曲も演奏される。聴きごたえのある一夜となりそうだ。

 なお、14日の公演では高田直子のソロによる林金丞のマリンバ協奏曲第5番「竹取物語」(世界初演)、川久保賜紀とオリ・カムによるモーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」が、15日の公演では村治奏一によるロドリーゴ「アランフェス協奏曲」、小菅優によるモーツァルト「ピアノ協奏曲第9番『ジュノム』」(指揮者なし)が演奏される。賞の歩みを反映した多士済々の顔ぶれがそろう。

取材・文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年1月号から)


S&R財団15周年記念 ワシントン賞受賞者コンサート
2016.1/13(水)、1/14(木)、1/15(金)各日19:00 紀尾井ホール
問:ジャパン・アーツ 03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
※コンサートの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

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