これまでの藍井エイルをぶっ壊す!5thアルバム『KALEIDOSCOPE』徹底解剖【インタビュー】
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2つの“藍井エイル”
――次は「月を追う真夜中」です。「藍井エイルをぶっ壊す!」がテーマではあると思うんですが、個人的にはこの曲がすごく好きで……。
いや、ありがとうございます! 重永さんも喜ぶと思います。この曲はTVアニメ『グランベルム』のOPテーマなんですが、私自身もすごく楽しみながら歌詞を書き進めてた印象が強いですね。
――アニメの内容をかなりピックアップされてる歌詞かなと思ったのですが。
そうですね! 月がテーマになっている作品なので歌詞のあちこちに散りばめつつ、最終的に「もう真夜中は月を追いかけない」って書いてみたり、本当に楽しみながらスラスラと書けたんですよね。割と重永さんの曲はいつも歌詞が書きやすいというのもあるんですよね。
――続いて「アトック」です。
この曲はこのアルバムで最もどんよりとした歌詞ですね。過去の自分の事とファンに向けてのメッセージを込めました。
――ここで言う「過去」はどのくらい前を指しているのでしょうか?
デビュー前ですかね。「吐き気がするほど嫌いな自分を見えない場所に隠して」という歌詞も、見ないふりして自分をごまかすような、騙し騙し頑張る自分に嫌気がさしつつ、それでもやるしかない……みたいな負のスパイラルに入っちゃってて。今思えば無いものねだりだったな~と思うのですが。
――なるほど、じゃあ10代の頃の自分という事ですよね。でもそういう“若さゆえの驕り”みたいなのは誰しも経験あるんじゃないでしょうか。
「アトック」は歌詞を書き上げてみたはいいものの、自分でも思ってた以上にダークな感じになってしまって、スタッフさんとかに「これ、大丈夫ですか……?」って恐る恐る見せてみたり……(笑)。
――ちょっと“闇”出しすぎちゃったかな? みたいな(笑)
でもファンの方は全然、そんな心配してなかったみたいで。多分、活動休止前の自分が歌ってたらめちゃくちゃ心配されてたかもしれないですけど。今は元気いっぱい! っていうのが伝わっているので、ひとつ壁を乗り越えたからこそ、自信を持って出せる曲だったりします。
――お待たせしました! 続いてエイルさんイチオシの「Campanula」です。ぜひ存分に語って頂けると……!
未来ちゃんと5時間くらい電話をして、色々と聞いてもらったものを第三者目線で曲にしてくれたのが個人的にはすごく面白いなと思っていて。活動休止中のことだったり、仕事が忙しすぎてシンドかったり、思うように歌が歌えなくなってしまったり、辛いことも今になって振り返ってみると、ちゃんと糧になって成長できたなって思えるので、それを未来ちゃんにお話して、作ってもらったって感じです。
藍井エイルNew Album『KALEIDOSCOPE』通常盤
――「駆け下りた フラフラと今にも転びそうな足で」という歌い出しは、まさにそのお話を表していそうですね。
デビューからずっと駆け抜けっぱなしで、走り続けることしか出来なかった私なんですけど、今はちゃんと自分のペースで歩くことも出来るようになったと思っていて、この曲の歌詞を見る度にそのことを思い出しますね。
――自己紹介的な曲は、変な話自分で書けばいいですけど、誰かに自分を表現してもらうって、信頼関係がないとなかなか納得いくものを作ろうにも難しいと思います。
いや、5時間の電話ってなかなかですよね(笑)。
――でも、アルバムの1番に挙げられるくらいには納得いく仕上がりになりましたから。
「真っ二つ 乖離する錆びた影」という歌詞も、歌は歌っていたいけど、疲れ果てて何もしたくない自分が存在してた時期を思い出したりしますね。だけど「君がいる今に繋がっているんだから」という歌詞にあるように、やっぱりファンの皆さんの前で歌いたい気持ちが現在に繋いでくれたっていう私の中の想いまで、全部汲み取ってくれてるなって感じますし、おっしゃる通り、自分で書いたら絶対こうはならないだろうなって歌詞だと思います。
――なんとなく「アトック」と対照的な仕上がりにもなっているように感じますよね。
確かに! この並びは意図的ではなかったんですが、「アトック」も「Campanula」も自分のパーソナルな部分について触れている楽曲ではあって、前者は私が主観的に歌詞を書いてて、後者は未来ちゃんに第三者目線での藍井エイルを描いてもらったのが、客観的な感じがより際立っていますよね。
――曲順はどのように決まっていったのでしょうか?
『KALEIDOSCOPE』ということで、カラフルで飽きがこないアルバムにしたかったので、曲のジャンルがコロコロと変わるような並びにしたかったんですよね。それで当てはめていった結果、「アトック」と「Campanula」が並んだって感じなんですけど、それ以上にいい並びになったような気がします!まあ、どっちにしろダークっていう。
撮影:鈴木久美子
令和のアニソンの作り方
――11曲目はTVアニメ『バック・アロウ』2nd OPテーマの「鼓動」です。
これはすごい藍井エイルらしい楽曲かなと思いますね。この曲は山田竜平さんに書いていただいた曲なんですが、同じく山田さんの曲で「翼」という曲があるんですけど、「翼」同様にこの曲もブレスが全然なくって。山田節が効いてますね。
――篤志さんもですが、山田さんも息をさせてくれないんですね(笑)。
そうなんですよ、なんか皆わたしに厳しいんですよね(笑)。ブレスもですが、がならせて歌うパートもあるので、喉にも負担がかかる曲なので、やっぱりライブとかではキッツイですね~。
――初っぱなからフルスロットルな感じで、藍井エイルらしさ全開! ですよね。
サビ始まりですし、そうですよね。藍井エイルの曲、サビ始まりなことが多いですからね。この曲に関しては私の希望で「サビ始まりにしてください」ってお願いしているんですけど。というのも、最近はサブスクでアニメを見る方も多いと思うんですが、OPってスキップしたくなっちゃうじゃないですか。いかにスキップボタンを押させないか? みたいなテーマもあって。それで最初から全速力で、ギアを落とさず最後まで駆け抜ける曲にしたかったんですよね。
――確かに、最初の5秒で掴まれるようなキャッチーさが令和のアニソン事情には求められてるかもしれませんね。
飛ばさないで! って思いますけど、飛ばしちゃいますよね(笑)。それで言うと「I will...」も同じです。この曲はEDテーマですが、EDはボタンを押さなくても勝手に飛んじゃうじゃないですか。それをさせたくない! っていう。
――あれ、結構困るんですよね! 聞きたいのに! って時も勝手に飛ばされちゃうから。
飛ばさせない工夫として「何か欲しい!」と思って、出来たのがイントロの「wow wow~」だったんですよね。でも入れてみたらそこが1番キツいっていう。
――「I will...」はTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』第2クールのEDです。
私、この曲は歌うといつも泣いちゃいそうになるんですよ。ユージオのことを思い出してエモすぎて……。
――ユージオ……(泣)。アリスも出てきましたけど、アリシゼーションはやっぱりキリトとユージオの物語だったなと思います。
「どれだけ遠く 離れてしまっても 変わることなく 繋がっていく 繋がっている」という部分が1番グッと来ちゃいますね。この曲はもちろんユージオをモチーフに、そんなユージオからキリトへの手紙をテーマにして歌詞を書き上げていったんです。「長い眠りは どれ程の想いを作ったのだろう」とか「夜を乗り越えるたびに 酷く怯えてしまう君」って歌詞はキリトが置かれた状況を表していますよね。そこから「泣かないで誰より優しい人よ」って歌詞に繋がるんですが、出来上がったEDの映像を見た時に、もう鳥肌が立っちゃって。
撮影:鈴木久美子
藍井エイルから父への“YeLL”
――映像とバチっとハマってましたよね……。そして最後が「YeLL」です。先日のライブではサプライズ演出もありました。
タイアップさせていただいている日本工学院さんのダンスパフォーマンス科の生徒さんにご協力いただいて、一緒にライブを盛り上げて頂いたんですが、一個ずっと後悔してることがあって。最後に「ダンサーの皆さんにお見送りをしてください! 拍手おねがいします~」って言ってるつもりだったんですが「お出迎えお願いします~!」って言ってて、しかもそれでハケていくという(笑)。よくわからない状況すぎて、やっぱり私は何かしらドジをするんだな……と。
――その前にトロッコでぐるりと会場を回られてた時も、最後に階段から降りるときも結構足元が危なっかしくて、ヒヤリとしました(笑)。
階段が急で怖かったんですよ! なんかクスクスされてるの聞こえてましたからね!(笑)
――話がそれちゃいましたが、万華鏡がテーマのアルバムの最後がこの曲っていうのは非常に意味があるなと感じています。
やっぱり学生の皆さんだったり、夢を持つ人への応援歌のつもりで作った曲なので、ハッピーな気持ちでアルバムが終えられたらいいなと思いまして。例えば両親だったり、大切な人への感謝の気持ちってなかなか面と向かって言うには勇気がいるじゃないですか、だから「今から私の手紙を読みます 恥ずかしがらずに聞いてくれるかな」と手紙形式にしたんですけど、夢って大きければ大きいほど後ろ指をさされがちじゃないですか。それを恥ずかしがらずに、胸を張っていいんだよ! というのを伝えたくて、こういう曲の入りにしましたね。
――特に今のSNS世代の人たちにとっては、余計にそういう面と向かって感謝を伝える機会は少ないかもしれませんよね。
本当に、結婚式くらいなんじゃないですか? 私の場合は、父親がずっと歌手になることを応援し続けてくれてて、奇跡的に歌手として10年も続けることが出来ているので、ぜひ夢を持つ皆さんの背中を押せるような曲が歌えたらなと思って作りましたね。
――ではある意味、この曲はエイルさんからお父さんへのメッセージでもあるわけですね。
うーん……まぁ、そういうことにはなるんですけど、絶対にこのインタビューは読んでほしくないですね(笑)。
――大丈夫ですか、書いちゃっても?(笑)
書いちゃっても大丈夫なんですけど、絶対に読ませないですね(笑)。
撮影:鈴木久美子
――-夢がテーマの曲ですが、それでこそ先日の10周年ライブは「アリーナでやりたい!」という夢をまたひとつ叶えられたわけですし、11年目を迎えた今後の夢は何かありますか?
それで言うと、熊本でライブがやりたいです! 3rdアルバムの「D'AZUR」ツアーの時に、ちょうど大地震が起きちゃって、熊本公演が出来なかったということがありまして、絶対に熊本でライブがやりたいんですよね。
――なるほど、それは絶対に叶えて頂きたい夢ですね。最後になりますが、そんな11年目に向けての意気込みや、ファンの方へのメッセージをひと言お願いします!
正直に言うと、ここまで歌手活動を続けられるとは全然思っていなくて。過去の自分に「あなた10年も歌手続けられるよ!」と言っても信じてもらえないくらいなんですけど、何よりも歌手を続けていられるのは応援してくれる人がいるからで、私のファンの皆さんは本当にマナーがよくて優しい方々ばかりなので、そんな皆さんが私の誇りでもあります。そんな皆さんへの恩返しのアルバムになったのかなと思いますので、今後とも何卒よろしくお願いします……!
取材・文:前田勇介 撮影:鈴木久美子
リリース情報
藍井エイルNew Album『KALEIDOSCOPE』
〇初回生産限定盤A(CD+BD+PHOTOBOOK) ¥4000+税
〇初回生産限定盤B(CD+DVD+PHOTOBOOK) ¥4000+税
〇通常盤(CD) ¥3000+税
<CD: 収録曲>
01.Kaleidoscope
02.心臓(「劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ-冥き夕闇のスケルツォ」主題歌)
03.星が降るユメ(TVアニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」EDテーマ)
04.ANSWER(アプリゲーム「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」主題歌)
05.HELLO HELLO HELLO(TVアニメ「カッコウの許嫁」2期EDテーマ)
06.PHOENIX PRAYER(TVアニメ「15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ」第2オープニングテーマ)
07.ロゼ(Lyrics & Music by 須田景凪)
08.月を追う真夜中(TVアニメ「グランベルム」オープニングテーマ)
09.アトック(TVアニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」第2クールオープニングテーマ)
10.Campanula(Lyrics & Musi by 中村未来[from Cö shu Nie]
11.鼓動(TVアニメ「バック・アロウ」2ndオープニングテーマ)
12.I will...(TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」2ndクールエンディングテーマ)
13.YeLL(日本工学院CMテーマソング)
<BD/DVD>
01.「心臓」Music Video
02.「HELLO HELLO HELLO」Music Video
03.「PHOENIX PRAYER」Music Video
04.「アトック」Music Video
05.「鼓動」Music Video
06.「I will...」Music Video
07.「月を追う真夜中」Music Video
08.「星が降るユメ」Music Video
09.「ANSWER」Music Video
10.「心臓」Studio Live
アルバム詳細情報はコチラ▶ https://www.aoieir.com/news/archive/?546847
藍井エイル オフィシャルHP:https://www.aoieir.com/
藍井エイル Links(AppleMusic / Spotify / LINEMUSIC / amazonmusic / LINE / YouTube / Twitter / INSTAGRAM / facebook):https://EirAoi.lnk.to/Artist_Page
特設サイト『藍井エイル 10th Anniversary 「SAI」』:https://www.aoieir.com/special/10th/