OSK日本歌劇団『レビュー 春のおどり』の初日公演レポート、トップスター楊琳「大阪松竹座の開場100周年に私たちも新しい1歩が踏み出せた」
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OSK日本歌劇団 撮影=ハヤシマコ
大阪松竹座開場100周年記念 OSK日本歌劇団「レビュー 春のおどり」 2023.2.4(SAT) 大阪松竹座
OSK日本歌劇団
大阪松竹座の開場100周年を記念して、OSK日本歌劇団が上演する『レビュー 春のおどり』の初日公演が2月4日(土)に開催された。
第1部のミュージカル・アクト「レ・フェスティバル」では、映画『ロシュフォールの恋人たち』(1967年公開)にオマージュを捧げ、全編、フレンチ・ジャズで彩られた。フランスにある港町、ロシュフォールでおこなわれる年に1度の祭りを舞台に、さまざまな立場の人々の出会いや恋愛を描いていく。
トップスターの楊琳、朝ドラ決定の翼和希らが表現する「出会い」
楊琳
ドラマ面で特に着目してほしいのが、歌とダンスで表現された男女の気持ちのすれ違い。想いがなかなか届かないことに対する、登場人物のもどかしさに共感させられる。そうやって細やかな心情を絡ませ合いながら、モダンな雰囲気をきわだたせる衣装や舞台セットなどで華やかなステージを作り上げていく。
左から楊琳、舞美りら
登場人物のなかで注目は、トップスターの楊琳が演じたアメリカのスター、サミー。はじめてロシュフォールへやって来たサミーは、自分の音楽でパリの舞台に立つことを夢見る女性、フランソワ(舞美りら)と運命的な出会いを果たす。フランソワがかかえる楽譜を見て「(この曲を)歌ってみたい」と願い、感情をたかぶらせていく姿が非常にドラマチックに映る。
右から桐生麻耶、朝香櫻子
また存在感たっぷりに出てくるのが、OSKのレジェンド的存在となった特別専科の桐生麻耶と朝香櫻子。桐生はミシェル役をダンディーに、朝香はアンヌ役を憂いたっぷりに演じ、孤独に暮らすふたりの再会劇を切なくあらわした。ミシェルの「この町で思い出に生きている俺。抜け殻なのさ」という台詞が印象的だ。
右から千咲えみ、翼和希
2023年秋に放送予定のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』に出演する翼和希にも目を引きつけられた。演じたのは、「本当は詩を書きたい」と考えている水兵のジャック。彼は誰と出会っても満たされず、「いつか恋心をいだくような相手に会いたい、そしてそのときは花にたとえて詩をつづりたい」と口にする。若者らしい葛藤を感じさせるキャラクターである。
楊琳、舞美りら
人生にはかけがえのない出会いがいくつかある。もちろんその逆もある。重要なのは、そういう「出会い」をどれだけ大切にできるかという部分。娯楽性に満ちあふれた作品である一方、「今日という日は二度と来ない、だから愛し合おう」という本作のメッセージは、「出会い」についてあらためて考えさせられる。
タンゴからストリートダンスまで、多彩な歌とダンス
「未来への扉~Go to the future~」
第2部はレビュー「未来への扉~Go to the future~」。<百年のこの舞台で>と松竹座開場100周年へのお祝いとこの先の未来について歌い、踊る、そのきらびやかなパフォーマンスは圧巻。
「ひと夜の戯れ」
演奏される音楽も多彩。第二場「ひと夜の戯れ」では翼が、ブエノスアイレスのタンゴバーへと妖しく誘っていく。見知らぬもの同士が目配せし、手を繋いでタンゴを踊るその場所。翼と実花もものダンスが官能的だ。
右から楊琳、華月奏
第三場「ここが僕たちのベスト・プレイス」ではストリートダンスと華月奏のラップが披露される。ビッグサイズな衣装、スプレーアートを模したセットに鑑賞者のバイブスも上がっていく。
「KYEE」
楊琳、桐生麻耶
楊琳、千咲えみ
そのほかチアリーディングによるラインダンス「KYEE」、楊と桐生と自分の熱量をぶつけあう「Passion」、トップ娘役の千咲えみが華麗に舞い踊る「Swan Lake」なども見ごたえがある。
楊琳
本編を終えて、楊は「昨年(OSKは)100周年を迎えました。そしてここ、大阪松竹座も開場100周年。その記念の年に私たちも新しい1歩を踏み出すことができて嬉しいです。秋には、翼和希が『ブギウギ』にも出演したします。これからもOSKの活躍をみなさんに支えていただきたいと思います」とあいさつ。そしてOSKのテーマソング「桜咲く国」で締めくくった。
「桜咲く国」
取材・文=田辺ユウキ 撮影=ハヤシマコ
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