C・ウィールドンの新作、ロイヤル・バレエ『赤い薔薇ソースの伝説』がいよいよ映画館公開~映画『キャッツ』『ロミオとジュリエット』の主役が30年に渡る愛を熱演
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『赤い薔薇ソースの伝説』 ©Camilla Greenwell
英国はロンドンのコヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)で上演された、ロイヤル・バレエ団、ロイヤル・オペラによる世界最高峰のバレエとオペラを、東宝東和株式会社配給によって、TOHOシネマズ系列を中心とした日本全国の映画館で鑑賞できる人気シリーズ『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23』。その7作目となる『赤い薔薇ソースの伝説』(原題:Like Water for Chocolate)が、2023年3月24日(金)~3月30日(木)、1週間限定にて全国公開となる。
Francesca Hayward as Tita and Marcelino Sambé as Pedro in Like Water for Chocolate, The Royal Ballet ©2022 ROH. Photograph by Tristram Kenton
ここでは、舞踊評論家・森菜穂美氏による『赤い薔薇ソースの伝説』の魅力・見どころ解説と、指揮&音楽コンサルタントを務めたアロンドラ・デ・ラ・パーラの従兄で東京バレエ団のソリストであるブラウリオ・アルバレス氏からのコメントを紹介する。
Francesca Hayward as Tita and Marcelino Sambé as Pedro in Like Water for Chocolate, The Royal Ballet ©2022 ROH. Photograph by Tristram Kenton
ラウラ・エスキヴェルのベストセラー小説を原作に、92年に映画化されてゴールデングローブ賞の外国語映画賞にノミネートされ、東京国際映画祭では主演女優賞を受賞、日本でも大ヒットしたメキシコ映画『赤い薔薇ソースの伝説』。禁じられた愛が生み出す官能と料理が結びつき、驚愕の出来事が次々と起きる”マジック・リアリズム“の描写が話題を呼んだ色彩豊かな傑作だ。
Anna Rose O'Sullivan as Gertrudis and artists of The Royal Ballet in Like Water for Chocolate, The Royal Ballet ©2022 ROH. Photograph by Tristram Kenton
それを、新国立劇場バレエ団を含む世界中のバレエ団で上演された『不思議の国のアリス』を創作した振付家クリストファー・ウィールドン(『パリのアメリカ人』『MJ:ザ・ミュージカル』でトニー賞受賞)、作曲家ジョビー・タルボット、そして美術のボブ・クロウリーのクリエイティブ・チームが、『冬物語』に続いて結集し、英国ロイヤル・バレエ団の舞台作品として新たに創造したのが本作。初演は大評判を呼び、2023年4月にはアメリカン・バレエ・シアターでも上演される予定だ。
Anna Rose O'Sullivan as Gertrudis and Cesar Corrales as Juan Alejandrez in Like Water for Chocolate, The Royal Ballet ©2022 ROH. Photograph by Tristram Kenton
森菜穂美氏は本作を、「メキシコの民族楽器を駆使した民族音楽を思わせる魅惑的なスコア、乾いた光と色彩が豊かで文様などメキシコ文化を取り入れたクリエイティブな舞台美術、ミュージカルのように華やかでダイナミックなダンスシーン、極めつけはティタとペドロによる官能的でパッション溢れるデュエットと、物語バレエ作品の魅力がぎゅっと詰まっている。彼らの30年にわたる愛の軌跡が、ドラマチックに、そして文字通り燃え上がるような情熱をこめて料理されている。観た者まで思わず情熱的な気持ちに火がついてしまう、わくわくさせて魅惑的な逸品。」と高く評価。
Marcelino Sambé as Pedro and artists of The Royal Ballet in Like Water for Chocolate, The Royal Ballet ©2022 ROH. Photograph by Tristram Kenton
さらに、見どころの一つとしてあげるのが、ロイヤル・バレエのダンサーたちの熱演。森氏は「ロイヤル・バレエのダンサーは踊りだけでなくて演技者としてもトップレベル」と太鼓判を押す。家族のしきたりと毒母によって悲惨な運命を与えられた、料理上手のヒロインには、映画『キャッツ』で白猫ヴィクトリアを好演し、映画版『ロミオとジュリエット』でもジュリエットを初々しく演じた愛らしいフランチェスカ・ヘイワード。彼女について「過酷な運命と戦い、30年にもわたる愛を貫く一途さと強さをピュアに情熱的に演じている」と評し、ペドロ役のマルセリーノ・サンベとの共演について「幼馴染として子どもの頃に出会い、愛し合っていたのに残酷な宿命で引き裂かれ、様々な出来事を経ててもなお、熱く愛し合い続けてついに結ばれるまでの強い想いを、二人ともダンスを通じて繊細に表現して物語に観客を引きこむ」と解説している。総勢6人のプリンシパルが主要な役を演じる贅沢なキャスティングにも注目だ。
Francesca Hayward as Tita and Marcelino Sambé as Pedro in Like Water for Chocolate, The Royal Ballet ©2022 ROH. Photograph by Tristram Kenton
また、音楽はメキシコ生まれでメキシコ観光大使を務め、プラシド・ドミンゴに絶賛されるなど、いま大注目を集めている女性指揮者アロンドラ・デ・ラ・パーラが監修し指揮。このほど、彼女の従兄で、東京バレエ団のソリストであるブラウリオ・アルバレス氏から次のコメントが到着したので、ここに紹介する。
◆ブラウリオ・アルバレス氏コメント
このバレエのために特別に作曲された音楽は本当に素晴らしい。オーケストラはメキシコの伝統曲やポピュラー・ソングによく使われる楽器とリズムで巧みに強化され、情熱的で見事なアロンドラ・デ・ラ・パーラの指揮が、バレエ全体を通して魔法のような神秘的な雰囲気を作り出しています。
ブラウリオ・アルバレス氏(東京バレエ団) © Nobuhiko Hikiji
【動画】Like Water for Chocolate trailer (The Royal Ballet)