片岡千之助、中村莟玉、中村歌之助が前期の歌舞伎座について思い出を明かす 『わが心の歌舞伎座』先行上映会オフィシャルレポート公開

2023.4.3
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(左から)片岡千之助、中村莟玉、中村歌之助

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前期の歌舞伎座(第四期歌舞伎座)の休場までの日々に迫ったドキュメンタリー映画『わが心の歌舞伎座』が、現在の第五期歌舞伎座の新開場10周年にちなんで、全国で2023年4月7日(金)より再び上映される。それに先駆け、片岡千之助中村莟玉中村歌之助が登壇したトークイベント付き先行上映会が開催された。オフィシャルレポートが届いたので紹介する。

『わが心の歌舞伎座』より

トークイベントでは、本作で語り手として出演している片岡仁左衛門、中村梅玉、七世中村芝翫の孫・子であり、歌舞伎の次代を担う期待の新星3人が、満員の観客を前に語った。

片岡千之助

まずは前の歌舞伎座で好きだった場所を聞かれると、千之助は「歌舞伎座に入ってすぐの大間です。前の歌舞伎座がある時は本当に小さかったので、番頭さんや皆さんに遊んでもらった思い出が一番あります」。莟玉は楽屋を挙げ、「もともと一観客として観ていたところから、楽屋に入れていただけたので夢の空間でした。前の歌舞伎座の楽屋は狭くて、衣裳を着ると入れ替わるのも大変で。でもその感じが素敵でした」。

中村莟玉

歌之助は「(劇場2階の左右にあり舞台に照明をあてる)照明室です。昔の照明室は小さくて、みんなでぎゅうぎゅうになって、(古くて)ガタガタの椅子に座って、ライトの熱さと一緒に先輩方の芝居を見るというのが刺激というか、好きな場所でした」。とそれぞれの思い出を語った。

中村歌之助

また、司会者に、前の歌舞伎座が閉じる前に記念の品を持って帰ったそうで……と問われると、「僕らだけでなく多くの方がそうなんですが、座席の番号のプレートで、自分の誕生日のものをみんな根こそぎ取っていっていました。言っていいのかわからないんですが、10年経ったのでもう時効だと思います」と歌之助が明かす一幕も。

最後に、「歌舞伎座はホームグラウンドですから、新しい歌舞伎座が開場して10周年を迎え嬉しいと思うと共に、昔の歌舞伎座も僕たちの中で胸に刻まれていますので今のお客様に改めて昔の歌舞伎座を知っていただける、再上映を嬉しく思います。新しい歌舞伎座もこれから100年先、200年先も皆さんにも応援していただければと思います」(歌之助)、「最初の上映の時には『かっこいいな』という思いで先輩方を見ていました。それから13年経って改めて見直すと、自分もそうですし先輩方も年を重ねられている、それがいい意味で自分たちの世代へのプレッシャーになっていると思います。まだ(新開場して)10年という短い時間ですがこれから先、今の歌舞伎座を前の歌舞伎座に負けないものにしていきたいという気持ちにさせてくれる、素敵な映画です。ぜひお楽しみいただきたいと思います」(莟玉)、「前の歌舞伎座に最後に足を踏み入れてから13年、新しい歌舞伎座ができて10年、あっという間に感じますが、この映画を見て、今の歌舞伎座という場所をもっともっと素敵に、そしていつか諸先輩方のように後の世代につなげていけるように、先輩方のような役者になれるように頑張りたい。いろんな劇場で、世界で、もっともっと歌舞伎ができるように、歌舞伎が発展するように頑張りたいと思います」(千之助)という言葉で締めくくった。

『わが心の歌舞伎座』より

『わが心の歌舞伎座』より

『わが心の歌舞伎座』は4月7日(金)~13日(木)全国34館で(東劇のみ4月20日(木)までの2週間上映)で上映。また、4月2日(日)から歌舞伎座にて、歌舞伎座新開場十周年記念『鳳凰祭四月大歌舞伎』が上演されている。こちらは27日(木)までの上演となる。

上映情報

『わが心の歌舞伎座』
上映日程:2023年4月7日(金)~13日(木)全国の映画館で1週間限定上映
東劇のみ4月7日(金)~4月20日(木)の2週間上映
 
出演(五十音順):十二世市川團十郎、尾上菊五郎、片岡仁左衛門、坂田藤十郎、中村勘三郎、中村吉右衛門、七世中村芝翫、中村富十郎、中村梅玉、坂東玉三郎、松本白鸚 11人の語り手ほか、歌舞伎俳優総出演
 
監督:十河壯吉  ナレーター:倍賞千恵子
撮影:柏原聡  照明:藤井克則  音楽:土井淳  協力:社団法人 日本俳優協会 株式会社歌舞伎座
 
シネマ歌舞伎 HP:https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/
シネマ歌舞伎ツイッター:@cinemakabuki

公演情報

歌舞伎座新開場十周年記念
『鳳凰祭四月大歌舞伎』
日程:2023年4月2日(日)~27日(木)【休演】10日(月)、17日(月)
会場:歌舞伎座

昼の部 午前11時~
 
夢枕 獏 原作(「陰陽師 瀧夜叉姫」文春文庫)
石川耕士 監修
市川猿之助 脚本・演出

新・陰陽師(しんおんみょうじ)
滝夜叉姫
蘆屋道満宙乗り相勤め申し候
 
新開場から十年の時を経て、世代も新たに蘇る『陰陽師』の世界!
 
安倍晴明:中村隼人
源博雅:市川染五郎
平将門/村上帝:坂東巳之助
滝夜叉姫/如月姫:中村壱太郎
興世王:尾上右近
桔梗の前:中村児太郎
俵藤太:中村福之助
大蛇丸:中村鷹之資
源八坊:市川青虎
琴吹の内侍:市川寿猿
式神密夜:市川笑三郎
式神密虫:市川笑也
藤原忠平:市川猿弥
藤原実頼:市川中車
三上山の山姥:市川門之助
蘆屋道満:市川猿之助

夜の部 午後4時~

世瀬川如皐 作
一、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
木更津海岸見染の場
赤間別荘の場
源氏店の場

与三郎:片岡仁左衛門
お富:坂東玉三郎
蝙蝠安:片岡市蔵
番頭藤八:片岡松之助
五行亭相生:市村橘太郎
海松杭の松五郎:中村吉之丞
お針女お岸:中村歌女之丞
赤間源左衛門:片岡亀蔵
鳶頭金五郎:河原崎権十郎
和泉屋多左衛門:市川左團次

河竹黙阿弥 作
二、連獅子(れんじし)
 
狂言師右近後に親獅子の精:尾上松緑
狂言師左近後に仔獅子の精:尾上左近
僧蓮念:坂東亀蔵
僧遍念:河原崎権十郎
 
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