「未知なる自分を探し求めて」台湾バンド・ゲシュタルト乙女が日本で初ツアー、日本語詞や台湾の音楽シーンについてトーク『speakeasy podcast』× SPICE連動企画

動画
特集
音楽
2023.4.9
『speakeasy podcast』× SPICE連動企画 ゲシュタルト乙女・Mikan Hayashi

『speakeasy podcast』× SPICE連動企画 ゲシュタルト乙女・Mikan Hayashi

画像を全て表示(4件)

海外音楽情報専門Podcast『speakeasy podcast』とSPICEの連動インタビュー企画。今回のゲストは、日本語で歌う台湾バンド、ゲシュタルト乙女のMikan Hayashi。今年は日本&台湾ツアーや福岡で開催されるフェス『CIRCLE‘23』への出演が決まっているMikan Hayashiと音楽トーク。影響を受けた日本のバンドや台湾の音楽シーンについて、ゲシュタルト乙女の今後の活動について、たっぷり話を訊いた。SPICEでは、ポッドキャストの内容を一部ダイジェストでお届け。より詳しく内容を知りたい人は、Spotifyにて配信中の『speakeasy podcast』をチェック!

日本の音楽との出会い、そして台湾の音楽シーンについて

ーー今回はゲシュタルト乙女のMikanさんにお越しいただきました。よろしくお願いします!

Mikan:よろしくお願いします!

ーー日本には何度か来られているんですよね?

Mikan:はい、ライブで何度か訪れてます。

ーー日本に住んだこともあるんですか?

Mikan:それはないんです。

ーー日本語がお上手ですが、高校生の頃から勉強して日本語の歌詞を書きはじめたんですよね。日本の音楽はどういったキッカケで?

Mikan:周りの同級生は中華圏のポップミュージックを聴いていることが多いです。私も台湾の音楽を聴きますが、Youtubeでスピッツから日本の音楽に出会いました。ちょうど日本の音楽も聴き始めた時、ギターの練習もしていたので「空も飛べるはず」を弾き語りしてみたりしていましたね。

ーー台湾の中高生も、日本ではJ-POPがよく聴かれているように、中華圏のポップミュージックを聴くことが多いのですか?

Mikan:そうですね。私よりもっと前の世代ではJ-POPもすごく流行っていました。私のお母さんもそうですが、昔から日本語を勉強していたりして、日本には親近感があります。最近はK-POPがすごく人気です。

ーーお母様の影響で、少しずつ日本にも興味を持つようになったのですね。アメリカやイギリスの音楽も聴かれてきたと思うんですけど、その中でどうして日本の曲がいいなと思ったんですか?

Mikan:なんだか聴いていて、日本の言葉は優しいなと感じるんです。それからアレンジや発想が今まで聴いてきた台湾の音楽とすごく違っていて新しい発見ばっかりだったので、特に日本の音楽を聴いていました。

ーー日本語の勉強は、ひとりで始めたんですか?

Mikan:高校生の頃に、ひらがなとカタカナの授業はあって、そこから自分で勉強し始めた頃に日本の音楽も聴きはじめたので、歌詞を理解したくてもっと勉強しました。

ーー それは日本語の勉強をする学校だったのですか?

Mikan:高校では観光学科に通っていたので、外国語として勉強していました。

ーーそういう学科があるのですね。Mikanさんは、スピッツのほかにペトロールズや相対性理論、東京事変などが好きだと過去のインタビューでもあげていますよね。スピッツから日本の音楽を好きになり、どうやってそういった他のアーティストも聴いてきたのですか?

Mikan:スピッツのトリビュートアルバム『一期一会Sweet for my SPITZ』で、椎名林檎さんが「スピカ」をカバーしていたのをキッカケに知ってどんどん好きになっていきました!

ーー 最近、日本のアーティストやバンドでよく聴いている人は?

Mikan:家主です。

ーーいいですよね!僕も大好きです。どうやって出会ったんですか?

Mikan:Spotifyのおすすめを教えてくれるプレイリストで発見しました。

ーーもしかして、くるりも好き?

Mikan:大好きです!

ーーそうですよね。アメリカやイギリスの音楽も聴かれますか?

Mikan:最近、キングス・オブ・コンビニエンスなどを聴いています。あとはクレイロさんとか。

ーー アメリカのインディシンガーですよね。

Mikan:はい。クレイロさんは『Amoeba』というアルバムをリリースされていて、自分たちのアルバムと一緒だったので、どんな曲なのかなと思って聴いたらすごくハマりました。

ーー台湾で最近のおすすめのバンドは?

Mikan:我是機車少女(i'mdifficult)ですね。日本でいうとTempalayのような感じかもしれません。

ーー へえ! ちょっと聴いてみます。おすすめの曲とかありますか?

Mikan:「愛愛不懂愛 AiAi」とか聴いています。

ーー聴いてみます! ちなみに、台湾と日本の音楽シーンに違いはありますか?

Mikan:日本のバンドだと「渋谷系」みたいな地名で分けたりジャンルごとにシーンが分けたりが多いですけど、台湾ではあんまりなくて。特に地域で分けることはなくて、たぶん台湾は台中とか台南に住んでいた人たちが台北に出て住んでいることが多いからかもしれません。なので、ひとつのバンドが時期によってジャンルが違ってくることの方が多いかもしれません。

ーーなるほど。アルバムによって作っているサウンドが違っているんですね。それはゲシュタルと乙女にも感じてます。作りたいサウンドが変化しているのかなって。

日本&台湾ツアーを経て「未知の自分を見つけ出す」

ーーサウンドメイクについても聞かせてください。楽曲は日本語詞ですが、どこから作り始めるのですか?

Mikan:中国語を書いて翻訳して日本語にするんじゃなくて、最初から日本語で書き始めています。台湾の言葉は全部漢字なのですが、日本も漢字があって、ひらがなやカタカナがある仕組みなので、台湾の言葉の解釈の仕方をそのまま日本語で使っているみたいな感覚ですね。それから言葉遊びが好きだったりするので、歌詞に入れてみたり。 台湾の要素も入れたいなと、住んでいた場所の地名を入れたりもします。

ーーちなみに、台湾語で歌詞を書いたことはありますか?

Mikan:高校時代に、オリジナル曲を作り始めた頃は台湾語も使っていたと思います。だけど友達に知られるのが恥ずかしくて、日本語で書くようになりました。

ーー昨年2022年にセカンドアルバム『Amoeba』がリリースになって、その前が2019年の『視力検査』ですね。少し違ったサウンドになっている印象を受けたんですけど、デビューしてから作りたいサウンドは変わってきていますか?

Mikan:自分の中では変わってないと思っています。本当にやりたい音楽をやりたいようにやっただけで。だけど後から友達やお客さんから、『Amoeba』はちょっと違うなと言われて気づいたことも多くて。それはコロナ渦の影響かもあったとは思うんですね。直球で自分の感情を伝えたいとか、アルバムの中に早く伝えたいと思う要素を入れるようになっているのかなと思います。

ーー影響を受けてる音楽とかも特に変わってない?

Mikan:特には変わってないと思います。 あ、でもコロナ期間ですごく癒されるような音楽を聴いたかもしれない。

ーー日本のですか?

Mikan:それこそ、くるりとか家主とか。そうやって聴いている音楽の影響を、いつの間にか受けてるんじゃないかな。

ーー なるほど。コロナ禍での気持ちの変化が、サウンドにも反映されてるかもしれないと。今年でいうと、Kaiakiさんが脱退されて、また大きな変化がありましたよね。しばらくはMikanさんのソロプロジェクトということになるんですか?

Mikan:そうですね。最近、台北に引っ越ししたので、そこで出会った違うジャンルのアーティストとコラボしていくソロプロジェクト「取暖実験室」がそうですね。「みんなで集まって温かくなる」みたいなメインテーマでやっていこうと思っていて、いろんなジャンルのバンドやアーティストといろいろな曲を作っています。

ーーゲシュタルト乙女としては、以前はKaiakiさんがサウンドメイキングに携わっていたと思うんですけど、今はどういうふうにサウンドメイキングをしていくのでしょう? 1人で 作り上げていくのか、「取暖実験室 Lab」のようにいろいろなミュージシャンとコラボレーションしていくのか。

Mikan :今はメンバーが1人になったという状況を生かしたいので、いろんな違うジャンルの方を呼んで、一緒にいろんな曲を作ろうかなというところですね。

ーーそれは台湾の方が中心ですか?

Mikan:いえ、日本の方でも海外の方でも、限りなくいろんな方とと思っています。

ーーそれは楽しみですね! 今年はツアーも決まっています。6月に大阪、東京、福岡で、そして7月には台北と高雄でツアーがあるんですけど、日本では久しぶり?

Mikan:ツアーで回るのは実は初めてなんですよ。なので、いろいろな土地でそこの音楽シーンや台湾との違いを感じながら、 楽しんでいきたいなと思います。

ーー対バンアーティストは、大阪ではdownt、東京でのワンマンを経て、福岡・台北・高雄はクレナズムと対バンですよね。それぞれ印象はどうですか?

Mikan:downtさんはクールで落ち着いている印象です。Spotifyでもたくさん聴いていました。クレナズムは2〜3年前に台北で対バンしたことがあって、ボーカルの萌映ちゃんはファッションやメイクのセンスがすごく合っていて、インスタのストーリーとか見ていてもめっちゃ可愛いなと。ふたりともきのこ帝国が好きだったりして仲良くなりました。すごく楽しみなので、今回のツアーは全身全霊でやっていきたいなと思っています!

ーーちなみに、5月に開催される福岡のフェス『CIRCLE '23』の出演も決定していますよね。それも大好きなペトロールズの長岡亮介さんも同じ日に出演しますよね?

Mika:そうなんです、感無量なんです。(告知されたビジュアルの)ラインナップですごく近くに名前が並んでいて。それを見るだけで、すごく緊張します(笑)。

ーーあはは(笑)。この夏はツアーでもフェスでもゲシュタルト乙女のライブが見れるのが楽しみです! ツアーはバンドセットですか?

Mikan:そうですね台湾の仲間を連れて、バンドセットになります!

ーーちなみにアルバムも制作していると聞きましたが、これもバンドサウンドになりますか?

Mikan:そうですね! 曲のアレンジとかiとかをしているところで、楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。

ーー どんなアルバムになるのか、教えてもらえたりしますか?

Mikan:今回のツアーのタイトルが『未来の窓』で、窓の意味は「ジョハリの窓」という自己分析をする心理学の理論からきていて、「未知の自分を見つけ出す」という意味を込めています。次のアルバムでも、今までの作品でゲシュタルト乙女とはまた違った別の自分を探しているところなので、まだ未知なところがあり自分でもどうなるかまだわかんないんです。

ーー新しいゲシュタルト乙女の未来、そしてアルバムの完成が今から楽しみです!

取材=竹内琢也 文=SPICE編集部(大西健斗)

ツアー情報

『ゲシュタルト乙女 7周年台日記念ツアーライブ「未来の窓」
Gestalt Girl 7th Anniversary Tour Live “Window of the Future”』
・6月18日(日)大阪・心斎橋Conpass
 w/downt
・6月19日(月)東京・LIVEHOUSE FEVER
 (ワンマン)
・6月23日(金)福岡・Queblick
 w/クレナズム
・7月8日(土)台北・The Wall Livehouse
 w/クレナズム
・7月9日(日)高雄・LIVE WAREHOUSE
 w/クレナズム
 

イベント情報

『CIRCLE '23』
日程:2023年5月20日(土)、5月21日(日)
会場:福岡・海の中道海浜公園 野外劇場

Podcast情報

『speakeasy podcast』
海外音楽情報専門podcast。毎週水曜18時&金曜18時に配信。
チャートの動向、ニューアーティストPick Up、音楽ニュース..etc。
Shawn Mendes、The1975、The Chemical Brothersなど海外アーティストへのインタビューを多数している竹内琢也がホストになり、リアルな情報をお届けします。

『speakeasy podcast』URL
https://open.spotify.com/show/1oUKPQzMbBO03GCrHgsE6l?si=_O6USGAdQFqlVpgbtQDRiw
オフィシャルHP
https://speakeasy-web.com/
 
番組へのメッセージ、やって欲しいことなどは
ハッシュタグ : #ttspeakeasy
シェア / 保存先を選択