大阪芸大生、松竹座映画祭でPV上映「若者にも劇場へ足を運んでもらえるように」ーーFM802『ROCK KIDS』DJ板東さえかインタビュー
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右上から杉原成美、楠本大貴、佐伯貴裕、板東さえか
大阪松竹座が2023年に開場100周年を迎えることを機に立ち上げられた、大阪芸術大学との産学連携プロジェクト。その第二弾として大阪松竹座会場100周年記念オリジナルショートムービーを、大阪芸術大学芸術学部放送学科の学生たちが制作した。オリジナルムービーは5月2日(火)〜8日(月)に、大阪松竹座が約30年ぶりに映画館として復活する『道頓堀 松竹座 映画祭』にて上映が予定され、現在「YouTube 松竹チャンネル」でも放映中。公開を前に、同じく芸術学部放送学科の卒業生で、自身の番組内でも数々の芸大生の話を聞いてきたFM802 DJの板東さえかがインタビュー。
プロモーションムービー (c)松竹
今回のプロジェクトに関わった監督・脚本担当の杉原成美さん、脚本・編集・制作担当の楠本大貴さん、撮影の佐伯貴裕さんの3人に、制作の経緯やエピソード、そして公開を目前に今のお気持ちなど伺いました。
●格式が高い印象「学生がいく場所ではないのかな」
板東:映像を一足先に観させていただきました。同じ大阪芸術大学、放送学科に通っていた身として現役の学生でしっかりとしたクオリティーの作品を制作されていて「すごいな……」と感じました。
一同:ありがとうございます。
板東:今回のプロジェクトはどういった形で受けることになったのですか?
杉原(監督・脚本):学科の先生からやってみないか、とお話があり受けました。去年(2022)の1月くらいだったと思います。
板東:就職活動もあれば、卒業制作も控えている中で?! 超多忙ですね……。そんな中、どんなふうに進めていったのですか?
杉原:参加する学生らが3チームに分かれ、案を出し合いました。そこからブラッシュアップしていって、大阪松竹座にプレゼンテーションしました。
楠本(脚本・編集・制作):脚本に関しては杉原監督が形にしてくれたものを、僕が足したり引いたりして仕上げていきました。脚本を書き上げるために大阪松竹座で実際の舞台を観させていただいたり、ロケハンとして劇場を見学させていただいたりしました。
撮影の様子
板東:それまでに行ったことはありましたか?
一同:行ったことはなかったです……!
板東:実際に携わるまで、大阪松竹座はどんなイメージでしたか?
楠本:僕は名前をちらっと聞いたことがあるくらいです。
杉原:表面的なイメージとしては、品位の高さ。私ら学生がいく場所ではないのかな……というイメージがありました。昔は映画の放映や来日公演をしていたことに驚きました。
佐伯(撮影):なんばに行ってあの辺を通るたびに、雑多とした雰囲気の中で突然風格ある建物が現れるような印象が残っていて……ここが松竹座だったのか! と。博物館かと思っていました。あの通りに◯◯座と呼ばれていた劇場がたくさんあった中で、今残ってるのが松竹座だけだと知って「100年続くのはすごいなぁ」と改めて感じました。
●「100周年」という漠然とした年数、コンセプトや方向性は?
江口直彌、里美羽衣子、船橋輝人 プロモーションムービーより
板東:皆さんにとって初めての出会いになったのですね。そんな大阪松竹座の100周年を広めるために今後も残るようなムービーを制作されたわけです。最後のメッセージがとても印象的でした。
杉原:最初に、若者が多く来てくれるようなプロモーションビデオにしたいというお話をいただきました。たしかに若者が1人では行きにくいかもしれない。でも親孝行や祖父母孝行のような形だと、自分も行きやすいなと思いました。そういうキッカケにもなるかなと、キャッチフレーズや物語を考えていきました。
佐伯:監督がコンセプトとして「受け継がれていくもの」と掲げていて、その通りだと感じています。これまでも公演を観ておもしろかったら子供や孫を連れていく、それが繋がっているんだなと思いました。
板東:私もおじいちゃんを連れて行きたくなりました(笑)。おじいちゃんといえば、松竹新喜劇の江口直彌さん、里美羽衣子さんが出演されていていました。劇団の俳優さんとモノ作りができたのも貴重な経験になりましたね!
撮影の様子
杉原:プロの役者さんと初めてのお仕事だったので、監督としてどう演技指導をしたら良いのか迷いもありました。でも「こうしたい」とお伝えしたら快く受け入れてくれて、ホッとしました。
楠本:俳優さんと初めてお会いするのが現場でした。プロの役者さんと一緒になるのが今までなかったので新鮮な気持ちというか、緊張感がありました。
板東:実際カメラで捉えた佐伯さんはいかがでした?
佐伯:アルバイトで俳優さんを撮った経験があったのできっとやれるだろうと思ってたのですが、いざ自分で撮るとなると「もし失敗したらどうしよう」とめちゃめちゃ緊張しました。なので監督と楠本くんにもたれかかった撮影になり……お世話になりました(笑)。
板東:初めての経験づくしだった作品がいよいよ大スクリーンで世に放たれます。今のお気持ちは?
楠本:今回のような大きなプロジェクト、大きな規模での制作は今までなかったので、多くの方に観ていただけることが嬉しいです。作品は作って完成ではなく観てもらって完成するので、その時がすごく楽しみです。
佐伯:僕は今まで趣味で書き物をしていたけど結局公開せず殻にこもっていました。けど、いつか自分が作った作品を映画館で上映するのが夢なんだと思っていた中で今回願ってもないチャンスがやってきて、現実味がないというか。楽しみではありますが、正直わからないところです。
杉原:私もどういう反応が返ってくるのかが想像できずドキドキしています。私たちのような学生や同じ世代の人たちに刺さってくれたらいいなと思って作品を作ったので、そういう人たちにより観てもらえたら嬉しいです。
●経験を活かして、それぞれの道へ……
板東:皆さん、春からはどんな道へ進まれるのですか?
杉原:私はドラマ制作で、東京へ行きます!
楠本:僕はアニメーションの制作会社へ。
佐伯:コマーシャルの制作会社に進みます。
板東:すばらしい! 改めて、就職活動しながら卒業制作もして、そして今回のような大きなプロジェクトも完遂させて……すごいです。上映の頃はもう皆さん新天地で励んでいるかと思うのですが、後輩たちにも観てもらえたらいいですね!
卒業式では贈呈式が行われた。ぬいぐるみは大阪芸大生によるデザインの公式キャラクター「しょーちまる」
取材・文=板東さえか
イベント情報
※前売・当日共通料金、全席自由席、完全入替制
あの日、あの街で観たあなたの映画が、松竹座の大スクリーンによみがえります。