大阪で襲名披露した尾上菊五郎&菊之助親子に万雷の拍手、『七月大歌舞伎』昼夜公演のオフィシャルレポート到着
-
ポスト -
シェア - 送る
八代目尾上菊五郎の土蜘の精 (c)松竹
7月5日(土)に大阪松竹座にて、『七月大歌舞伎』が初日を迎えた。
同公演は、東京・歌舞伎座で5月6月と盛況を見せた『尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露』の大阪公演。『七月大歌舞伎』おなじみの、絵看板や色とりどりの幟のほか、劇場正面やロビーの装飾なども襲名ならではの華やいだ雰囲気で、多くの観客で賑わう初日となった。初日の昼夜のオフィシャルレポートが到着したので紹介する。
(c)松竹
昼の部は「新版歌祭文 野崎村」から。中村壱太郎演じるお光が、中村隼人演じる久松との祝言を控え、うきうきとした娘心を見せるところへ、久松と恋仲であった、中村扇雀演じるお染が訪ねてくる。お光の父・久作は中村鴈治郎が演じ、微笑ましい親子のやりとりがたびたび客席の笑いを誘う。上方情緒の中、子を思う親心と、若い三人の切ない恋の行方が描かれ、幕切れで久作にすがって泣くお光の姿が観客の胸を打った。
「羽根の禿」尾上菊之助 (c)松竹
「うかれ坊主」尾上菊五郎 (c)松竹
尾上菊之助の「羽根の禿」と八代目尾上菊五郎の「うかれ坊主」は、どちらも六代目菊五郎の工夫によって人気舞踊となった作品で、襲名披露狂言として二人が親子リレーでつとめる。大阪松竹座初出演となる菊之助の愛らしい禿の姿に、客席からはお祝いの大きな拍手が。また八代目菊五郎の「うかれ坊主」では、さまざまな人物や情景を次々と踊り分けていくさまが客席を魅了した。
「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」尾上菊五郎 (c)松竹
「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」は、八代目菊五郎が、父の七代目に憧れ、関西で初めてつとめる音羽屋所縁の演目で、髪結新三の悪党ぶりが徐々に色濃くなっていく過程がみどころ。「白子屋店先の場」では、新三の粋でいなせな風情や、髪結の技を見せる件、「新三内の場」での鰹売りをはじめとした市井の人々の描写に江戸の風情と初夏の季節感が感じられる。また坂東彌十郎演じる家主の長兵衛とのおかしみのあるやりとりが客席の笑いを誘った。大詰の「閻魔堂橋」では、中村錦之助演じる弥太五郎源七との凄みのある立廻りに大きな拍手が起こった。
「熊谷陣屋」片岡仁左衛門 (c)松竹
夜の部は「熊谷陣屋」から。片岡仁左衛門演じる熊谷次郎直実が、忠義のためにわが子を身代わりにした苦衷と、その周囲の人々の悲しみが描かれる。僧形となった熊谷の幕外での「十六年は一昔」の台詞を含む述懐が観客の涙を誘った。
「口上」左から尾上菊之助、八代目尾上菊五郎、片岡仁左衛門 (c)松竹
続いて襲名披露「口上」。八代目菊五郎は「初代、二代目の菊五郎は上方で生まれ活躍しました。歴代の菊五郎が大事にしてきた伝統と革新の精神にのっとり努力してまいります」と宣言、菊之助は「菊五郎の家にとって大切な名跡を襲名できることに感謝申し上げると共に、立派な歌舞伎役者になれるよう、なお一層、精進します」と誓い、「音羽屋!」の大向うと温かい拍手が贈られた。
「土蜘」左から中村時蔵、八代目尾上菊五郎の叡山の僧智籌実は土蜘の精 (c)松竹
「土蜘」は、五世尾上菊五郎が制定した家の芸「新古演劇十種」のひとつ。病床の源頼光のもとへ、菊之助演じる侍女胡蝶が訪れ、頼光の求めに応じてしっとりと紅葉の風景を舞う。のちに登場する八代目菊五郎演じる叡山の僧智籌実は土蜘の精は、前半の不気味さと、後半の次々に糸を繰り出しての豪快な立廻りで観客を魅了し、万雷の拍手で幕となった。
『尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上菊之助改め六代目尾上菊之助襲名披露 七月大歌舞伎 関西・歌舞伎を愛する会 第三十三回』は7月24日(木)まで、大阪松竹座にて上演。
公演情報
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
七月大歌舞伎
関西・歌舞伎を愛する会 第三十三回』
夜の部 午後4時30分~
【休演】10日(木)、17日(木)
昼の部:5日(土)、7日(月)、8日(火)、9日(水)、14日(月)、16日(水)、23日(水)、24日(木)
錦之助(Bプロ)
菊市郎(Bプロ)
隼人(Bプロ)