最新作は“原点帰り”! ミュージカル『薄桜鬼』新選組奇譚 ゲネプロレポート

レポート
2016.1.7

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1月4日(月)東京・銀河劇場にて幕を開けたミュージカル『薄桜鬼』新選組奇譚。その初日直前のゲネプロの様子をお届け!
 

 人気ゲームが原作となる本作は、これまでゲームのルートに準じ『斎藤一 篇』『沖田総司 篇』…と、ヒロイン・雪村千鶴と結ばれるキャラクターの名を冠したタイトルで上演されてきた。そして集大成とも言える『土方歳三 篇』を経て、シリーズ七作目となった前作では『黎明録』としてヒロインなしの“新選組・前日譚”を創り上げ、『薄桜鬼』としての大きな流れを確立。そこから始まる最新作は、ゲーム第一作のサブタイトルを掲げた『新選組奇譚』。『黎明録』からの流れを受け、もういちど『薄桜鬼』という作品の魅力を再確認できる“全部入り”の、「これぞ『薄桜鬼』」、原点に立ち返ったストーリー構成となっている。

 史実にもある通り、初期の新選組は芹沢鴨との確執を乗り越えてからその本領を発揮したとも言えるが、若い彼らにとって芹沢の暗殺は決して忘れることのできない“痛み”である。その痛みが本作では『黎明録』と『新選組奇譚』との重要なブリッジとして扱われ、また、世代の引き渡しや武士の魂の継承…命そのものを象徴するように大切に描かれているのも印象深い。

 冒頭、黎明録のプレイバックから新選組と雪村千鶴の出会いを描きつつ『薄桜鬼』を代表するナンバー『ヤイサ!ヤイサ!ヤイサ!』まで続いていく流れも非常にドラマチック。そこから池田屋のエピソードまで一気に加速していく体感は、まさに新選組が生き急ぐように時代を駆け抜けていった様そのものだ。

 今回から土方歳三役で出演している松田岳の“柄”もいい。翳りと強さと奥に秘めた優しさとがしっかりと備わり、後半に向けて爆発していく青年らしい葛藤と情熱が真っすぐこちらに届いてくる。常に土方に寄り添う千鶴役の藤社優美は、少女の面影を残した健気でタイニーな存在。少し儚げな歌声とも相まって、隊士のみんなから大切に扱われる女の子らしい姿が好印象。

 シリーズ第一作から鬼の風間千景を演じている鈴木勝吾も、これまでのヒール感の強いラスボスという役のイメージを軽やかにチェンジ。純血の鬼一族を守り続ける高潔さと、正しいモノを正しいと認める魂の一途さを持って宿敵・土方歳三と対峙する強さが美しい。

 特定のキャラクターを中心に据えたストーリー展開ではない分、それぞれのキャラクターの魅力や場面場面で伝わる人間模様の多彩さが物語として楽しめたのも『新選組奇譚』ならではの味わい。回を重ねるごとにブラッシュアップされた成果がきっちり反映された歌・ドラマ・殺陣のバランスやスピード感も心地よく、これまで以上に若さやしなやかさをまとった全体像が立ち上がっていた。また、新選組の足跡を一気に語るために余計なモノを削ぎ落とした分、人間の視点と鬼の視点の両方から見た愛や命、魂といったシンプルなテーマが清涼感を持って際立ったのも発見だった。

 作品としてのこれまでの経験値に新たなカンパニーの意欲が重なり合うことで生まれたミュージカル『薄桜鬼』の新境地が今、確実に動き出したようだ。

 

〜ゲネプロ囲み会見コメントより〜

土方歳三役:松田岳

「僕は今回から初参加で、ずっとすごい好きだった『薄桜鬼』の世界の人たちと一緒に稽古ができるとワクワクしていたんですが、みなさん優しく『薄桜鬼』とはこういうものだというモノを教えてくださいました。新選組奇譚はシリーズ8作目の舞台となりますが、これまで受け継がれてきた思いをきちんと引き継いで…また新しい“誠の形”というようなものをお届けできれば。新選組の元々の歴史もちゃんと調べて受け止めてそれを舞台の上でぶつける、それがずっとずっと続いていくといいな、と考えています。キャスト、そしてスタッフさんたちに感謝することでいっぱいです。間違えのないようきちんと演じていきますので、千秋楽までどうぞよろしくお願いいたします」

 

雪村千鶴役:藤社優美

「私は初めてこの作品に出させていただくのですが、出演が決まって最初に齋藤一篇のDVDを見たとき、自分にはできないかもしれないと思いました。でも、稽古の中でみんな仲良くなれたし、女の子ひとりですけど(笑)、今はカンパニーの一員になれたんじゃないかな。今はこのみなさんからいただく感情を大事にして、“私の雪村千鶴”を演じていきたいと思っています。細かいところにまでこだわって創りました。みなさん、私と一緒に新選組や鬼たちの生き様を見届けていただけたら嬉しいです」

 

風間千景役:鈴木勝吾

「僕は4年ほどこの作品に関わっているんですが、今回は自分が今何をしたらいいのかをすごく考えました。風間千景として作品を支えつつ、最後に新選組が歌う曲を聞いていると特にこの作品がここまで育った姿を見ると親心みたいなモノも感じたりして。すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。僕たち自身が新選組と同じようにゼロから創り上げてきて今こうやって夢を叶えつつある中にいるので、その夢をお客様もどうか一緒に見ていただけたら嬉しいですね。楽しみにしていてください」

 

沖田総司役:荒牧慶彦

「僕は前回の黎明録から参加させていただいてますが、この新選組奇譚は黎明録の流れを引き継いでいるような作品なので、僕らが黎明録で築き上げた新選組がどのように終わっていくのか。それをきっちりと最後まで沖田総司として、新選組のひとりの人間としてしっかりと見届けたいと思っています。今作は新選組各々の見せ場が各所に散りばめられていますので、ぜひその見せ場ひとつひとつもお見逃しなく」

 

斎藤一役:橋本祥平

「スタートの違うところから集まったキャストのみなさんとの出会いの中で、ホントにミュージカル『薄桜鬼』の歴史というものを感じました。みんなすぐ仲良くなれて、やっぱり幸せカンパニーってずっと続いていくモノなんだなぁとも思いました。今回はこのメンバーでまた新たな『薄桜鬼』をお届けしたいです。今回はそれぞれの役にゲームで言う桜がフワッとなるところの(笑)、千鶴とのシーンもあります。みなさんには“THE薄桜鬼”という作品をお楽しみいただけたらと思います」




(文/横澤 由香)

(C)アイディアファクトリー・デザインファクトリー/ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会

公演情報
ミュージカル『薄桜鬼』新選組奇譚​

 日時:1/4(月)~1/11(月・祝) 天王洲 銀河劇場 (東京都)
      1/15(金)~1/17(日) メルパルクOSAKA (大阪府)


 出演者:土方歳三役/松田岳 
     雪村千鶴役/藤社優美 

     沖田総司役/荒牧慶彦 
     斎藤一役/橋本祥平 
     藤堂平助役/小澤廉 
     原田左之助役/東啓介 
     永倉新八役/猪野広樹 
     山崎烝役/高崎翔太 
     近藤勇役/井俣太良 

     芹沢鴨役/窪寺昭 
     天霧九寿役/郷本直也 
     不知火匡役/柏木佑介 
     雪村綱道役/江戸川萬時 

     風間千景役/鈴木勝吾 

     菅原健志、細川晃弘、伊藤茂騎、橋渡竜馬、岩崎大輔、吉田雄希
 

 公式HP:
http://www.marv.jp/special/m-hakuoki/​



 

 

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