三谷幸喜作の傑作二人芝居『笑の大学』WOWOWで6月に放送・配信 三谷幸喜、内野聖陽、瀬戸康史のインタビューも収録

2023.4.21
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内野聖陽×瀬戸康史で描く、ラストシーンも新たなNEWバージョンの舞台『笑の大学』がWOWOWにて2023年6月に放送・配信されることが決定した。

三谷幸喜作の傑作『笑の大学』は、検閲官と劇団の座付き作家の間で繰り広げられる濃密な二人芝居。1996年に初演、1998年に再演、そしてロシア、韓国、中国、フランスでの翻訳上演も大絶賛されながら日本では25年間一度も上演されなかった伝説の作品だ。劇団の座付き作家という役柄は、かつてテレビドラマの脚本を書く際に数々の制約を受けた三谷自身を投影したもの。今回、検閲官役を内野聖陽、座付き作家役を瀬戸康史という理想の役者がそろったことで上演が実現した。さらに演出は三谷自身が担当。三谷は、「今回自分で演出をしてみて、初めてこの戯曲の意味のようなものが見えてきた気がします。自分で書いていて不思議なんですが、ああ、このセリフはこういう意味があったのか、というような客観的な発見があって」と語る。

ラストを変更した新バージョンとなる本作に、三谷のほか、内野聖陽、瀬戸康史がどのように向き合ったのか、インタビューも収録。舞台本編と併せて放送される。この度、インタビュー収録より一部が公開となった。

三谷幸喜

『笑の大学』を上演していた頃は脚本家だけで演出をしていなかったので、自分が演出をするという選択肢はなかったんです。今回自分で演出をしてみて、はじめてこの戯曲の意味のようなものが見えてきた気がします。自分で書いていて不思議なんですが、ああ、このセリフはこういう意味があったのか、というような客観的な発見があって。自分が演出をしたからというよりは、演じる俳優さんが変わったところが大きいんですが、内野さんと瀬戸さんが演じることによって、この二人の関係性に前回はなかった疑似親子みたいなものが生まれて、二人に年齢差があることで、最終的に息子を見ている父親の目線みたいなものがそこに見えてきたんです。それでラストを変えたんですよね。だから多分このラストは今回の二人にはベストな結末だと思うし、内野さんと瀬戸さんと僕とで作ったこの公演に関しては、多分正解にたどり着いた感じはすごくあります。

内野聖陽

98年版の『笑の大学』再演公演を観てあまりの質の高さに、もう度肝を抜かれたんですね。向坂役にとオファーがあったときも、おいそれと二つ返事でやりますとは言えなかったんです。ちょっとした恐怖もあったし、ちょっとした野望もあったし、自分がやるからには2023年に上演する上での何か闘志のような、夢のような部分で、三谷さんと感じ合っておきたかったみたいなところがありまして。すぐには「やりますっ!」って言えなかったんです。『笑の大学』が自分の中であまりに素晴らしい作品だったので、出演を決めるまでに少し時間が必要だったことは確かです。
でも、三谷さんの絶大なラブコールといいますか、「内野さんじゃないと」と言ってくださって。「そんなに喜劇慣れしてない私が、『笑の大学』をやってもよろしいんですか」みたいな気持ちだったんですが、三谷さんご自身の『笑の大学』を執筆した当時の自分に僕は負けたくないというような言葉も伺って、すさまじい熱量でこの作品に対峙しようとされているんだなと感じました。であるならば、私も三谷さんと一緒にこの山に登ってみたい、と決断することができました。

瀬戸康史

傑作の二人芝居と言われているこの作品やるか、みたいなプレッシャーは正直なかったんですよね。ただ、三谷さんが呼んでくれたっていうのと、二人芝居には興味を持っていたので、挑戦したいと思いました。
稽古は今までで一番あっという間で。多分めちゃくちゃ楽しかったんだと思います。まるで、子供の夏休みのような体感の早さでした。
僕と内野さんの演技を見て三谷さんがつけてくれた演出がたくさんあって、その場で、その日に生まれてくることが多かった気がします。今回のラストは初演・再演のラストから三谷さんが書き替えられたんですが、稽古場ではまた別のラストも実は試していて。お客様に観て頂くことはないものですが、それはもう稽古場でしかなかったラストだったりするので、毎日いろいろなことが生まれて、喜劇作家の椿さんが台本を作っている時のワクワクが毎日稽古場で繰り広げられていたなと思います。

放送情報

舞台『笑の大学』
 
放送・配信日:6月放送・配信予定

収録日:2023年3月2日
収録場所:東京 PARCO劇場
作・演出:三谷幸喜
出演:内野聖陽、瀬戸康史
サイト:https://www.wowow.co.jp/info/info.php?info_id=8529&which=0
 
【ストーリー】
時は戦時色濃厚な昭和15年。取調室にいる警視庁検閲係・向坂睦男(内野聖陽)と劇団「笑の大学」座付き作家・椿一(瀬戸康史)。非常時に喜劇など断じて許さないとする向坂は、上演中止に追い込もうと執拗なまでの注文を繰り返す。しかしなんとか上演許可をもらいたい椿は、向坂が要求する無理難題を逆手に取りながら、あくまで真正面からの書き直しに挑戦する。警視庁の取調室を舞台に、相対する男二人のドラマが始まる。
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