坂元健児にインタビュー!ミュージカル「DNA -SHARAKU」
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坂元健児
喉は鍛えることができるんですよ。
2016年1月10日から新国立劇場 中劇場にて上演されるミュージカル「DNA-SHARAKU」。これが初舞台となるナオト・インティライミ、そして小関裕太がW主演を務める本作は、人工知能が人間の知能を超える未来、現代、そして江戸時代と4つの時代を舞台として繰り広げられるSF歴史スぺクタクルミュージカルだ。本作に出演する坂元健児に役どころや本作の魅力について話を伺ってきた。坂元といえば劇団四季時代に「ライオンキング」初代シンバを演じ、退団後も非常に多くの舞台で、美声と演技、そしてパフォーマンスを披露してきた。そんな話にも触れていく。
――さて、年明けから『DNA-SHARAKU』が始まりますが、演じる役どころは?
坂元:2116年の日本の総裁役です。この時代は人工知能が人間の知能をはるかに上回っていて、その時代で起きる問題を解決するためには、「創造する心」を根絶しないといけない、そのためには危険とみなされた過去の人物をとらえては抹殺していたんです。「遺伝子」を根絶やしにするために。そんな中ターゲットになったのは、1793年の江戸時代に生きていたといわれている東洲斎写楽。こう聞くと、SFやファンタジーのようですが、以前NHKでも特集されていたくらい、実際にありえるかもしれない話なんです。
――100年先の未来と、少し先の未来、現代、そして江戸時代と4つの時代を渡り歩く物語となるようですが、こういう作品は演じるのが難しそうに思いますがいかがでしょうか?
坂元:結局僕らが演じる100年先の時代って誰にも想像できないんですよね。2045年に人工知能が人間の頭脳を超えて、それから急激に上回っていく。絶対想像できない世界なので、そこが難しさかもしれません。
――役作りの想像を超える世界ですね。それぞれの時代の人々のコミュニケーションの取り方も難しそうですし。
坂元:たぶん表現の仕方が全く違う…ただそこがおもしろさでもありますね。演じる上では。
僕が思うに2116年の人間は…そこまで進化した時代の人だったら現代の人には現代の人に伝わるように、江戸時代の人相手なら江戸時代の人に伝わるように話ができるはず、と思うんです。過去の人のレベルに合わせた話し方があると思うので。心理学も相当進化しているだろうし、マインドコントロールなんて簡単にできちゃうかもしれないですしね。コンビューターが人間の脳をものすごく簡単に扱いそうです。
――逆に、どの時代にいても一番大変なのは自分と同じ時代の人間同士のコミュニケーションになりそうですね。
坂元:2116年になっても、結局そっちのほうはうまくいってなかったり…。未来の人たちだけで話すとき、どんな感じなんだろうなと思います。
坂元健児
――(12月下旬ですが)稽古はどこまで進みましたか?
後半の後半、クライマックスのシーンの前まで行きました。通し稽古をやって、流れは見えてきましたね。
――坂元さんがおもしろいと感じる場面はどこですか?ネタバレにならない程度で教えてください。
坂元:中川アッキー(晃教)の場面が結構好きですね。以前、「OUR HOUSE」(2006年)で共演しましたが、あれから10年経っておもしろいキャラクターを作ったなあって思いました。今回、一緒に出る場面もありますがやっていておもしろいです。いろいろな発想を毎回出してくるんです。
――そんな坂元さん自身は、稽古のときはどうなんですか?
坂元:僕は「こうしたい」と演出家に言葉で説明するのではなく、稽古の流れの中で、実際に動いてやってみて「なるほどね、じゃ、それでいこう」って伝わったり「イメージと少し違うからこうしてみましょう」とか言われたり…自分が考えて持ってきたものと演出家が考えたものと混ぜてやってみて、できていく感じですね。基本はおとなしくしていますよ(笑)
――今回、歌が上手な方が大変多いキャストですね。しかも歌の出自がそれぞれ異なる方々なので非常に興味深いです。W主演の一人、ナオト・インティライミさんはどのような方ですか?
坂元:本読みの段階ですでにセリフを覚えてきていらっしゃって驚きました。本人曰く、「初舞台だからみんなに迷惑かけたらいけないと思って」と。すごく一生懸命で、また明るくて、とても初舞台の方に思えないくらいです。以前海外で映画を撮られたそうですが、その経験なども活かしているのかなって。セリフにしても自然で、舞台的な表現をしない。ごく自然な表現をされる方。才能のある方だなと感じました。
――小関さんはいかがですか?
坂元:声がよく通るし、やさしい声でいいんですよ。他にも、ミッツ(・マングローブ)さんもうまいですしね。そして、イッセー尾形さんは面白い(笑)
――そんな人たちが稽古場に集結していたら、聴き入っちゃいませんか?なかなかナマで聴ける訳でないですし。
坂元:なりますね!すごい楽しみですねー。
――ちなみに、稽古が終わったあとはどうされます?
坂元:ビールが飲みたいのでさっさと帰ります(笑)帰りに飲みにいったりはしないんです。というのも、飲みに行くと朝方までずーっと飲んでしまって次の日まる一日ダメにしてしまうので(笑)飲みにいくと最後に「カラオケ行こうよー!」ってなっちゃうんです。リモコンで適当に番号を打つと知らない曲が出るでしょ?表示された歌詞を見ながら即興で歌ってしまうとか…そういうカラオケをやっちゃいますね(笑)
――舞台とは別で、カラオケだけ撮影してどこかで上映したいです(笑)
坂元:でも、みんな酔っぱらってやっているので、相当ひどいことになっていると思いますよ(笑)
坂元健児
――実は坂元さんのファンから、こんな質問を預かってきました。「どうやったらそんなに美しく、かつ、太くてたくましい声を維持できるんですか?」と。
坂元:なかなか信じてもらえないんですが、とにかく鍛えるしかないんです。喉って鍛えられるんですよ。20代の頃は何度か声をつぶしたりもしていましたが、今は絶対つぶさないですし、声が出なくなるということはありえないくらい、ない。
若いときはずっと歌ってました。ダンサーの中でもすごいダンサーは一日中踊っていたりしたそうです、踊るのが大好きすぎて。僕もそんな状態でずっと歌っていました。早い段階でいろいろ経験したので自分で喉のコントロールの仕方もわかったのかな。叫んで叫んで叫びまくる…つかこうへいさんのお芝居みたいなものでも、たぶん僕の声はつぶれないと思います(笑)声を強くするにはある程度無理して出す…いや常に自分の限界の次に挑戦しながら稽古をする、それしかないと思うんです。
――話を「DNA-SHARAKU」に戻しまして。脚本を読んだとき、坂元さんが想像する未来とホンの中の未来、どんな違いを感じましたか?
坂元:僕は、電気を脳にあてると快感神経とか満足神経とかそんな脳の機能を左右できるような世界を想像してましたが、ホンの世界は想像と違っていまして。人それぞれ未来の世界って違うんじゃないか、様々な未来があるんだろうなあと感じました。ホンの世界を間違えると、善と悪とに分類した時、昔の人が善人で、未来の人が悪人と見られがち、と思ったんです。でも僕は未来の人間ですが、決して悪人ではなく「時代」がそうさせた、これがこの時代では普通だと思われていた…と考えながら演じていますね。悪役になりすぎないように。自分がその時代の中で正しいことをやっているんだと思うことが大事かなって思いながら演じています。
――最後になりますが、もし坂元さんがこの作品で描かれる、近100年後の未来、30年後くらいの少し先の未来、江戸時代というどれかの時代に行けるとしたらどの時代に行ってみたいですか?
坂元:江戸時代(即答)。(イッセーさんが演じる)蔦屋たちの仲間の中に入っていきたいですね。稽古をやっていてもあの仲間に入りたいんですよ。本当におもしろそうで!!
日時・会場:
【東京】2016年1月10日(日)~24日(日)新国立劇場 中劇場
【大阪】2016年1月28日(木)~31日(日)シアターBRAVA!
【福岡】2016年2月6日(土)~7日(日)キャナルシティ劇場
原案:冲方 丁
演出・脚本・作詞:小林 香
出演:
ナオト・インティライミ 小関裕太(W主演)
新妻聖子 坂元健児 田野優花(AKB48) ミッツ・マングローブ
藤岡正明 Spi 大野幸人 Miz
朝海ひかる 中川晃教 イッセー尾形 ほか
公式サイト:http://www.dna-sharaku.com/
お問い合わせ:0570-00-3337