ロイヤル・バレエが『シンデレラ』を新プロダクションでリバイバル、ヌニェス&ムンタギロフ主演、日本人ダンサーも活躍~『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23』第10弾

2023.6.13
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©2023 Sebastian Nevols

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英国はロンドンのコヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)で上演された、ロイヤル・バレエ団、ロイヤル・オペラによる世界最高峰のバレエとオペラを、特別映像を交えてスクリーンで体験できる人気シリーズ『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23』。その10作目は、ロイヤル・バレエ『シンデレラ』(振付:フレデリック・アシュトン 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ)だ。2023年6月16日(金)より、1週間限定にて全国公開となる。舞踊評論家・森菜穂美氏の解説とともに、本作の見どころを紹介しよう。

【動画】The Royal Ballet: Cinderella cinema trailer


母を亡くすという不幸な境遇にもめげずに明るく健気なシンデレラが、その清らかな心で幸せをつかむという『シンデレラ』の物語は、いつの時代も人々の心に灯りをともしている。巨匠フレデリック・アシュトン振付の『シンデレラ』が初演されたのは1948年。おとぎ話のファンタジックさ、英国らしいおおらかなユーモアと、心優しい人が報われるというハッピーエンドで多くの人に愛される名作となった。

Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

巨匠フレデリック・アシュトン振付による『シンデレラ』の初演がお披露目されたのは1948年、ロイヤル・バレエの前身であるサドラーズ・ウェルズ・バレエ団にて。それは、アシュトンがロイヤル・バレエのために振り付けた初めての全幕作品であり、おとぎ話のファンタスティックさ、英国らしいおおらかなユーモアと、心優しい人が報われるというハッピーエンドで多くの人に愛される名作となった。今回、初演から75周年を記念し、およそ10年ぶりに待望のリバイバル上演となる『シンデレラ』は、舞台装置や衣装も一新されての新プロダクションとなる。

Artists of The Royal Ballet in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

ロイヤル・バレエのフレデリック・アシュトン版の魅力について、森氏は「義理の姉妹を男性ダンサーが女装してユーモラスに演じることによって、滑稽さと共に、シンデレラに対する意地の悪さがあまり深刻なものではなく、誰も悪い人が登場しないという作品の温かさを象徴させている」と分析。続けて、「美しく変身したシンデレラが舞踏会に入場するところの、ガラスの靴のトウシューズでつま先立ちのまま一歩一歩階段を下りていく場面の繊細さと初々しい緊張感を見せるところは、本作屈指の名場面。プロコフィエフの少しダークだが煌めくような華麗な旋律の音楽も印象的でドラマを盛り上げる」と語る。

Gary Avis and Luca Acri in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

なお、舞台装置を手掛けたのは、『となりのトトロ』舞台版で2023年のローレンス・オリヴィエ賞・最優秀舞台美術賞を受賞した美術デザイナー、トム・パイだ。今作『シンデレラ』では変身シーンなどにプロジェクション・マッピングを巧みに使用し、花のモチーフを多用したデザインが高く評価された。

Olga Sabadoch in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

シンデレラを演じるのは、ロイヤル・バレエのみならず世界を代表するスーパースター・バレリーナであるマリアネラ・ヌニェス。王子には、ロイヤル・バレエ随一の貴公子ワディム・ムンタギロフ。この二人について、森氏は「マリアネラ・ヌニェスは、持ち前の明るい笑顔と完璧なテクニックで、夢をつかむ前向きなヒロインを生き生きと演じ、ワディム・ムンタギロフは、まさに王子の中の王子と呼ぶべきエレガンス、華麗な技巧で魅了する」と惜しみない称賛を与える。

Vadim Muntagirov and Marianela Nunez in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Marianela Nunez in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

さらに、日本出身のダンサーたちが多数出演しているのも見どころで、森氏は「別公演ではシンデレラ役にも配役されている日本出身のプリマ金子扶生は、優しくシンデレラを導く仙女を気品と温かみのある演技で演じ、そして、主役を食うほどの活躍を見せる義理の姉たちのひとりを日本出身のアクリ瑠嘉が女装して抜群のユーモアで演じる。さらに道化役には目覚ましい活躍を見せる若手の中尾太亮が高い跳躍や美しいつま先で鮮烈な印象を与え、四季の精のうち秋の精を、やはり日本出身の崔由姫が踊るなど、今回も多くの日本出身のダンサーが活躍を見せているのも嬉しいところだ」と解説。なお、アクリ瑠嘉は、SPICEインタビュー記事( https://spice.eplus.jp/articles/319066 )も是非併せてお読みいただきたい。

Fumi Kaneko in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Gary Avis and Luca Acri in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Yuhui Choe in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

世界トップクラスのスターダンサーたちによる、夢とときめきと笑いに満ちた華やかなバレエ作品。単なるおとぎ話に留まらず、ファンタジーと共にドラマと人間味にあふれたロイヤル・バレエの『シンデレラ』には、観た人誰もが幸せな気持ちになる、バレエの魔法がつまっている。ぜひ映画館の大スクリーンで楽しんでほしい。

Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Fumi Kaneko in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Gary Avis and Luca Acri in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

Mayara Magri in Cinderella, The Royal Ballet ©2023 Tristram Kenton

※森菜穂美氏(舞踊評論家)『シンデレラ』解説全文は下記URLにて閲覧可能です↓

森菜穂美氏(舞踊評論家)『シンデレラ』解説全文はコチラ

上映情報

『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23』
ロイヤル・バレエ『シンデレラ』全3幕
The Royal Ballet  Cinderella

©2023 Sebastian Nevols

(2023年4月12日上演作品/上映時間:3時間14分)
 
【上映劇場】
北海道 札幌シネマフロンティア 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
宮城 フォーラム仙台 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
東京 TOHOシネマズ 日本橋 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
東京 イオンシネマ シアタス調布 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
千葉 TOHOシネマズ 流山おおたかの森 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
神奈川 TOHOシネマズ ららぽーと横浜 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
愛知 ミッドランドスクエア シネマ 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
京都 イオンシネマ 京都桂川 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
大阪 大阪ステーションシティシネマ 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
兵庫 TOHOシネマズ 西宮OS 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
福岡 中洲大洋映画劇場 2023/6/16(金)~2023/6/22(木)
 
【振付】フレデリック・アシュトン
【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ
【舞台美術】トム・パイ
【衣装デザイン】アレクサンドラ・バーン
【照明デザイン】デヴィッド・フィン
【映像デザイン】フィン・ロス
【特殊効果】クリス・フィッシャー
【振付指導】ウェンディ・エリス・サムズ、ギャリー・エイヴィス
【指揮】クン・ケッセルズ
【演奏】ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
 
【出演】
シンデレラ:マリアネラ・ヌニェス
王子:ワディム・ムンタギロフ
シンデレラの義理の姉たち:アクリ瑠嘉、ギャリー・エイヴィス
シンデレラの父:ベネット・ガートサイド
仙女:金子扶生
春の精:アナ=ローズ・オサリヴァン
夏の精:メリッサ・ハミルトン
秋の精:崔由姫
冬の精:マヤラ・マグリ
道化:中尾太亮

 
【STORY】
1幕シンデレラの父の家で
シンデレラの義理の姉たちは、お城での舞踏会に招かれてうきうきしている。だがシンデレラは家で留守番をして一日中掃除に励まなければならない。一人になったシンデレラは、母が存命中の時の幸せな日々を思い出す。父もその頃を懐かしんでいるが、シンデレラを慰めようとすると叱ってくる、怒りっぽい義理の娘たちのことを恐れている。
 
謎めいた女性が助けを求めてやってくるが、義理の姉たちは彼女を追い払おうとするところ、シンデレラはパンを与える。女性は優しい視線をシンデレラに送り去っていく。
 
洋服屋、美容師、宝石商たちが義理の姉たちが舞踏会の準備をするのを手伝う。ダンス教師と共に、姉たちはガヴォットの稽古をする。シンデレラの父と姉たちは舞踏会に出かけ、一人ぼっちになったシンデレラは寂しい気持ちになる。
 
そこへ謎の女性が再び現れ、仙女だったと身分を明かす。春、夏、秋、冬の妖精たちを呼び寄せ、シンデレラに季節の贈り物を贈る。今までの灰色の日常から離れ、シンデレラは星の中の美しさとファンタジーに満ちた魅惑の世界へと連れられる。優しい心への褒美として、シンデレラは舞踏会へと招かれる。仙女は、時計が12時の針を指すまでに舞踏会を出なければならないと念を押す。その時間には全ての魔法が解けてしまうから、と。四季の精と星たちに導かれ、シンデレラはかぼちゃの馬車で舞踏会へと向かう。
 
2幕 お城
宮廷の道化は舞踏会の始まりを待ち構えている。シンデレラの父と義理の姉妹を始めとする客人が到着する。ファンファーレが鳴り王子の到着を告げる。シンデレラはかぼちゃの馬車に乗って到着し、輝くばかりの美しさで誰もが彼女はお姫様だと思い、義理の姉妹ですら、シンデレラだと気が付かない。王子は彼女の美しさに魅せられ、王国で最も珍しい果物であるオレンジを贈る。客人は散り散りになり、広間に残された王子とシンデレラはお互いの愛を誓う。ワルツで客人たちはまた集まり、舞踏会で踊るうちにシンデレラは仙女の警告を忘れてしまう。突然彼女は時計が12時の鐘を鳴らすのを聞き、お城から走り去るがガラスの靴の片方を階段に落としてしまう。嘆く王子はこのガラスの靴を拾い、愛する女性を探し当てると誓う。
 
3幕 宴の後で
シンデレラは再び自宅の暖炉の前に戻り、お城での出来事はすべて夢だったのかしらと想う。エプロンのポケットにあるガラスの靴は、彼女が本当にお城の庭園にいて王子にと踊ったことのしるしだった。義理の姉妹も帰宅し、舞踏会での楽しかった夜を自慢げに語る。
王子がやってきて、ガラスの靴を落とした若い女性を探しているという。義理の姉妹は二人とも、足を繊細な靴の中に押し込もうとする。姉妹を手伝おうと跪いたシンデレラのポケットから、もう片方のガラスの靴が落ちる。王子は、粗末な身なりのシンデレラが、舞踏会での美しいお姫様であることに気が付く。仙女が現れ、二人は祝福されて幸福の光に満たされ永遠の愛を誓う。
 
■公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/
■配給:東宝東和
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