原作とオリジナル要素の融合は「期待以上の見応えに」~舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚- 泰江和明×佐藤永典×岡本悠紀インタビュー
(左から)佐藤永典、泰江和明、岡本悠紀
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-が2023年8月11日(金・祝)〜8月20日(日)、東京・シアター1010にて上演される。原作は顎木あくみ著、月岡月穂イラストによる小説「わたしの幸せな結婚」。異能者の名家出身である斎森美世との政略結婚を経た久堂清霞が率いる帝都陸軍・対異特殊部隊の闘いを描いたオリジナルストーリーが展開される。
稽古もいよいよ終盤に差し掛かったタイミングで、久堂清霞役の泰江和明、辰石一志役の佐藤永典、孤月役の岡本悠紀にインタビュー。役作りや見どころについて、たっぷりと語ってくれた。
ーー稽古の手応えはいかがですか?
泰江:頑張っていますよ!
岡本:各セクションを固めていっているところですね。
佐藤:体感としては、まだ3日くらいしかたってない感じがします。
泰江:そう、アクション量が膨大なんですよ! 今はそこに一番頭を使ってる状態かもしれないですね。
泰江和明
岡本:御霊月魄(みたまげっぱく)部隊も、今は全員でディスカッションをしているところ。氷輪役の(松原)凛と、玉兎役の(佐藤)祐吾 、アンサンブルの子たちで個性の出し合いです。
ーー現時点での役作りについてお聞かせください。久堂清霞は、異能者の名家に生まれた若き帝都陸軍の対異特殊部隊隊長という役どころです。
泰江:すごく難しいですね。カッコよさ、クールさをどう表現するのか……ずっと苦戦しています。みんなと同じ熱量を凝縮しつつ、前に出していくのはどうすればいいのかと。今作はオリジナルキャラクターたちが素敵に仕上がっていて、圧倒的に強い。原作との融合が見どころになってくるのですが、そこに負けないための久堂清霞を模索し続けている状態です。
ーー久堂清霞役は、オーディションで決定したそうですね。
泰江:もともと「わたしの幸せな結婚」はオーディション前から漫画を読んでいたので、これほど大きな作品のキャラクターを演じられることができて本当に嬉しいです。僕、自分の名前に“和”が入っていることもあって、時代ものの作品が好きなんです。実は、オーディションの時は一発で納得のいく演技ができなくて。「ちょっと待ってもらってもいいですか?」とお願いして、何回もトライさせてもらいました。
佐藤:そうだったんだ。
佐藤永典
泰江:もちろん、一発で自分の思う演技をするのが一番カッコいいんですけど、自分の中で納得できるものを絶対に届けたかったんです。その時から久堂清霞のカッコよさについてずっと考えてきました。オーディションのセリフは戦うシーン、美世とのシーン、上官らしいシーンの3種類があって。それぞれプロフェッショナルなカッコよさ、キュンとするカッコよさ、荒々しいカッコよさの違いは今でも意識しています。
岡本:……ちょっと、キュンとしたカッコよさを見てみたいなぁ?
泰江:今ですか!? ここじゃ恥ずかしいです!
ーー辰石一志は、久堂家の麾下に入った辰石家の当主。本作ではどのようにストーリーに関わるのか、非常に気になるキャラクターです。
泰江:一志さんも難しいですよね。他の原作キャラに比べると圧倒的に情報量が少ない。
佐藤:そうですね。ちょうどこの取材の前に、アニメに初登場した回の放映があって。こういう声なんだって初めて知ることができました。そのあたりも意識しつつやっていこうかと考えているところです。
泰江:でも、永典さんって“圧倒的一志感”がありません?
岡本:わかる! ミステリアスだから?
岡本悠紀
佐藤:そう、一志は謎が多いんですよね。他のキャラクターたちが明確な目的を持っている中、何を考えているかわからない。そこが楽しくもあり、オリジナルストーリーならではの自由さもあり。演じ甲斐を感じています。
岡本:僕ね、キャラクタービジュアルが出来上がったときにビックリしたんですよ。今回初共演っていうこともあって、どんな方なんだろうって見てみたら……佐藤永典さん、お顔が整いすぎじゃない!?
佐藤:(笑)。実物見て落胆してません? 大丈夫でしたか?
岡本:してない。本当に綺麗!
佐藤:よかった(笑)。
ーー孤月は、無念のうちに命を落とした異能者を封じ込めた墓場―オクツキ―から暴かれた怨念として、御霊月魄部隊を率いています。
岡本:孤月は隊長という役どころですので、カズが演じる清霞とは敵同士であり大将同士。そこに向けたドラマを密に作り上げていきたいですね。作品の要になるポジションでもあるので、どう悲しみの渦へと巻きこんでいけるのかが勝負。そこを遠慮しないよう、僕が率先して矛を振り回したい。矛のアクションも初挑戦ですし、殻を破るために必死に殺陣を覚えているところ(笑)。怨霊として恨みを爆発させる演技は、俳優冥利に尽きますね。
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-稽古場より
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-稽古場より
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-稽古場より
ーー本作における完全オリジナルキャラクターであり、悪役というのも重要なポイントですね。
岡本:参考がないので、どう味付けをしようかと考えているところ。いろんな映画に登場する悪役を見ながら要素を拾いつつ、自分になるべく寄せないようにはしたい。世界観にマッチしたものを作り上げたいですし、出演が決まった時からずっとどう表現しようかとチャレンジしています。
ーー稽古場は和気あいあいとした印象を受けましたが、雰囲気はいかがでしょうか?
泰江:楽しいです! このメンバーでいうと悠紀さんはご一緒したことはありますが、佐藤さんとは初めましてでしたもんね。
佐藤:共演は初めてですが、僕は一方的に知ってました。お二人が出ているミュージカル『新テニスの王子様』を観ていたので。
岡本:おっ、嬉しい!
(左から)佐藤永典、泰江和明、岡本悠紀
泰江:ありがとうございます!
岡本:僕、カズとは4回目の共演なんですけど、初対面の時からとにかくいい子だなって思っていました。
泰江:僕が初めて2.5次元作品に出演したときに共演させていただいたんです。右も左もわからなくて……。
岡本:歌のこともたくさん聞いてくれたし、すごく踊れる子だったよ。今回、カズが座長を務めると知ったときは、嬉しすぎてすぐ連絡したくらい。「本当におめでとう」「一緒に作品を盛り上げていこうね」って。もう、頼もしいんです。稽古が早めに終わったときも「残れる人で殺陣稽古しませんか?」って声かけてくれますし、巻き込み型のエンターテイナーなんですよ。
佐藤:そう。一生懸命、先陣を切ってくれるし、本人も楽しそうだし、僕らも楽しい。役としても隊長だから、座組のまとめ役としても意識して接してくれている。(対異特殊部隊ではない)外部側の僕たちにも気を遣ってくれて、やりやすいです。
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-稽古場より
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-稽古場より
舞台「わたしの幸せな結婚」-帝都陸軍オクツキ奇譚-稽古場より
ーー泰江さんにとって、本作が初主演。やはり特別な思いがありますか?
泰江:ありますね。最初の頃より、稽古をしている今のほうがより感じています。とにかく皆と話したいんです。普段はどちらかというと遠慮してしまうタイプなんですけど、今回は全員と関わりたい。メインキャストもアンサンブルの子も、スタッフさん含めこの作品に関わってくださる方全員の名前を覚えておきたい。意識しているわけじゃないんですけど、これが座長の気持ちってやつなのかな? とにかく今は、ルンルンしながら稽古してます。
岡本:最高。
佐藤:素晴らしいね。
佐藤永典
泰江:稽古に入る前から、キャストの方々のこともたくさん調べて「こんな人たちと一緒にできるんだ!」ってワクワクしてたんですよ。「みんな、イケメンだ!」って(笑)。とにかく、自分に出せるものを全部出そうと心に決めて臨んでいます。
ーー本作の見どころを教えてください。
泰江:「わたしの幸せな結婚」という素晴らしい作品が、舞台化される第一作目。演出の三浦香さんが考えてくださったトリックも含め、舞台としての表現を純粋に楽しんでいただきたいです。原作のキャラと、オリジナルキャラクターが噛み合うのも見応えがあるはず。僕も稽古しながら面白さを感じています。
岡本:カズ自身の見どころは?
泰江:ずっと見どころです!
岡本:(笑)。じゃあ、僕が代わりに言いますね。カズって、今までこれほどまでに男前なキャラを演じることってあまりなかったはずなんです。それなのに、本読みの時に「久堂清霞だ」と言った瞬間、とにかくカッコよかったんですよ。カズが隊長として、久堂清霞をリンクさせていた。普段の姿を知っているからこそ、役者はこんなにも豹変するんだって。
岡本悠紀
佐藤:たしかに。ギャップがありますよね。
岡本:今回の役は自分に寄せていくのって、無理でしょ?
泰江:そうですね。一方的にずっと僕が寄りに行っています。
岡本:だからね、そのギャップを存分に味わっていただきたいです。
佐藤:もうすでに、お二人が溢れ出るほどに見どころを言ってくれたんですが(笑)。言葉の綺麗さにも注目してほしいですね。この時代ならではの言葉遣いで交わされるやりとりが、美しさや緊張感を醸し出している。そこがうまく伝わると嬉しいですね。
岡本:僕からは、御霊月魄部隊という舞台ならではの設定を。オリジナルキャラクターとして作品に溶け込むプランを、必死で出し合っています。衣裳や武器も多種多様でかっこいいですし、怨念としてのダークなパフォーマンスにも注目してほしいです。
ーー最後に、お客様へのメッセージをお願いします。
泰江:この記事を読んでくださっている方は、どんな作品になるんだろうとドキドキワクワクしてくださっているはず。皆さんが期待している、期待以上の“わた婚”が見られると信じていただいて大丈夫です。原作キャラもオリジナルキャラクターも、アンサンブルの役どころも一人ひとりにしっかりキャラクターがついていて、作品愛や魅力にあふれています。残りの稽古期間で、しっかり作り上げていきます。
泰江和明
佐藤・岡本:(拍手)
泰江:お二人も。言い残したことないですか?
佐藤:目指せ、続編!
岡本:あ! それ、言おうかどうかちょっと迷った(笑)。
佐藤:言っていきましょう!
岡本:じゃあ僕も、怨念としてまた出られるように頑張ります!
泰江:できれば、今作でしっかりはらっておきたいところですが……果たして、どうなるのか。ぜひ劇場でご覧ください!
(左から)佐藤永典、泰江和明、岡本悠紀
取材・文=潮田茗 撮影=池上夢貢
公演情報
【会場】シアター1010
【原作】テレビアニメ「わたしの幸せな結婚」
【脚本・演出】三浦 香
【協力】顎木 あくみ(株式会社 KADOKAWA/富士見 L 文庫)
【音楽】 TAKA
【出演】
久堂清霞:泰江和明
五道佳斗:森田桐矢 鶴木 新:菊池修司 辰石一志:佐藤永典 堯人:中山咲月
松平士道:井澤巧麻 嶺 勘太:久保侑大 村雨義也:紘太朗
明原壮平:木村聖哉 最上 勇:辻 凌志朗 大海渡 征:佐々木 崇
氷輪:松原 凛 玉兎:佐藤祐吾 孤月:岡本悠紀
佐久本歩夢 高岩芯泰 武中隆之介 橋本有一郎 藤村リュウト 古川一哉
【料金】9,900円(全席指定/税込)
【公式サイト】http://www.watakon-stage.net/
【公式X(旧Twitter)】@watakon_stage
【公式Instagram】watakon_stage_official
【公式ハッシュタグ】#舞台わた婚
【主催】舞台「わたしの幸せな結婚」製作委員会