ハンブレッダーズ『RUSH BALL 2023』ライブレポートーーここで鳴る音楽は全ての人の味方、4人で果たした気合いのリベンジ

レポート
音楽
2023.8.27
ハンブレッダーズ 撮影=渡邉一生

ハンブレッダーズ 撮影=渡邉一生

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『RUSH BALL 2023』ハンブレッダーズ

ハンブレッダーズ

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太陽が雲に隠れ、風が吹いて暑さがやわらいだ時に登場したのは大阪出身のハンブレッダーズ。ムツムロアキラ(Vo.Gt)が「去年は3人でライブをしたので、今日こいつがいないとできない、そんな感じで始めようと思います」と言うと、でらし(Ba.Cho)が勢いよくベースソロを放つ。グルーヴィで猛烈なスラップに観客は歓喜! 昨年の『RUSH BALL 2022』はでらしがコロナに罹患したことから、ムツムロがベースを弾き、木島(Dr)とukicaster(Gt)の3人で出演した。今年はそのリベンジ回。また、昨年までサポートだったukicasterが正式メンバーとなって初めての『RUSH BALL』でもある。「ワールドイズマイン」「THE SONG」とベースイントロの楽曲を続けて披露し、ムツムロが「4人で『RUSH BALL』に出るのは2年ぶり。どう?」とでらしに聞くと、「何か帰ってきた感じする。地元感があるっていうか」「唯一栃木県出身なんですけど。それでもホームになってきてるってことだね」(ムツムロ)、「そういうことです!」(でらし)と晴れやかな笑顔を見せる。

ハンブレッダーズ

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その後も各々の見せ場たっぷりに勢いを加速。「東京」では「2年半前に東京に引っ越して、何か変化するかなと思ったんですけど大きくは変わらなくて、大阪でバンドやってた頃のままの自分がいました。自分の人生にはお金とか権力とか繋がりとか、そんなに大事じゃなかったんだなって。最低限のものだけあれば良かったんだなって気づきました。6年間『RUSH BALL』に出させてもらってるので、敢えて大阪でこの曲をやろうと思って持ってきました」と伝えて、心を込めて丁寧に音を奏でる。それは変わらず元気にやってるよ、という地元への嬉しい便りだ。

ハンブレッダーズ

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「『RUSH BALL』はやっぱり特別な思い出があって。6年前、ATMCステージで初めてやって。俺その時までフェスに来たことがなかったんですよ。初めて『RUSH BALL』に出て不安だったけど、全然心配なかった。音楽好きな人たちが集まってるから輪の中に入れてもらえてすごく嬉しかった。ヒット曲とか、めちゃめちゃバズった曲があるわけじゃない俺たちがメインに立たせてもらってるのは、真っ直ぐロックが好きでそれだけを歌ってる、その気持ちを買ってくれてるのかなと思ってます。ハンブレッダーズという4人は多分このまま変わらないんで、この先も付かず離れずの距離で応援してください。いつもありがとう」。そう語るムツムロの表情は嬉しそうで、どこか誇らしげだった。

ラスト2曲、「DAY DREAM BEAT」でクラップとシンガロングを巻き起こし、「弱者の為の騒音を」で力強く轟音を響かせて、最高に気持ち良いステージを終えた。彼らが鳴らした「1番デカい音」はここに集った全ての人の味方だった。

ハンブレッダーズ

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ハンブレッダーズがライブを終えた時、ステージと客席側は綺麗な夕陽、ステージの背中側は曇天という実に不思議な天気になっていた。やがてぽつぽつと雨が降り出し、雷が発生。豪雨はまもなく止んだが雷が鳴り止まず、1日目の『RUSH BALL 2023 25years Goes On!』は、ATMCのサウンドチェックを行なったところで中止となってしまった。安全を第一に考慮した苦渋の決断。これまでどんな困難があっても諦めずにやり続けてきた『RUSH BALL』だけに、主催者、出演者、観客、スタッフ、全員に悔しい想いをもたらした。

中止のアナウンスがなされてから、FM802 DJの大抜卓人がずっとステージに立ち続けていたのが印象的だった。暗闇で背後に雷が光る中、観客に「まだ後に控えるアーティストに事情を説明し、最終的に中止を決定しました。長いこと待ってくれてありがとうございます」と感謝を述べて経緯を説明し、「皆さんの表情は美しかった。ばっちりおさめております」と敬意を示したMCで、安全を確保しつつも不安を和らげようとコミュニケーションを取る。大抜も長年『RUSH BALL』を見守ってきた1人だ。様々な人の想いを背負ってできることをやる。そんな気持ちでステージに立っていたのではないだろうか。やはり『RUSH BALL』は人の顔が見えるイベントだなと思う。最初は不安げだった観客も、安心したように拍手や歓声で応えていた。初日はこうして幕を閉じることになったが、25周年の『RUSH BALL 2023』はまだ続く。成功を願って初日のレポートを終えよう。

取材・文=久保田瑛理 撮影=渡邉一生

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