新たな興味の扉をひらく2日間! 角野隼斗、亀井聖矢ら多彩なアーティストのコラボに、マングースも演奏!? 『スタクラフェス2023 ONLINE』開催レポート
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■2日目:“For the future” DAY
続く2日目は“For the future” DAY。ボーダーレスな活躍をする気鋭ミュージシャンたちが次々登場する1日だ。
1組目は「山田和樹×ぱんだウインドオーケストラ」。東京芸術大学時代の同級生を中心とした凄腕管楽器奏者集団とヤマカズさんがタッグを組み、“吹奏楽への先入観の破壊(!)”をテーマに活動しているだけあって、その場で生まれる生きたアンサンブルの妙がすばらしい。吹奏楽を勉強する若いみなさんにぜひ聴いてほしい、「セント・アンソニー・ヴァリエーションズ」「たなばた」など、人気曲がヴィヴィッドに奏でられた。
アンコールの「宝島」は、もはや指揮をするというより踊っているヤマカズさんを前にメンバーが生き生きとした音楽を奏で、まさに音も踊っているよう。爆発的なエネルギーとともに閉じられた。
山田和樹×ぱんだウインドオーケストラ
山田和樹、上野耕平
この日はスペシャルなデュオも目白押し。
「紀平凱成× Special Guest サラ・オレイン」は、ひまわりのようなイエローのドレスに身を包んだサラ・オレインのなめらかな声やヴァイオリンと、紀平の、きらめき、自由に遊び、駆け回るピアノのコラボレーション。紀平はカプースチンと自作品を多く取り上げ、クラシックに限らずジャズやロック、ポップスと、さまざまなジャンルを絶え間なく横断する。リラックスした様子で心底音楽を楽しんでいるような姿が見え、こちらも肩の力を抜きながら、かつエキサイティングに紀平の音を堪能できて楽しい。サラ・オレインが登場すると、映画『戦場のメリークリスマス』より坂本龍一の「Somewhere Far Away」、それに続くカッチーニの「Ave Maria」を披露し、それまで強いビートが流れていたステージには伸びのある声が響き、雰囲気が一変。ヴァイオリンと歌を行き来しながら、紀平と息の合ったパフォーマンスをみせた。
紀平凱成×サラ・オレイン
「菊池亮太×ござ」による2台ピアノのステージは、クラシックの名曲をベースに、自由自在、ジャンルレスに、予想外の場所に音楽が展開してゆく、即興的かつエキサイティングなステージ。デュオだけでなく、それぞれのソロ演奏も。まずはござが、オリジナルに比べてアップビートで激しさを増しているショパンの「幻想即興曲」の幻想曲を、次に菊池亮太はグリーグやラフマニノフ、ガーシュウィンなどの名曲を連ねた「20世紀前半名曲メドレー」を演奏。緩やかなテンポがオリジナルであるドヴォルザークの「8つのユーモレスク」第7番は、ジャジーな雰囲気で愉快な様相に。圧巻はラヴェルの「ボレロ」。2台だからこそ「管弦楽の魔術師」ことラヴェルが書いたオリジナルの壮大さが体現され、2人の持つパワーが一層作品にエネルギーを与えていた。
菊池亮太×ござ
一方、「角野隼斗×亀井聖矢」の2台ピアノのペアは、バーンスタインの「キャンディード序曲」でスタートし、亀井の2台ピアノ編曲による「ダンソン」第2番や、亀井が作曲し角野が編曲した「パガニーニの主題による変奏曲」などを披露。なごやかなトークとともに、計算し尽くされた美とライヴ感が共存する、この二人ならではの音楽を聴かせてくれた。
角野隼斗×亀井聖矢
「新進気鋭の若き才能とオーケストラの共演」では、若いピアニストたちが続々登場。
最初に登場したニュウニュウは、まずソロで「クラシック花火メドレー」と題し、ベートーヴェンの交響曲「運命」から超絶技巧作品が数珠繋ぎになってゆくアレンジ作品を披露。まさに鍵盤から火花が散るようなパワフルな演奏だった。髙木竜馬はラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」を、片手の演奏とは思えないような厚く華麗なサウンドで。その高い技巧性に応えるのはもちろんのこと、ジャズや行進曲などのさまざまな曲風を盛り込んでもなお、ラヴェルならではの冷静さを失わず、エスプリを効かせた演奏を披露していた。それに続くのは、石井琢磨のガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」。彼は前日にラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を披露していたが、そこからはすっかり肩の力が抜け、アメリカならではの陽気さとジャジーな曲風に乗りながら、表情を千変万化させていたのが印象的だった。弾けるような力強いタッチで、曽我大介指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と華やかなステージを届けてくれた。
ニュウニュウ
髙木竜馬
石井琢磨
そしてフィナーレを飾ったのは、「STAND UP ! NEW WAVE ~Produced by 亀田誠治 角野隼斗×挾間美帆 Play with the BIG BAND」。亀田が“音楽界の未来を託したい”と期待をよせる角野隼斗と挾間美帆を引き合わせて実現した企画だ。
挟間によるビッグバンドの楽曲に、ピアニストとして角野隼斗が加わる、ライブ感あふれるパフォーマンス。中でも注目は、ラヴェルのピアノ協奏曲をビッグバンドにアレンジした斬新なナンバーだ。ラヴェルの輝かしい色彩感はそのままに、リズムとハーモニーの遊びはオリジナル以上。原曲のミステリアスな美しさを尊重した2楽章、ジャズの疾走感とともにどこまでも旅に出て、最後にはしっかりとラヴェルの世界に帰着する3楽章。すばらしい才能が手を組んだからこそ成し得た新しい音楽、新しい波を感じる、最高のフィナーレとなった。
亀田誠治、角野隼斗、挾間美帆
2日間、このメンバーがこのコンセプトで集ったからこそ生まれた、数々の音楽との出会いがあった。最後の演奏のあとの「こんな大冒険をさせてもらえて嬉しい」という挟間の言葉、角野の「クラシックではまだまだ新しいことができるんじゃないかと日々思っている」という言葉が、クラシックの魅力を起点にどこまでも冒険をしてみようというこのフェスのコンセプトを、そのまま表していたように思えた。
『SAISON CARD presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL’23 ONLINE』は、イープラス・Streaming+にて9月12日(火)23:59までアーカイブ配信中(視聴券購入は9月11日(月)11:59まで)。
取材・文=高坂はる香、桒田萌
配信情報
■アーカイブ配信期間
2023年9月12日(火)23:59まで
イープラス「Streaming+」にてアーカイブ配信
(視聴券購入は 2023年9月11日(月)11:59まで)
■プログラム
◇“のだめカンタービレCLASSIC” DAY
《 出演者 》
指揮者:茂木大輔
オーケストラ:のだめ祝祭管弦楽団
コンサートマスター:長原幸太
ソリスト:石井琢磨、上野耕平、大井健、亀井聖矢、川越未晴、久保山菜摘、小林萌花(BEYOOOOONDS)、堺裕馬(REAL TRAUM)、角野隼斗、高島健一郎(REAL TRAUM)、鳥尾匠海(REAL TRAUM)、中江万柚子、Budo、宮本笑里、最上峰行、吉田桃子
◇“For the future” DAY
《 出演者 》
石井琢磨、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、亀井聖矢、亀田誠治、菊池亮太、紀平凱成、ござ、サラ・オレイン、角野隼斗、曽我大介、髙木竜馬、挾間美帆、ニュウニュウ、山田和樹×ぱんだウインドオーケストラ
■通常視聴券
視聴券:4,000円(税込)
2日視聴券:7,000円(税込)
■特典付き視聴券
特典付き視聴券:8,500円(税込)
特典付き2日視聴券:11,500円(税込)
□2日視聴券
“のだめカンタービレCLASSIC”DAYと“For the future”DAYを両方ご覧いただけるお得な視聴券セットです。
□特典情報
のだめカンタービレの原作者二ノ宮知子さん書下ろしイラストがデザインされた特製レザーブックカバーです。主要キャラクターと、のだめカンタービレCLASSIC DAYに出演する以下のメンバーのイラストが描かれております。
★描かれるアーティスト(順不同)
茂木大輔 石井琢磨 上野耕平 大井健 亀井聖矢 小林萌花(BEYOOOOONDS) 角野隼斗
※特典は公演終了後発送いたします。
※特典追加 4,000円(特典付き視聴券または特典付き2日視聴券をご購入の方のみ追加購入可能)
【注意事項】
視聴方法:ご入金確認後メールで視聴URLをお知らせしますので購入時のイープラスID/PWでログインしてください。
(申込状況照会からも「視聴詳細ページ」を表示いただけます)
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楽曲権利の都合上、再配信時にカットされる楽曲やシーンがある場合があります。
主催:イープラス/ライブエグザム
共催:横浜市にぎわいスポーツ文化局
後援:J-WAVE
協力:講談社
特別協力:東急株式会社・東急電鉄株式会社
特別協賛:クレディセゾン
※公式サイトにて、アーカイブ配信視聴に便利な全曲紹介付きタイムテーブルや、ダイジェスト動画を公開中https://standupclassicfes.jp/