胸キュンの緊張を克服、きっかけは……俳優としての現在地に迫る~『中川大輔 Fan Event 2023 -THEATER-』インタビュー
モデル・俳優として活躍する中川大輔のファンイベント『中川大輔 Fan Event 2023 -THEATER-』が2023年11月19日(日)、東京・神田明神ホールで開かれる。3度目の開催となるファンイベントのコンセプトは、“俳優・中川大輔”。構想や詳細はもちろん、出演中のテレビドラマについてなど、俳優としての現在地に迫った。
――昨年の『ATELIER』はアートをテーマにしたイベントでした。中川さんが手がけた油絵やオブジェなどが展示されたそうですが、振り返ってみていかがですか?
手応えとしては、僕ならではのイベントにできたと感じました。作品制作をかなり頑張ったので、そこはお客さんにも伝わった気がします。展示していた作品の本体は、イベントのビンゴで当たった人にお渡ししたんです。皆さん、飾ってくれてるんでしょうかね? 今どうなっているのか、この世に存在しているのか気になります(笑)。ファンイベントまでの2~3か月くらいは仕事以外の時間を全部費やして描いてきたものだったので、大事にしてもらえていたら嬉しいな。今回のイベントの時に、もし前回当たったお客さんがいらしていたら聞いてみたいですね。
――特にお気に入りの作品や、裏話などがあれば教えてください。
実はイベントのときに「とても嬉しいことがあったときに描いた絵です」とお伝えしていた抽象画ですが……あれは『舞いあがれ!』の台本を読んでテンションが上がった勢いで、バーッと描いたもの。当時はまだ情報解禁がされていなかったので詳しく言えず、ここまで来てしまいました(笑)。油絵のレプリカは受注販売を行ったので、どれが人気だったのか反応がわかって面白かったですね。一番人気は「向日葵とマジョリカ壺」でした。最初に取り組み始めた絵でしたし、一番時間をかけてこだわって描いたもの。かけた熱量や時間は自然と伝わるのかなって実感しました。
――今年のテーマは『THEATER』。どんな思いで決定されたのでしょうか?
俳優を始めて5年、自分のお仕事としてメインになってきている今だからこそ、演じることをテーマにしたかったんです。昨年のイベントでのお客さんとの即興劇もきっかけの一つ。お客さんにシチュエーションやセリフを考えてもらって、その場で応えていくという……これが結構うまくいったんです。即興劇自体は演技レッスンやワークショップでもよくやっていて、僕自身いつも面白く挑んでいます。人によって趣味嗜好や癖みたいなものが、シチュエーションに出てくるのが面白いんですよ。今の時点では、ぜひ今年もやりたい。ノリノリで壇上にあがってくださる方もいれば、見ているだけでいいって方もいると思うんです。僕がもしお客さんの立場なら後者だろうから、その気持ちもわかります。どちらのスタンスでも楽しめるようにしたいです。
――現時点での構想として、他にやってみたいことなどはありますか?
どんな形にできるかはまだ具体的ではないのですが、今まで演じてきた役の振り返りのようなものはしてみたいです。お客さんの中には、演じた役を通して好きになってくださった方もいらっしゃるはず。ただ、続編がない限りは一度演じた役はもう見る機会がなかなかないじゃないですか。僕も久しぶりにセリフを言ってみたり、演じてみたりしてみたいなと考えているんです。
――もし、皆さんの前でこれまで演じてきた役のなかでもう一度演じるとしたら、やりがいのありそうな役は?
『仮面ライダーゼロワン』で演じた迅/仮面ライダー迅は、精神年齢が5歳児の役。演じていたときよりも年齢を重ねている分、より頑張らなきゃいけないかも。ぐっと力を入れないと難しそうですね。『ボイスⅡ 110緊急指令室』の片桐優斗はサイコパスで、怒鳴るシーンもありましたし、ファンイベントの空気感でやるならスイッチを入れないといけないかもしれないです。入りやすさでいうと、等身大の役のほうがもしかしたらやりやすいかも。『花嫁未満エスケープ』の松下尚紀や『モアザンワーズ/More Than Words』の永慈は自分と近かったですね。今、撮影中の『コタツがない家』の徳丸康彦も、2級建築士の勉強をしてカフェでバイトをして……というところも含めて、ほぼ僕自身なので(笑)。
――『コタツがない家』は撮影中(取材時点)とのこと、演じてみて感じた役の印象などお聞かせください。
金子(茂樹)さんの書かれる脚本が本当に面白くて、台本をいただいたら我慢できずに帰り道にはもう読んじゃってます。先の読めない台本すぎて、僕自身も康彦が何を考えているかわからない(笑)。すごく難しいです。ホラン(千秋)さん演じる(八塚)志織とは、一緒にいたいけど結婚はしたくない……僕は「一緒にいたいなら結婚しちゃえばいいじゃん」って思うタイプなので、理解する感覚がまだ掴めないんです。実は結構重たいシーンも多いですし、監督と毎回話し合いながらやっています。今、意識していることはとにかく志織にとって最大の壁であること。バトル漫画でも、倒せなさそうな敵ほど燃える展開になるじゃないですか。なので、できるだけ「こいつ、絶対結婚しなさそうだな~」って感じを出していくつもりです(笑)。
――同クールでは『くすぶり女とすん止め女』にも本間隼斗役で出演中。こちらもかなり挑戦的な役どころですね。
香音さん演じる工藤ほのかがマッチングアプリで出会う“2位の男”なんですが、こちらはかなりかっこいい男。モテているし、仕事も芯があってちゃんとやっている。キュンキュンしたり、大人っぽいシーンもあったり。胸キュンシーンを演じるのは楽しいですね! 前まではプレッシャーを感じるタイプでした(笑)。楽しく思えたのは、先日出演させてもらった「Seventeen夏の学園祭2023」がきっかけ。胸キュンセリフをアドリブで言うコーナーがあって、毎年とても緊張していたんですが……徐々に鍛えられたのか、今年はお客さんが沸いてくれたんですよ。芸人さんが、舞台で笑いを取れた感覚に近いのかも(笑)。胸キュンシーンを楽しめるようになったタイミングで、隼斗を演じられて良かったです。
――イベントのテーマにちなんで、俳優としてのキャリアについて。現在、ご自身ではどんな手応えを感じていますか?
最初の頃はなんとなく「演技が楽しい!」「撮影現場って面白いな」っていう気持ちが先行していました。お仕事としてのお芝居の楽しさをきちんと持てるようになってきたのは、大学を卒業したあたりから。自分の感情だけじゃなく、お仕事として求められるものをしっかり考えた上で演じるのが楽しくなっていったんです。相手役の方ともやりやすくなりましたし、監督ともきちんと話せるようになった。今はプロとして俳優をやっている方々、憧れてきた方々にもちょっとずつ近づいていけてるのかなと思っています。
――現在の中川さんにとって、憧れの先輩は?
今は、とにかく小池栄子さんのテンポ感に憧れています。『お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ』でもご一緒させていただいたときから、間近で見ていて圧巻でした。今後はコメディもやっていきたいので、勉強させていただいています。
――俳優としての、今後の目標を教えてください。
大河ドラマや朝ドラのように、1年くらい長い時間をかけて同じ役を演じてみたい。『仮面ライダーゼロワン』で経験したときも、役への理解がどんどん深くなっていくのを感じていて。『鎌倉殿の13人』で北条政子を演じた小池さんにも、お話を聞いてみたんです。「途中から、なんの準備をしていなくても、セリフを入れて現場に行くだけで自然と心が動く」っておっしゃっていて……きっと、1クールのドラマとはまた違う役への入り方なんだろうなと。それを経験してみたいです。
――俳優として、大事にしていることは?
体調管理は意識しています。今まで体力的には無敵状態だったんですけど、25歳を過ぎると油断したら不調が来るようになってしまい……気を付けないとなと(笑)。ギリギリまで台本や役に向き合っていたい気持ちはありますけど、睡眠時間の確保も含めて天秤にかけなきゃいけないこともたくさんある。時間の使い方も工夫しないといけないですね。
――ファンイベントは、昨年ぶりとなるファンの方々との再会の場。この1年、中川さんにとってどんな変化がありましたか?
どうでしょう、変わったのかな? お仕事でいうと、ポイントでの役どころだけでなく、物語に深く関わっていく役を演じられるようになってきた感覚はあります。今、演じている『コタツがない家』の康彦も、物語のテーマを問いかける役どころ。そういう役ができるようになってきたのは実感していますね。僕自身は、きっと何も変わっていません。
――今回のグッズでも、デザインを手掛けられたそうですね。
クマのイラストは、僕が描きました。ZINE(自主制作小冊子)のほうで使ったクマのぬいぐるみを『THEATER』のテーマにかけて、ポップコーンを持って映画を見ているというコンセプト。うまく描けたので、自分でも気に入ってます(笑)。まだ名前を付けていないんですよ。ファンの方から募集してみるのも楽しそうですね。他のグッズも、僕の好きな映画を意識して撮影するなどこだわりが詰まっています。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
迷っている方や、ちょっとでも興味を持っている方は来てください。絶対に楽しませます!
取材・文=潮田茗、撮影=中田智章
イベント情報
【第一部】開場 11:45 / 開演 12:30
【第二部】開場 15:45 / 開演 16:30
※全席指定席
※ドリンク代別途600円
※3歳以上有料
【販売期間】10月14日(土)10:00~
【URL】https://eplus.jp/nakagawadaisuke/
※お一人様4枚まで
■企画・制作:研音・フォーティワン