池田純矢と宮崎秋人が知る稽古場の「秘密」とは!?舞台「七つの秘密」インタビュー
池田純矢、宮崎秋人「七つの秘密」
とある小さな会社で繰り広げられる、秘密を抱えた男女7人の物語。
焦りが新たな秘密を生んで、社内は混乱。人間関係も大混乱。その混乱の果てにあるものは…!?
G2×松尾貴史のAGAPE store復活公演第2弾「七つの秘密」が1月15日(金)から24日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて、1月29日(金)~31日(日)まで大阪・近鉄アート館にて上演される。コントユニット「男子はだまってなさいよ!」の主宰を務めるのみならず、脚本家、放送作家、映画監督としてマルチな活動を続ける細川徹を脚本に迎えての期待の新作。
本作に出演する若手俳優・池田純矢と宮崎秋人に話を聞いてきた。二人の口からこの座組みのどんな「秘密」が飛び出すのやら。
――池田さんは「ベイビーさん」以来2度目、宮崎さんは初のG2さんの舞台ですね。やってみていかがですか?
宮崎:普段ここまで細かく段取りとかやってこなかったので、今までになくお芝居に向き合っている実感がありますね。
池田:「慣れ」はないですけど前回と全く違う作品で、また、再演という訳でもないので、新鮮な気持ちでやっています。コメディで、軽いストーリーで口あたりまろやかな(笑)作品ですがG2さんの演出となると、しっかり緻密に積み重ねていくのは前回同様だと思います。
池田純矢「七つの秘密」
宮崎秋人「七つの秘密」
――今回演じる役はどんな人物ですか?タイトルの「秘密」とどう絡んでいくかも気になりますが。
宮崎:僕が演じる「鈴木」はシルビア・グラブさん演じる「川島」に片思いしている役なんですが、自身のイメージと激しいギャップのある「秘密」を持っている役。ただただマジメに生きているがマジメが過ぎて変な方向に進んでいる役。面白みはないですよ。言い方は難しいですが面白くないのが面白い役。以上!…例の「あの」シーンは秘密とは関係ないところで面白いかな!?普通に見えている人が人とずれて見えたときに面白く見えるという感じで。だからこそいかに普通に見せるかが大事だなと思っています。
池田:僕が演じる勅使河原(てしがわら)は、自分のことがかっこいいと思っているブサイクで、とにかくテンションが高いイマドキの若者、このオフィスの中でもいちばんの若者なんです。とはいえ、会社の社員なので、大人の中に「ああいるね、こういう子って」っていう、“ザ・ゆとり世代“。前回の「ベイビーさん」で演じた役とは真逆の印象で、特別なことをする訳じゃないんですが、話口調や仕草でなんとなく軽く笑える役に仕上げていくのが難しいなって思っています。
「勅使河原」の日常的な話に非日常的な「秘密」があるんです。情熱的だなと思いますよ…この芝居でまさかこんなに情熱的な芝居をするとは思ってもいなかったですね。そのシーンで僕は客席の温度を2,3度あげていきたいです。ある意味一番熱量の高いキャラですから(笑)
宮崎:テッシー(勅使河原)がねー。まさかの熱い男だもんなあ!熱量持っているよね!あの瞬間、一瞬の輝きを放つんだよ。
池田:汚いもんね(笑)何が、とはいわないけど、あのシーンで客席からどんな声があがるのか。笑いなのか悲鳴なのかわからない声があがるかも(笑)
一人ひとり、しっかり笑えるシーンを用意してもらっていて、台本でもすごく面白かったんです。だからこそ、演者としてはホンよりもっとおもしろくしあげていきたいと思っています。
池田純矢「七つの秘密」
宮崎:ホンを読んで、初めて普通に笑ってしまいました。ホンに負けないようにしたい、と第一に思いました。読み合わせをしたときに、いざやるとなると難しいなとすぐ思いまして、自分の役は純矢くんの役とは違っていて、マジメでまっすぐ生きている人物。本人はノリもなければおもしろさを持っている訳でもないので、素直に演じていければと思っています。ただ、それだけだと笑ってもらえはしないと思うので、どうやればいいかなと日々思っています。なにせ、こういう役をやったことがないので。でも「ああ、いそうだなこういう人」って思っていただけそうだし、そう思ってもらえる人になれればいいなと思ってます。
あと、会社員やデスクワークは自分からみたら非現実的。周りも役者しか友達がいないから。たまに事務所にいったとき、社員さんたちをみて「覇気がないな」「疲れてるな」と思い出しながらイメージを作っています。
宮崎秋人「七つの秘密」
池田:役作りという意味では、物語をやる以上すべてがウソなので嘘でいいかなって。会社員じゃなくても魔法使いの役や幕末の志士とかでもね。何も知らないですけど台本から役を抽出していけばいいかなって。
リアリティのある芝居は本当にリアルだとつまらない。それはただの日常だろうなと思うんです。日常からちょっと2,3歩離れた「リアル」を作っていくのがお芝居として楽しいかなって。だから、今ある台本の中身とG2さんの演出で構築していくことで役に近づいていくんだと思います。
池田純矢、宮崎秋人「七つの秘密」
――稽古場の雰囲気はいかがですか?
宮崎:和やかですね。芝居中でもつい笑ってしまいます。休憩中でもG2さんが話しているときでも笑いが絶えないんです。
池田:芝居の話をしているはずなのに、いつの間にかキッチュさん(松尾貴史)が昔あった面白い話をし始めて…それが結構嘘交じりで(笑)。それを素直に信じていたらG2さんが「キッチュさんが20秒以上しゃべりだしたら2割以上はウソだと思っていたほうがいい」と(笑)キッチュさんの話をストップする必要は全然なく、話のオチがつくまで話し続けて、ひと段落ついてから「さ、稽古をやろうか」ってことになってます。ところが、ここで大高(洋夫)さんにエンジンかかってさらに面白い話をし始めて…本当に博識な方が多いんです。
――共演者の方々も様々な魅力がありますよね。
池田:坂田(聡)さんが演じる「水野」が本当にうるさい(笑)絶対こんなやついないだろうと思っているのにいつの間にか「いるいる」って思えてしまう、変な説得力があるキャラなんです。坂田さんの通常時の声のボリュームは結構デカイんですが、それで「水野」を演じるとさらに声量が上乗せされて。
宮崎:別に叫んでいる訳じゃないんだけどね。
池田:うん、普通に話しているんだけどね(笑)でも声だけでお腹が一杯になる(笑)好きだなあ。
宮崎:キッチュさんはいい意味でいいかげん。力の抜け具合が絶妙でかわいらしさがある。ズルイですよね。あんなことは、自分じゃまだできないし、自分がキッチュさんの年齢になってもたぶんなれない。でも、ああいう大人になりたいなあ。
池田:僕は前回もご一緒したんですが、おちゃめでかわいらしいなあと。G2さんも子どもみたいな、少年っぽい人だなって思っているんですが、G2さんは「キッチュさんは俺とは真逆だ」っていうんです。でも、ハタからみたら「小学生の悪ガキ二人組が企んでいる」=AGAPE storeだと思うんですよ(笑)。 G2さんは演出しながら踊りますしね。動きの指示をしていたりするとテンションが高まってくると踊りだすんです。それを自分で収集つけてから「さ、次をやろう」と(笑)
宮崎:G2さんとキッチュさんは、いつもじゃれてる。楽しそうだなーって。
池田:あと、大高さんは第三舞台でも拝見していましたし、大先輩なんですが、初日から『純矢!』ってノリノリで近づいてくれました。今回、みんな「少年度」が高いんです。「7つの秘密少年団」といった感じです。
宮崎:クラスにいそうなんだよね。シルビアさんも。東(加奈子)さんとシルビアさんのやりとり、好きだもん。若い女優には出せない、若干目をそむけたくなる大人の女性同士の殺伐とした感じが!「もっとやれ、もっとやれ」とG2さんも煽っています(笑)
池田:シルビアさん演じる「川島」は、地味だけど色気があるんですよね。万人がみて「素敵」っていうキャラじゃないのに。
宮崎:もともとシルビアさんが持っている「何か」が漏れているんだよ!!ホンからは見えなかったもん。本当に素敵な役になってますね、「川島」は。
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――ところで、誰かの「秘密」を知ってしまってうろたえた事、ありますか?
池田:ありますね…知るつもりがなかったのに知ったときは焦りまくりましたね。
宮崎:それはキツイね。
池田:向こうも僕に言うつもりがなかったのに僕が偶然見ちゃった…ってのが。しかも「うわあああ」って声出したくなるような内容で。
――それは深堀りしちゃいけない話のようですね(笑)でもそれを知ってしまった後どうしたんですか?
池田:黙ってましたね。2,3か月後に本人から暴露話が出たんです。「実は…」って。知ってたんだよね…って思いながらもそのことは本人には言わなかったです。
――「秘密」を抱えているとき、誰かに言いたくなりませんか?SNSはさすがにマズイでしょうけど、身近な人とかに。
池田:それはないですね。「言っちゃだめだー!」って。僕らの職業でいう「誰かの秘密」=「爆弾」みたいなものだから(笑)
宮崎:人の明日を消すからね(笑)
池田:自分の中にとどめておきますよ。口が堅くないとできない仕事ですね、この仕事って。
池田純矢「七つの秘密」
宮崎秋人「七つの秘密」
――では、「秘密」よりソフトな話で。自分だけが知っているお互いの癖とかありますか?
池田:癖かどうか…秋人は三日坊主なんですよ。世間的には「宮崎秋人は趣味がすごくたくさんあって充実したプライベートを過ごしてそう」ですが…嘘つき(笑)
宮崎:(笑)どれも続けていないことが多いんです。続けてはいない、でもやめましたとは言わない。ゲームでもなんでも。一回止まっちゃうと他の事に気持ちがシフトして…前のモノが消えていっているだけなんですけど(笑)
ええっと、純矢くんは稽古初日に飲んだんですが、純矢くんは酔っぱらうとお金を出させてくれない。「いいよいいよー」って。無理やりお金を出そうとすると怒られるんです。
池田:(笑)酔っぱらうと「あれ?」ってときがあるんです。多めに銀行からおろして財布に入れていても。この間、新幹線のなど買わなきゃと、10万くらいおろしたんです。それで、財布に入れたまま飲みにいって、翌日財布の中には2000円しかなかった。そのときに行った店の数を考えると、全部払ったとしたらそのくらいするだろうな…って(笑)
池田純矢、宮崎秋人「七つの秘密」
――池田さんは飲むと兄貴度が増す…と(笑) では共演者の「秘密」って何かご存じですか?
池田:キッチュさんと飲みに行くと、すごい勢いで日本酒が並ぶんですが、ふと見るとキッチュさんは一人でちびちびやってて全然飲んでいない。それでグラスにお酒を注ごうとすると「自分は、日本手酌の会 会長だから!」って絶対注がせてくれない(笑)。
宮崎:あと、これは周りの人間もわかっていると思うんだけど、キッチュさんはトイレに行くタイミングがおかしい。「これから稽古をやりますよ」っていうタイミングでそっとトイレにいって、トイレなんて行ってない風な顔して待ってましたよって顔して座っているんです。みんなわかっているんですが、さっきから座ってました、な顔でいたり、トイレじゃなくてコーヒーを取りに行ってました、な顔しているのがかわいいんです。
本当についつい見てしまいますねキッチュさん。見ていると楽しいから。一挙手一投足が気になる。ずっと見ていたい。このくらい(手のひらサイズ)のキッチュさんを飼いたいくらいです!(笑)
池田純矢、宮崎秋人「七つの秘密」
■日時・会場:
2016年1月15日(金)~24日(日)紀伊國屋ホール
2016年1月29日(金)~31日(日)近鉄アート館
■脚本:細川徹
■演出:G2
■出演:松尾貴史、シルビアグラブ、池田純矢、東加奈子、坂田聡、宮崎秋人、大高洋夫