シンメトリー、ポップなパステルカラーが溢れる『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』渋谷ヒカリエにて開催中
『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』展示風景
『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』が、2023年11月25日(土)、ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)にて開幕した。
本展は、映画監督ウェス・アンダーソンの世界を体現したような風景写真を集めたInstagramのコミュニティ《Accidentally Wes Anderson(AWA)》をもとに構成された展覧会。韓国・ソウルでは25万人を動員し(2022年)、2023年4月には東京・天王洲の寺田倉庫G1ビルにて開催され、日本に初上陸を果たした。今回、それに続く東京での開催となる。
開幕前日の11月24日(金)にはメディア向けのオープニングイベントが行われ、開催にあわせて来日していたAWA創始者であるワリー&アマンダ・コーヴァル夫妻が登壇。モデル・市川紗椰とともにトークセッションをおこなった。
市川紗椰
左:ワリー・コーヴァル氏、右:アマンダ・コーヴァル氏
目が喜ぶ素敵な展示空間
妻のアマンダ氏が「今回この展覧会を開催していただけること、みなさんにお越しいただけることをうれしく思います」と始め、夫のワリー氏も「今回このような形でみなさんとご一緒できることを大変光栄に思います」と挨拶を続けてイベントがスタート。コーヴァル夫妻は今回が2019年以来二度目の来日とのことで「住んでみたいと思う都市が世界に3つあるのですが、東京はそのうちのひとつ。日本が大好きです」(ワリー氏)、「日本は本当に美しく、写真映えのする国。ポップな色もあり、街中のどこを歩いても何か面白いところが見つかる国だと思います。我々はまだ日本のことを少ししか見られていないので、また日本に戻って来たいと思いますし、許される限り何度も訪れたいです」(アマンダ氏)と笑顔で話した。
市川は「先ほど展示を見たんですけれども、本当に目が喜ぶような素敵な空間で、それをみなさんと共有できるのがとてもうれしいです」とコメント。
「全体的に(展示エリアの)空間がとても素敵ですよね。壁の色彩とか、それだけでも楽しい場所です。展示作品は、建物とか街の風景の写真も多いなか、何枚か人が写っている写真もあるんですよね。人が写っているとシンメトリーではなかったり、思っていたイメージとちょっと違ったりもするんですけど、それが調和していて、その瞬間じゃないと撮れない写真が結構あるのが楽しいです。映画のワンシーンのようなものも。」
展示風景
展示風景
展示風景
市川のSNSにもAWA作品が……?
鉄道好きとしても知られる市川は、自身のSNSでも度々旅先の写真を載せている。そのなかで「ウェス・アンダーソンっぽい」と言われた1枚があるという。
「車両の連結、向き合っているところですね。ここは長野県のとある場所で、115系という私がとても好きな車両のひとつの長野色と新潟色です。今はどちらも無いんですけど、これが向き合っていてシンメトリーと色の感じが(ウェス・アンダーソン)“ぽい”んですかね」と説明。「知ってたらもっと引きで撮りました(笑)。次に撮影したときはハッシュタグをつけます」と、今後の撮影にも意欲を見せた。
会場内にある鉄道(乗り物)の写真を集めた「Mind the Gap」エリアについても触れ、「駅もあれば車窓からの風景など展示されています。車内から車窓の風景を撮っている写真はまるで絵画のようというか、窓際が額縁に見える素敵な写真がたくさんあって。それに椅子の感じとか、鉄道車両って個性的でかわいいんですよ。それもすごくよく出ているので、鉄道に興味がない人でもちょっとかわいい目線で見れると思います。展示エリアも面白いですよね。車両風になっていて映像が流れる部分もあるので。鉄道は通勤や通学で混んでいてめんどくさいな……と思う人も、ちょっと素敵なものに見えるかもしれないので、鉄道好きとしてはぜひこのコーナーにも注目してほしいです」と思いを語った。
新エリア「南極大陸」がお目見え
渋谷会場では、前回(寺田倉庫)から新たに「南極大陸」エリアと「フォトコンテスト」を紹介するコーナーが加わり、「南極大陸に直接足を運び、我々のチームのチーフアドベンチャーフォトグラファーを務めるマージョリーさんが素晴らしい写真を撮影してくれているのでご堪能ください」(アマンダ氏)「フォトコンテストには全部で400点の応募がありました。その中からセレクトし、入選した方々の写真を展示しています」(ワリー氏)とそれぞれ紹介した。
展示風景
「南極大陸」は淡いブルーの壁面のエリア。白い雪景色、青い空、白い雲……と、写真からも清々しさがじゅうぶんに伝わってきて、なんだかその場の空気が澄んでいるようにさえ感じた。自分(筆者)の人生では絶対に行けないであろう南極大陸に行けてしまうなんて。行ったことがないところでも、旅をしたような気分になるーー。この展覧会の魅力のひとつを大いに感じた瞬間だった。
フォトコンテスト(「ウェス・アンダーソンすぎる風景みつけたコンテスト」)では、《群馬の水郷公園》や《Tokyo Tower》、《東京お台場パレットタウン》など、日本の観光地や街の一角を収めた作品が入選しており、ここでは各賞の特賞を獲得した5枚をパネルにして展示、入賞作品はモニター展示されている。
展示風景
コーヴァル夫妻は、「AWAのウェブサイトに投稿していただくものの9割はスマートフォンで撮影したもので、プロが撮ったものではありません。AWAというプロジェクトの魅力は、世界のどこにいても街角の一角、構造物・建造物・列車など、AWAの美意識に沿ったものを捉えることができること。東京にいても左右を向けば何かしら見つかると思いますし、偶然捉えられたワンショットが一番印象に残ることもあります」と熱く語った。
ちなみに、入賞作品のひとつに筆者の故郷近辺を撮影した作品を発見したのはここだけの話。毎日見ていた景色のはずだが、こんな素敵な場所だったのか……! と、なんだか誇らしくもあり、懐かしさも溢れ、近々帰省しようと旅の計画まで立ててしまった。もしかしたら来場者の方々も、展示作品の中に思い入れのある場所を見つけるかもしれない。会場である渋谷からそれほど遠くない場所を撮影した作品もいくつかあるので、本展鑑賞後に実際に足を運んでみるのも良いと思う。
なお、コンテスト入賞作品は展覧会ウェブサイトにも掲示されているので、残念ながら展示会場に行けないという方は、そちらからぜひ鑑賞してほしい。
展示風景
展示風景
展示風景
シンメトリー、ポップなパステルカラーが溢れる“ウェス・アンダーソンすぎる風景”。それは世界各地に点在しているが、この《Accidentally Wes Anderson(AWA)》によって整理され、今ここ渋谷に集結している。それに、これらは遠い異国の地だけではない。コーヴァル夫妻が語ったように、東京にも、我々の身近な場所にも“ウェス・アンダーソンすぎる風景”は存在するのだ。異国の地へ思いを馳せるのも良し、身近にヒントを見出すのも良し。『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』は、12月28日(木)まで、ヒカリエホールにて開催中。
文・撮影=SPICE編集部
イベント情報
会期:2023年11月25日(土) 〜 12月28日(木) 休館日なし
開場時間:11:00-19:00(入場は18:15まで) 毎週土曜日は20:00まで(入場は19:15まで)
会場:ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F) 東京都渋谷区渋谷2丁目21-1
主催:ドリームスタジオ、Bunkamura、産経新聞社、WOWOW
協力:日本航空 お問合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)