「国境も世代も超えて日本、アジアの音楽を世界へ」ーー全62部門の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」エントリー作品約3,000曲発表
『「MUSIC AWARDS JAPAN」エントリー作品発表会』 2025.3.13(THU) 都内
「世界とつながり、音楽の未来を灯す(ともす)」をコンセプトとした国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」(以下・MAJ)の授賞式が、2025年5月21日(水)、22日(木)にロームシアター京都にて開催される。その主要6部門のエントリー作品及び「SYMBOL OF MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の発表会が、2025年3月13日(木)に都内で行われた。
MAJは、音楽業界の主要5団体(日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽出版社協会、コンサートプロモーターズ協会)が垣根を越えて設立した、一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)による音楽賞で、今年が初開催となる。
市川紗椰、クリス・ペプラー
発表会に多数のメディアが集まる中、MCを務めるクリス・ペプラー、市川紗椰が登壇。冒頭でクリスが「MAJは、日本の全ての音楽団体が一つになって作り出す音楽の歴史における一つの大きな出来事と言ってもいいと思います。国境を越え世代を越え、その素晴らしい可能性を広げる日本、アジアのアーティストを世界へ。そんな理念のもとに生まれた国際音楽賞MAJは音楽関係者5,000人による投票で全てが決まります。本日ここでエントリー楽曲の発表を行うとともに投票が開始されます。そして4月には各部門5作品5アーティストのノミネートが選出され、5月21日(水)、22日(木)に最優秀作品・アーティストが決定します」と、MAJの概要について説明を行った。
続いて市川が部門について紹介。MAJでは全62部門が創設されることが明かされた。内訳は24部門の楽曲カテゴリー、14部門の海外楽曲カテゴリー、3部門のアルバムカテゴリー、11部門のアーティストカテゴリー、4部門の共創カテゴリー、1部門のライブカテゴリー、1部門のミュージックテックカテゴリー、4部門のアライアンスカテゴリーと、かなり細分化されている。
主要6部門となるのは、音楽的に創造性・芸術性に優れていると思う楽曲・アーティスト・アルバム・ニューアーティストを称える「最優秀楽曲賞」、「最優秀アーティスト賞」、「最優秀アルバム賞」、「最優秀アーティスト賞」、世界的にヒットした日本楽曲を称える「Top Global Hit from Japan」、ヒットしたアジア楽曲を称える「最優秀アジア楽曲賞」の6つの部門。尚、「最優秀アジア楽曲賞」は日本を除いた対象となるアジア各国地域の2024年の年間チャート上位3曲をエントリー作品として投票を行う。その他にも、世界で注目されている日本の音楽カルチャーを称える「最優秀国内アニメ楽曲賞」、「最優秀国内アイドル楽曲賞」、「最優秀VOCALOIDカルチャー賞」、楽曲カテゴリーに特化した「最優秀国内ロック楽曲賞」、「最優秀国内ヒップホップ・ラップ楽曲賞」、「最優秀R&Bコンテンポラリー楽曲賞」、今の音楽シーンに大きく影響を及ぼすソーシャルヒットを称える「最優秀バイラル楽曲賞」など、多種多様な音楽ジャンルを称える部門が創設されている。また、世界の地域ごとにヒットした日本の国内楽曲を称える賞や、海外のアワードと連携した賞など、まさに「世界とつながり、音楽の未来を灯す」というアワードの理念に根ざした賞が多く創設されている。
全62部門
また、様々な音楽の楽しみ方に合わせた賞も創設。ライブカテゴリーではライブ動員数が多かった国内アーティストを称える「ラージェスト・ライブ・オーディエンス賞」を創設。日本の音楽シーンを大きく盛り上げたアーティストが表彰される。さらに、「ラジオ特別賞 Best Radio-Break Song」ではradikoの集計データの中からラジオ番組に携わる投票メンバーで、シーンをアップデートする革新性を持った楽曲を、プロフェッショナルな感性で選出する。一般リスナーが投票に参加できる部門「ベスト・オブ・リスナーズチョイスPowered by Spotify」では、エントリー作品の中からSpotifyの一般投票機能を使ったリスナーの投票により、ノミネート作品と受賞作品を決定する。その他、「カラオケ特別賞 カラオケ・オブ・ザ・イヤー:J-Pop powered by DAM & JOYSOUND」、「リクエスト特別賞 推し活リクエスト・アーティスト・オブ・ザ・イヤー powered by USEN」等々。「本当に数々の部門が創設されていて、かつてない規模の国際音楽賞となっていますね」(市川)「すごいですよね!」(クリス)と、発表するMCの2人も興奮気味の様子。
ここで、「SYMBOL OF MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の発表へ。「これは、MAJが目指すべき未来への指針、北極星のように音楽賞が目指すべきものを教えてくれるシンボルともいえる存在です。それではそのアーティストをご紹介いたしましょう。どうぞ映像をご覧ください」とのクリスの言葉から、スクリーンに流れ出したのは、YELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)のライブ映像。曲は、「BEHIND THE MASK」だ。このライブ映像は、1979年にロサンゼルスのGREAK THEATERで行われたYMO初の海外公演のオープニングからのもの。さらに坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣が3人で音楽を語る映像が流れる。そして、細野晴臣からのメッセージが流された。
YELLOW MAGIC ORCHESTRA (C)Kenji Miura_iri
「YELLOW MAGIC ORCHESTRA、みんなYMOと呼んでいますけど、いまだに若い人が聴いてくれたりしてます。ファンレターを読むと、「「ライディーン」を聴いています」とか、中学生の女の子が手紙をくれたりするんです。ということは、YELLOW MAGIC ORCHESTRAっていうのはまだ生きてるんだなと。メンバーは僕だけになっちゃいましたけど、音楽っていうのは生き残っていくということは実感しています。メインストリームという気持ちは一度もないですけど、それでもYMOの業績もあるのだろうなとつくづく痛感しております。そして、今回の「MUSIC AWARDS JAPAN」という新しい動きが始まって行く中の一つの柱として、YMOを取り上げていただけることは、とても光栄なことだと思っています。ありがとうございました」
映像明けでクリスは、「アワードが開催される理由の一つが、YMOのような国境を越えカテゴリーを作り、そして時を越えて愛され続けるアーティストを送り出し、世界が気づくきっかけを作ることかもしれません」とコメント。市川は「今は流行ってすごく消費されるのが早いと言われていますが、そんな中でこういう時代を越えて世代を越えたYMOという一つの共通言語が出来上がってるっていうのは、細野さんの言葉を聞いて強く感じました」と思いを新たにした様子だった。さらにクリスは、「先ほどの映像で流れた「BEHIND THE MASK」は、マイケル・ジャクソン、エリック・クラプトンがカバーしていますから、その時点でYMOは既に日本の音楽のシンボルだったのかもしれませんね」と称えた。尚、YMOのトリビュートコンサートが5月20日(火)に国立京都国際会館にて開催されることも発表された。詳細は後日発表となる。
ここで、新しい学校のリーダーズの4人(MIZYU、RIN、SUZUKA、KANON)がゲストとして登壇した。これから発表されるエントリー作品は、選ばれたアーティスト本人も自分で投票できることを聞いたメンバーのSUZUKAは、「選ばれると私自身も投票できるっていうのは、アーティストとして現場にも実際にいるからこそ、他のアーティストさんを実際に見て“この人素晴らしいな”って投票を入れることもあるだろうし、すごく公平ですよね」と印象を述べつつ、「でもやっぱり自分に入れますよね?」とクリスに問われると、「もちろん! 私たちは真っ当にアーティストとして存在させていただいてるので、もちろん入れますね(笑)」と、アーティストとしての自信を覗かせた。
最優秀楽曲賞エントリー作品
そしていよいよ、主要6部門のエントリー作品がスクリーン上で発表された。「最優秀楽曲賞」に256曲、「最優秀アーティスト賞」に167アーティスト、「最優秀アルバム」に171作品、「最優秀ニュー・アーティスト賞」に61アーティストがエントリー。「最優秀楽曲賞」に選ばれた作品のジャケットが映し出されたスクリーンを見たSUZUKAは、「見たことがあるジャケットもあるし、もちろん知らなかった作品もあるし、これをきっかけに日本で盛り上がってる音楽に触れ合えるなって思いました。「オトナブルー」のジャケットも見つけました。嬉しいです」。
最優秀アルバム賞ノミネート作品
MIZYUは、「こんなにたくさんのアーティストさんや楽曲にチャンスがあるんだって思ったら、すごく夢があるなって思います。あとは私たちも参加させていただいた椎名林檎さんアルバム(『放生会』)もこの中にあったり、昔から聴いてる曲もあったりとか、これを見ながら自分の人生の思い出を振り返れちゃうみたいな。本当にたくさん歴史上に音楽がずっと続いていくって素晴らしいなって思います」と語った。
新しい学校のリーダーズ
新しい学校のリーダーズの作品もエントリーされたことから、KANONが「私たちにも投票権があるっていうってことですけど、投票ってどうやるんですか?」と質問すると、クリスは「良いことを訊いてくれました!」と、エントリーされたアーティストによる投票方法を解説。「投票メンバーのみなさんには1人最低2票から最大5票をエントリー作品に投票していただきます。ご自身の作品に投票していただくことも当然可能です。ここまでご紹介した「最優秀楽曲賞」、「最優秀アーティスト賞」、「最優秀アルバム賞」、「最優秀ニューアーティスト賞」、さらにこの後ご紹介する「最優秀アジア楽曲賞」は国内投票メンバー全員に投票していただきます。その他の部門は任意で投票いただくことになります」とのこと。
最優秀アジア楽曲賞ノミネート作品
続いて、「最優秀アジア楽曲賞」の24曲、「Top Global Hit from Japan」の100曲がエントリー作品として発表された。RINは「こんなにもまだ出会ってない音楽がたくさんあるんだなと、これを見ているだけでも思います。私と同じように視聴者のみなさんも、まだまだアジアの中に素晴らしい音楽に出会えてない、まだ見ぬ世界があると思うとそういうきっかけにもなる。このアワードが日本で開催されることで、アジア各国の方々が日本のカルチャーや日本の音楽シーンにも注目してくれると思うと、すごくいい巡りだなというふうに思います」とアワードの意義を実感した様子。
Top Global Hit From Japanエントリー作品
「Top Global Hit from Japan」のエントリー作品について感想を求められたSUZUKAは、「ここにYOASOBIさんやAdoちゃん、BABYMETALさんがいらっしゃって、私たちがいないっていうことに対してちょっとやっぱり悔しさを感じてしまうんですけども、まだまだこうやって見ると我々はまだ伸びしろがあるなと思って見ておりました」と、率直な気持ちを吐露した。
新しい学校のリーダーズ
そんな新しい学校のリーダーズは数日後の日本時間3月17日(月)にアメリカ・ロサンゼルスで開催されるイベント『matsuri '25: Japanese Music Experience LOS ANGELES』に、YOASOBI、Adoらと出演することが決定している。KANONが「楽しみです! 今まで私たちはLAで何度もライブして去年もツアーで行ってるんですけど、今までは自分たちのワンマンライブとか海外のアーティストさんが集まるフェスとかに出演することが多くて。日本の他のアーティストの方と対バンすることが今まではなかったので、それがすごく楽しみだなと思います」と語ると、SUZUKAも「本当に想像つかないですけど、YOASOBIさんもAdoちゃんもどんなふうにライブをするのか、日本人同士としても楽しみですし、アジアパワー、日本パワーがどんなふうに伝わるのか見つけてきます」と意欲を見せた。最後に改めて、グループを代表してメッセージを求められたSUZUKAは、「我々、自称・青春日本代表として、まだまだ日本のカルチャーとして新しい学校のリーダーズらしさを世界にどんどん伝えていこうと思っております。LAライブも一歩だと思って大切に一生懸命ライブをしてきます。これからみなさま、よろしくお願いします」と、意気込みを語り降壇した。
発表会の最後にMCの2人は、「主要6部門以外にも多くの賞が創設されていて、一般投票部門もあります。そして何よりもアーティスト自身が投票できるという所もとても楽しみです」(市川)「日本にもいろいろな音楽賞というのは過去にありましたけれども、MAJというのは初めて世界と本当の意味で連携した、グローバルなミュージックマーケット、シーンの中の大事な一つの音楽賞になるのではないかなといような期待でいっぱいですよね」(クリス)と語り発表会を締めくくった。
エントリー作品への投票もエントリー作品発表に合わせてスタート。4月17日(木)にノミネート作品、5月21日(水)、22日(木)の授賞式にて受賞作品が発表される。2日間の授賞式の様子はYouTubeにて全世界配信され(※一部地域を除く)、22日(木)の授賞式はNHKにて生中継される。
また、今回決定した延べ約3,000作品のエントリー作品は、Spotifyにて「museum」という形でプレイリストに集約され、さらに各部門のエントリー作品は部門ごとにプレイリスト化され各音楽配信サービスにて配信される。
取材・文=岡本貴之
イベント情報
開催日時:2025年5月21日(水)・22日(木)
※開催ウィーク:2025年5⽉17⽇(土)~5⽉23⽇(⾦)
会場:ロームシアター京都
放送:NHKにて生中継 ※22日(木)のみ
配信:YouTube(グローバルストリーミングパートナー)にて全世界配信予定
※一部地域を除く
公式サイト:https://www.musicawardsjapan.com/